【子どものアレルギー5】授乳期のお酒や紅茶、薬が乳児に与える影響とは?

 アレルギーに関する情報サービス「クミタス」を運営するウィルモアの石川麻由社長に、食べたものが母乳と子どもに与える影響や症状について聞いた。

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【子どものアレルギー5】授乳中のお酒や紅茶、薬が乳児に与える影響とは?(画像はイメージ)
  • 【子どものアレルギー5】授乳中のお酒や紅茶、薬が乳児に与える影響とは?(画像はイメージ)
  • アレルギーに関する情報サービス「クミタス」を運営するウィルモア
 産後・育児中の母親にとって、自身が摂取した食事は母乳にどのような影響を与えるかは授乳期にもっとも気になることのひとつだろう。アレルギーに関する情報サービス「クミタス」を運営するウィルモアの石川麻由社長に、食べたものが母乳と子どもに与える影響や症状について聞いた。

◆食物によって異なる吸収時間…コーヒーにも注意を

 母親が授乳期に食べたものがどれくらいの時間で母乳に含まれるかは食品により異なりますが、大体、以下の時間と言われています。

卵:母親が鶏卵1個を食べたあとの母乳には、卵白アルブミンが数ng/ml(1ngは100万分の1g)の濃度で、3個の生鶏卵で、数10~100ng/mlが検出されるとの報告があります。個人差や、一緒に食べる食品、調理状態によりますが、母乳に成分が出てくる時間は、大体2~3時間後からで、8時間後くらいまで母乳に含まれると言われています。

牛乳:個人差や、一緒に食べる食品、調理状態によりますが、母乳に成分が出てくる時間は大体3~4時間後からで、8時間後くらいまで母乳に含まれると言われています。

カフェイン:カフェインのADI(Acceptable Daily Intake、一日摂取許容量)は設定
されていませんが、授乳時の母親において推奨する1日当たりの最大摂取量(300mgな
ど)が設定されている国もあります。最大摂取量よりも下回っている範囲内では乳児
への影響については問題視する必要はないとの評価もなされていますが、1日当たり
の最大摂取量は国によっても幅があり、推奨量を超過した場合にどういったリスクが
発生するかは明らかになっているとは言えない部分もあるでしょう。

 コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるカフェインは摂取後、母乳中には15~30分でピークとなり、1~2時間でその大半が母乳中に移行すると言われています。海外の文献によると、カフェインが母乳に移行する量は0.06~1.5%との報告もあります。母親の体内の半減期(体内から排出され、半分に減るまでの時間)は5時間程度ですが、新生児では半減期が98時間、生後3~5か月には約14時間と排出に時間がかかり、母親が毎日カフェイン飲料を飲み続けると、蓄積された状態が続いてしまいます。

◆アスピリンは禁忌対象、授乳期に注意したい薬

薬:薬の成分により大きく異なりますが、薬によっては母乳に移行する量が多く、移行する時間が短いもの、移行量が微量でも胎児、授乳育児の乳児への健康被害をもたらす可能性が高いものもあります。

 授乳期に服用が禁止されているのは、放射線医薬品、麻薬、抗がん剤、抗不整脈、抗精神病薬など、またアスピリン(消炎鎮痛剤、心臓病治療)も禁忌対象になります。アスピリンを含む市販薬である「バファリン」の発売元公式ページでは、「授乳期の服用は避けてください。止むを得ず服用する場合は、授乳を避けることが望ましいです。もしも服用してしまった場合は、12時間位あけて、さらに授乳したい時間の2~3時間前に溜まった母乳を一度搾り取り、その後溜まった母乳を与えてください。」と記載があります。

 なお、小児用バファリンの主成分はアスピリンではなく、アセトアミノフェンになり、乳幼児への体への影響に配慮しています。病院での処方時もですが、調剤薬局でも授乳時の服用について、再度確認されると尚良いかと思います。詳細については、国立成育医療研究センターWebサイトの「妊娠と薬情報センター」をご参照ください。

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《編集部》

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