【医学部受験】合否を分ける最強の勉強法…駿台梅田校が教える学習のコツ

 他学部に比べ、やるべきことが多いと言われる医学部受験。どこに焦点化し、いかに計画的に学習を進めるかが高校1、2年生の学習の鍵になる。そんな未来の医学部受験生に向けて、駿台梅田校の先生方からアドバイスをいただいた。

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医学部合格のカギは「この3教科」…駿台梅田校が教える学習のコツ
  • 医学部合格のカギは「この3教科」…駿台梅田校が教える学習のコツ
  • 取材に協力いただいた駿台予備学校梅田校・校舎責任者の鳥井英先生、英語担当講師の松永栄一先生、数学担当講師の勢力稔也先生、化学担当講師の平尾敦先生
  • 駿台梅田校の校舎内にあるリラクスペース

 今年の医学部入試でも、すでに私立大学の合否が続々と判明している。2025年度以降の医学部受験を目指す人は身が引き締まる時期だろう。他学部に比べ、やるべきことが多い医学部受験において、いかにメリハリを付け、計画的に学習を進めるかが高校1、2年生の学習の鍵になる。

 そんな未来の医学部受験生に向けて、駿台梅田校・校舎責任者の鳥井英先生、英語担当講師の松永栄一先生、数学担当講師の勢力稔也先生、化学担当講師の平尾敦先生からアドバイスをいただいた。

「バランスの良い学生」を目指し、基礎の徹底を

--医学部入試は、本試験の他にも共通テストや小論文、面接など、対策が多岐にわたると言われています。本日は、その中でも合格の要としてどこに重点を置くべきかを教えていただきたく思っています。

鳥井氏:医学部に合格するには、早い段階から主要教科である英語、数学、理科をバランス良く学習できていること、教科書を中心とする原理原則をしっかりと身に付けられていることが不可欠です。定員が少ない医学部入試では、どの大学でも合格ラインのボーダー上に複数の受験生がひしめく激戦なので、3教科のうち1教科でも取りこぼすと、合格が遠のいてしまうからです。つまり、苦手科目をつくらないことが合格の鍵になります。

 先日も、関西にある私立医学部の先生方とお話しする機会をいただいた際に「どういう学生に入学してほしいですか」と尋ねたところ、皆さん口を揃えて「バランスの良い学生」とおっしゃっていました。学力面では筆記試験で各教科がバランス良く得点できているかを測り、人間性では小論文と面接を通じてバランスが取れているかを評価するとのことでした。

医学部受験の主要3教科を計画的に学ぶ

--医学部入試で求められる学力は、付け焼き刃の勉強では身に付かないものばかりです。高1、高2から計画的に学習を進める必要があるとのことですが、どのようなステップで進めていけば良いでしょうか。

松永氏(英語): SNS上などでは、今年の共通テストの英語が難化したと話題になりました。受験生が「難しい」と感じた要因の1つが文章量の大幅な増加です。特に大問5の長文読解は、例年2ページほどだった文章が、3ページを超えました。また、今回出題された物語の内容は時系列が交錯するなど、普段から長文を読み慣れていないと理解が難しかったと思います。さらに昨年度までは、1、2行読んだだけで答えられるような言い換え問題もありましたが、今年度は単なる単語の言い換えでは済まず、文脈を正確に理解していないと正解できない問題が目立ちました。

 それに加え、語彙のレベルも上がっています。具体的な例を3つ挙げると、大問2のAでは、選択肢に「concentration(集中)」という単語が提示されましたが、その前提として問題文に含まれる「distraction(注意散漫)」の理解が必要でした。大問4には、選択肢に「take a nap(居眠りする)」という慣用句が登場しましたが、これをsleepと関連付けられない生徒が多かったようです。さらに、大問6において出てきた「metabolism」という単語は、本来の「代謝」という意味で使われており、「メタボ=太っている」という先入観をもつ受験生は、正答にたどり着くのに苦労したのではないでしょうか。

 共通テストで出題される語彙については、大学入試センターからの発表でもCEFR指標B1レベルまでとされていますが、その中でもあえて難しい単語が使われたり、ストーリーが複雑になったりすることで、問題文はいかようにも難化します。今年のテストでも、暗記やテクニックなどの付け焼き刃で対応できる問題ではなく、短時間で長文を読んで正確に文脈を掴み、正解を導ける情報処理力を求める意図を強く感じました。

 こうした傾向にどう向き合えば良いのか。それには、意外に思われるかもしれませんが、高1、2でも定期テストを完璧にするなど、基礎を1つ1つ積み上げることが大切です。単語量が増え、難度が増した長文読解であっても、学校の授業や教科書を基盤とした正攻法の学習が、結局のところ近道になります。また、自分の好きなジャンルで良いので、普段から何らかの英文に触れる習慣をつけると良いでしょう。

 英語は楽器の練習と同じです。楽器を演奏するには、遅いスピードで1つ1つの音を丁寧に出すことを意識しながら行うルーティンが欠かせません。英語も同様に、ルーティンと実践の両輪でまわしていくことが重要です。

勢力氏(数学):数学では大事なことが3つあります。1つ目は、「なぜ」を追及して論理的に理解していくことです。公式の丸暗記だけで押し通そうとしても、公式の組み合わせは膨大にあるので、いずれどこかで破綻してしまいます。ところが、たとえ1つの問題であっても、「なぜ」そうなるのかを追っていけば、解答へのヒントになるいくつもの考え方に触れることができます。結果的に、そうやって丁寧に問題に取り組んでいけば、さまざまな問い方にアレンジされた問題にも、柔軟に対応できるようになるのです。この力を育てていくのが、本来の数学の学習です。

 センター試験や共通テスト初年度は、「公式を使えるか」「数値を求められるか」を問う問題が多かった印象ですが、2年目以降は「どのように証明するか」「なぜ正しいと言えるのか」という論理性を問う問題に変化しました。これが「難化した」と言われる大きな要因です。計算だけできたら合格できる時代は、もう終わりました。基礎をしっかりと理解したうえで、それらを応用する能力が試されます。今後の共通テストも、この流れを継続していくと思われますので、原理原則を大事に、論理的に学んでほしいと思います。

 数学で大事なことの2つ目は、パターン演習です。最近の医学部入試の数学では難問奇問はあまり出題されず、問題を見てすぐにパターンを見抜き、解法を思いついて即座に解く力が求められています。パターンの把握は、一見すると暗記に近く、前述の「論理的な理解」とは相反するのではないかと思われるかもしれませんが、そうではありません。たとえば自転車に乗る際に、「なぜブレーキを引いたら止まるのか」という理屈を知るだけでなく、止まりたいときに反射的にブレーキを引いて止まれるようになるまで練習するイメージです。どちらが大事かではなく、どちらも大事であるということです。

 3つ目は、計算力です。問題を解くための鍵は、前述の論理的な理解とパターン演習ですが、大学入試においても前提として計算力が必要だと、あえてここで強調しておきたいと思います。受験本番は時間との戦いになりますので、計算に時間がかかると負けてしまいますし、考え方は正しくても、1つでも計算間違いをすれば正確な答えが導けません。

 また、計算力は日ごろの学習量とも深く関係してきます。たとえば、計算が遅い人が1問解くのに10分かかるところ、計算が早い人なら7分で解けるとすると、同じ50分の勉強時間で、前者が5問解く間に、早い人は7、8問解くことができます。この差が1年蓄積すると、取り組める演習量に大きく差が出ることは明らかです。ですから、高1、2の皆さんには今から計算力を鍛えておいてほしいと思います。

 具体的には、教科書や傍用問題集の問題を、時間的負荷をかけながら何度も練習する方法が有用です。特に高1の数と式の計算と二次関数、高2の三角関数、微積分等に取り組む際に、計算をより素早く正確に行うことを意識して、手を動かしながらトレーニングしてください。

平尾氏(理科):理科では物理、化学、生物いずれも、まずは教科書をしっかり読んで用語を覚える、そのうえで基本的な演習を繰り返すというステップを確実に踏むことが大切です。

 とりわけ理科は、演習量が漢方薬のようにあとからじわじわと効いてくる教科です。そのため、演習に着手するのが遅かったり、量が足りなかったりする現役生は、効果が出る前に入試本番になってしまいがちなのです。

 理科が苦手な生徒へのお勧めの学習法は、まずはなるべく早く学校の傍用問題集に取り組むことです。傍用問題集を何周も解いていくと、覚えた知識と問題がリンクして、歯車が噛み合うような感覚を得られるはずです。それを経て、難しい問題を解く力がついてきます。

 特に化学は、覚えた知識同士を紐付けて解答を導く問題が数多く出題される科目ですが、知識を関係付け、解答するためにはコツを掴む必要があります。演習量を積んでいくうちに、ブレークスルーが起きてコツを掴めるようになり、点数に反映されるようになりますので、その感覚が掴めるまで演習を繰り返してください。

 その後、徐々に問題文が長いものにチャレンジして、どのような条件設定で、どのような実験をして、どんな結果が得られていて、そこから何が問われているのかを読み取る訓練をしてください。たとえば今年の共通テストでは、比較的オーソドックスな問題が多かったものの、問題文やグラフから情報を集めて読み取る力が求められました。化学では、馴染みのない物質や現象がトピックとして用いられる場合もありますが、じっくりと問題を読めば、教科書内の知識で読み解けるようになっています。初見の物質名や反応名などに怯むことなく、しっかりと読みこんで自分の知識とつなげていく訓練をすることが大事です。

開校1年目の梅田校、確かな手応え

--貴塾は関西地区初となる駿台の医学部専門校舎です。開校して約1年、具体的にどのような指導を行っているか、その特長をあらためて教えてください。

鳥井氏:梅田校の大きな特長は3つあります。第1に、1クラス20~30名の小規模クラスということです。駿台というと、講師が大教室で授業をするイメージが強いかもしれませんが、梅田校は校舎在中のプロ講師が、小規模クラスゆえにひとりひとりの生徒とじっくり向き合える環境になっています。このスタイルは大手予備校としては当校が先駆けではないでしょうか。

 第2に、授業内での演習の実施です。一方的な授業だけでは成績が伸び悩む生徒もいますが、梅田校では授業の翌週に前週の授業内容の確認演習を実施し、それを繰り返すことで、講師も生徒自身も、理解できていない項目を把握することができます。

 第3に、講師陣は皆、梅田校専任だということです。講師が校舎に常駐しているため、生徒はいつでも質問できます。駿台のテキスト、+αの補助プリント、電子黒板を活用し授業を行います。また、大手予備校ならではの情報を活用しながら、上記のような特長を補完することで、どこにも負けない価値を生徒に還元できていると自負しています。加えて、周辺の医学部受験専門の予備校に比べて、学費が手ごろである点もご家庭から評価していただいているポイントです。2024年度も、生徒たちがさらに学習量を増やせる仕組みを構想しています。特に2023年度には、通常の小規模授業と、オプションの個別指導を併用した生徒の学力向上が目覚ましく、効果を実感したため、2024年度からは専任講師が直接指導する私立医学部コースをスタートすることにしました。

合格の要は「謙虚さ」

--2024年から学習指導要領の新課程での入試へと変わります。医学部入試において気を付けるべきポイントはありますか。

勢力氏(数学):数学の大きな変更点としては、共通テストの数IIBCにおいて新しい単元「統計的な推測」「平面上の曲線と複素数平面」が選択問題に加わることです。「統計的な推測」は、実は今までも選択問題として出題されてはいましたが、大学別の二次試験で問われることが少なく、選択する人が少なかったのに対し、今回の変更によって二次試験でも本格的に出題される可能性が高く、特に関東の私立大学では出題範囲に含めるとすでに明言しているところもあるので、共通テストにおいても十分選択肢に入ることになります。この単元は、医学部での学習においても、医師としての将来を見据えても学んでおくべき内容ですので、しっかりと取り組んでほしいポイントですね。

平尾氏(理科):理科は数学ほど極端なカリキュラム変更はありませんが、たとえば 「熱化学」に「エンタルピー」の概念が取り入れられるなど、用語に関する変更がいくつかあります。過去問を使って勉強する場合は、このあたりに細かい注意が必要です。

松永氏(英語):英語での大きな変化は新課程のもと、これまで高校で教えられていた仮定法や原型不定詞などの文法単元が、2024年度から中学で習う内容に組み込まれるという点です。これに伴い、入試の出題範囲も変わってきます。また、大学入試センターから発表されている新課程の試作問題(「令和7年度試験の問題作成の方向性、試作問題等」)には、マークシート式で英作文をさせる問題が2題含まれています。文法学習を中学校に前倒しし、高校で身に付けた4技能をペーパーテストで測ろうとしているのかもしれません。

 私立大の入試では、共通テスト同様4技能を測る動きも見られる一方で、昔ながらの文法4択問題や、発音やアクセントの問題を引き続き出題している大学もあります。国公立大と私立大の両方を受験する医学部受験生は、過去から最新まで入試傾向を網羅的に確認しながら、いずれにも対応できるような対策をとっておかなければいけない側面もあります。

--ずばり、医学部合格のためにもっとも重要な要素は何でしょうか。医学部を目指す受験生に向けてメッセージをお願いします。

鳥井氏:正しい学習方法、学習量の確保、そして謙虚さです。医師になるには国家試験を突破し、医師になった後も最新の医療知識を学び続けなければいけませんが、医学部入試はその第一歩です。生徒から「こんな勉強をしても無駄なのでは」と言われることがありますが、無駄なことは何ひとつありません。授業を通じて理解することも、理解できているかを振り返って確認することも、医師になるために必要なスキルです。「正しい学習方法、学習量の確保、謙虚さ」。当校の2024年度受験生にも1年間言い続けました。

松永氏(英語):私は医学部合格に何よりも大事なのは、謙虚さだと思います。私たち講師陣は、何をすべきで何をすべきでないか、プロの視点で取捨選択できます。それを素直に聞く生徒は伸びます。プロである私たちが授業で繰り返し説明すること、アドバイスすることにはすべて意味がありますので、それを自分事として捉えられる人は必ず受験で成功していきます。私たちが全力で指導しますので、受験生にはそれを受け入れる素直さ、謙虚さをもっていてほしいと思います。

勢力氏(数学):私も同感です。受験生の皆さん、自分が医師になったとして想像してみてください。患者さんに「この病気を治すには、この薬を服用してください」と言ったのに、「いえ、私は違うと思うので」と薬を飲まない患者さんがいたらどうでしょうか。専門家である医師の意見を聞き入れず、素人の判断で行動すると、病気はきっと良くならないですよね。勉強も同じです。各科目の専門家である講師のアドバイスがどれほど大事かということは理解していただけると思います。「自分は医師になるのだ」という強い決意をもって、専門家のアドバイスを参考にしっかり取り組んでください。

平尾氏(理科):あと一言だけ付け加えたいのは、受験には学力とメンタルの両輪が大事だということ。学力をつけることは当然ですが、「自分ならできるはず」という強いメンタルをもって、最後まで諦めずに、目標達成に向けてがんばってください。

--本日はありがとうございました。


 医学部受験での主要科目の専門家から、詳細な解説と助言を得た。共通するのは「難関入試合格の第一歩は、基礎と原則をしっかり理解することから」という見解。梅田校は、これまで駿台予備学校が培ってきた集団授業のノウハウと、梅田校独自の少人数制のメリットを巧みに活かし、初年度の合格実績も上々のようだ。2024年度はより充実したサポート体制に向けて進化する予定とのこと。今後も期待したい。

関西唯一!駿台の医学部専門校舎「駿台梅田校」
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《なまず美紀》

なまず美紀

兵庫県芦屋市出身。関西経済連合会・国際部に5年間勤務。その後、東京、ワシントンD.C.、北京、ニューヨークを転居しながら、インタビュア&ライターとして活動。経営者を中心に600名以上をインタビューし、企業サイトや各種メディアでメッセージを伝えてきた。キャッチコピーは「人は言葉に恋♡をする」。

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