東京都教育委員会は2024年8月22日、「都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)」について、都民からの意見募集を開始した。困難を抱える生徒の新たな受入環境充実校として深沢高校を2026年度改編、立川地区チャレンジスクール(仮称)の2025年度新設などを盛り込んでいる。意見募集は9月20日まで。
現在、都立高校において不登校・中途退学を経験した生徒、日本語指導が必要な生徒、家族の世話などをしている生徒(ヤングケアラー)など、困難を抱える生徒が増加傾向にあり、生徒のニーズも多様化している。東京都教育委員会によると、困難を抱える生徒が多く在籍する一部の学校は受入環境の改善が必要な状況にあり、支援策の実施にあたっては関係者がさまざまな側面から連携して取り組む必要があるという。
そのため、東京都教育委員会は困難を抱える生徒への支援を総合的に進め、都立高校における多様な生徒たちの学びや成長を支える学習・教育環境の充実を図ることを目的に「都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)」を策定した。
プランの計画期間は、2025年度から2027年度までの3年間。「生徒が相談できる体制の充実」「生徒の事情や悩みに応じた適切な支援」「困難を抱える生徒の受入環境の充実」という3つの観点から、支援の取組みを示している。
「生徒が相談できる体制の充実」では、悩みなどをスクールカウンセラーやユースソーシャルワーカーに相談できる体制の充実、教室以外の生徒の居場所や相談場所として「校内居場所カフェ」や仮想空間上の学習環境の提供などを盛り込んでいる。
「生徒の事情や悩みに応じた適切な支援」では、不登校経験のある生徒等の学び直しのため、基礎的な科目を設置し、少人数のきめ細かい指導を通して学力の定着を図る。日本語能力が入門・初級レベルの新入生のため、春期・土曜日本語講座を実施。発達障害のある生徒が学習上または生活上の困難を克服できるように自校通級の取組みなどを推進する。
「困難を抱える生徒の受入環境の充実」では、多様な生徒に幅広く対応できる、柔軟できめ細かな教育課程や教育相談体制の充実を図った新たなタイプの学校を開校。不登校経験のある生徒等にとって適切な環境を用意しているチャレンジスクール等を新設・増学級する。極端な小規模化により学習環境に課題が生じている一部の夜間定時制課程は募集停止し、生徒を適切な環境で受け入れる。不登校経験のある生徒など、多様な生徒の実情に対応した入学者選抜のあり方を検討する。
新たな受入環境充実校として、深沢高校(世田谷区)を2026年度に改編。チャレンジスクール等の新設・増学級では、立川市に立川地区チャレンジスクール(仮称)を2025年度新設。砂川高校(立川市)昼夜間定時制課程に2025年度夜間部1学級増、六本木高校(港区)チャレンジスクールと大江戸高校(江東区)チャレンジスクールに2026年度各1学級増とする。
夜間定時制課程については、立川高校(立川市)が2025年度募集停止。小山台高校(品川区)、桜町高校(世田谷区)、大山高校(板橋区)、北豊島工科高校(板橋区)、蔵前工科高校(台東区)、葛飾商業高校(葛飾区)の6校は2026年度に募集を停止する。
意見募集は9月20日まで、Webフォームまたは郵便で受け付ける。WebフォームはURLまたはQRコードから提出フォームにアクセスし、各項目に入力して送信。郵送は、参考様式にある項目を記載し、東京都教育庁都立学校教育部高等学校教育課都立高校改革推進担当宛てに送付する。メールや電話、FAXによる意見は受け付けない。意見は日本語で記載する。複数の論点で意見を寄せる場合は、論点ごと1件として作成する。寄せられた意見は、個人情報を除き公表することがある。個別の回答はしない。
「都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)」は、東京都教育委員会や東京都のWebサイトで概要版と本文を公開している。
◆都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)意見募集
募集期間:2024年8月22日(木)~9月20日(金)
応募方法:Webフォームまたは郵送で提出
※郵送は当日消印有効