チャイルド・ファンド・ジャパン(東京都杉並区)は、全国の15~79歳の男女を対象に「生成AIと子供の人権侵害」に関する意識調査を実施した。調査結果から、生成AIによる子供の人権侵害が起こると考える人が大多数であり、法令規制とAIリテラシーの習得を求める声が多いことが明らかになった。
生成AIやディープフェイク技術の急速な進化により、大量の画像が瞬時に作成・拡散される現代社会では、生成AIによる子供の性虐待コンテンツ(CSAM)やディープフェイクの問題が広がりつつある。このため、法整備や社会の意識向上が求められている。チャイルド・ファンド・ジャパンは、子供たちを性搾取から守るための取組みとして、若者を対象としたグルーミングに関する調査や注意喚起のためのアニメーション動画の作成を行ってきた。
今回の調査は、2025年1月26日から2月8日にかけて、全国の15~79歳の男女1,200名を対象に実施。調査方法は調査員による個別訪問留置調査で、日本リサーチセンターが行った。
調査結果によれば、生成AIによる子供への人権侵害が起こると考える人が多く、「発生しない」と考える人は6.9%にとどまった。ディープフェイクなどの生成AIによるCSAM被害者が身近に「いない」と回答した人が75.4%で大多数であったが、「わからない」との回答が23.3%あり、約4分の1を占めた。
法令規制については、「実在する・実在しないに関わらず、すべて禁止するべき」との意見が72.0%でもっとも多く、「実在する児童を加工した場合も禁止するべき」(15.9%)、「実在する児童がいる場合のみ禁止するべき(現行法令どおり)」(10.8%)と続いた。また、未成年のSNS利用禁止に「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した人が80.8%にのぼった。
調査チームは、生成AIによる子供への人権侵害が懸念されることから、法令規制の検討を求めると提言。具体的には、児童の性的表現を含むコンテンツの全面禁止の検討、CSAMを子供同士のいじめ・いやがらせとも認識して規制を議論すること、また、ディープフェイクなどの生成AIによるCSAM被害者の認識はほぼなかったものの「わからない」との回答が多かったことから、15~19歳の男女に対してより丁寧な調査、未成年のSNS利用禁止について、反対が多い15~19歳の男女の意見を聞きながら議論すること、などを求めた。
チャイルド・ファンド・ジャパンは、引き続き、子供の権利を守るため、政策提言や子供・若者へのさらなる調査などの活動を行っていくとしている。調査結果の詳細や提言内容は、同団体のWebサイトで公開している。