「New Education Expo 2011(NEE2011)」で理科、算数・数学の教科書出版で実績のある啓林館は、小学校向けデジタル教科書を展示している。 まずは小学校向けの指導用デジタル教科書「わくわく理科」(3~6年)、「わくわく算数」(1~6年)を発売。平成24年度には、中学校1~3年生向けの指導用デジタル教科書を発売する予定だ。 ブースでは小学3年生の「わくわく理科」のデモを行っていた。従来の紙の教科書と同じ内容が見開き2ページごとに電子黒板に表示され、デジタルペンで拡大、関連写真の表示、音声再生、動画再生といった操作が行える。同社のデジタル教科書はシンプルな作りで操作性を追求しているそうだが、従来の教科書のイメージそのままに、機能を示すアイコンが追加されており、直感的に操作できるという印象だ。 たとえば「身近なしぜんのかんさつ」の単元では、鳥の写真を表示して声を聞いたり、拡大写真で昆虫の体のつくりを観察したり、「電気で明かりをつけよう」の単元では、導線をつないで明かりがつくようすを動画で観察したりといったことが可能だ。実験を行ったり、実物に触れることも大切だが、教室では再現困難な事象の確認や、実験の補足など、効果的に利用することで、子どもたちの興味を引き出したり理解を深めることに活用できそうだ。 デジタル教科書の制作にあたって出版社側には、従来の教科書とは別に著作権処理を行う必要があり、著作権者の理解が得られないケースや、従来の教科書に比べ掲載料が嵩むといった問題があるそうだ。これにより、一部の教科書会社では、教科書に掲載されている写真が、デジタル教科書には利用できないといったケースも生じているという。 一方教育現場においては、テレビ(モニター)はあっても電子黒板のシステムがない、あるいは通常の授業で使えるテレビがないなど設備面の問題もあり、普及には高いハードルがありそうだ。担当者は正確な数値ではないとしながらも、デジタル教科書の採用率は、教科書採用校の10~20%程度に留まっているのではないかと説明する。 「わくわく理科」「わくわく算数」ともに学年ごとに購入が必要で、校内ライセンスフリー版が52,500円、教育委員会向けサーバー対応版が52,500円×学校数。教育委員会のサーバーにインターネット経由で接続して利用する、クラウドの利用も進んでいるそうだ。 他にも多くの企業が、デジタル教科書・デジタル教材を出展している。
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