eラーニングのプラットフォーム化で塾が変わる…すららネット戦略発表会

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すららネット 代表取締役社長 湯野川孝彦氏
  • すららネット 代表取締役社長 湯野川孝彦氏
  • すららネットの教材の特長
  • 教材コンテンツの一例。音声とアニメーションで構成され、出される問題も選択式からキーボード入力など段階的に難しくなっていく
  • 理解と定着を考えた学習フロー
  • 生徒の回答、操作のログはすべて保存され、個別に問題の難易度がかわったり、教材コンテンツそのものの改善にも利用される
  • ゲーミフィケーション機能も取り入れ、生徒の集中力やモチベーションアップを図る
  • すららネットを利用した個別学習塾のようす
  • 生徒の集中力に見学者は驚くという
 すららネットは11月7日、同社のeラーニングシステムをプラットフォーム化し、旺文社らの教材コンテンツの提供を開始すると発表した。その戦略発表会では、同社の今後の展開や、塾の形態や講師の役割の変化などについても言及した。

 すららネット独自のeラーニングコンテンツとシステムは、特に低学力生徒の学力向上に強いという特長をもつという。PCとインターネットの機能を活用し、カリスマ講師の映像を配信するだけや、あるいは問題集をひたすらこなす自習型と違い、理解と定着(反復練習)を重視し、インタラクティブ機能、アニメーション機能、コミュニケーション機能、さらにゲーミフィケーション(ランキング、ステータス・アイテム等)の手法も取り入れることで、高い学習効果を誇るという。

 すららネットのシステムは、「すららLMS(Learning Management System)」というプラットフォームに同社独自のコンテンツを乗せ、SaaS方式で教材サービスを提供するものだ。今回の発表では、すららLMSを提携するパートナー企業にも開放し、すららネット以外のコンテンツや教材の配信も可能にするという。

 発表では、旺文社の「計算マスターへの道」やSkypeを利用した英会話レッスン「おしゃべリンガ」(4Communication Co., Inc.)など、実用的な教材コンテンツもラインアップされるという。ほかにも「スタディパーク」(がくげい)のオンライン化、「すららevery day TOEIC」、「中学英単語ターゲット1800 改訂版」と「中学英熟語ターゲット 380 改訂版」をオンライン化する「英単語マスターへの道(仮称)」(旺文社)、「速さはかせ・割合はかせ」(都麦出版)などを順次投入していく予定だ。

 すららネット 代表取締役社長の湯野川孝彦氏は、「すららのシステムをプラットフォーム化することで、パートナー企業はコンテンツの新しいチャネルとゲーミフィケーションなどの機能を手に入れることができ、すららネットとしても、これまでのコンテンツになかった機能(Skype英会話など)や幅広いターゲットにサービスを展開できます」と、その効果と狙いを述べた。

 続けて戦略説明では、「eラーニング市場は全体としては減少傾向にありますが、ネットワーク利用の市場は小さいながらも伸びています。そして、NTT西日本やベネッセの調査でも、若い親、ゲーム世代の親ほど、学習ソフトやデジタル教育プログラムの利用をポジティブに考えています。すららネットが展開する、大手塾や企業向けでないeラーニングのBtoC型の市場は今後も伸びる市場といえます」(湯野川氏)と述べ、今後の市場拡大に意欲を見せる。

 すららネットを使ったeラーニングの個別学習塾は、ネットカフェか先端オフィスのようにPCが並んだ教室で、一般的な塾の趣はない。見学に訪れる塾関係者は、真剣に学習する子どもたちの集中力に驚くという。もちろん、講師もついているが、勉強を教えるというより、生徒のコーチ役だったりモチベーションを維持する役だったりと、役割も変化してきているそうだ。

 さらに湯野川氏が強調するのは、既存の塾がすららネットのシステムを教材のひとつとして採用する例ではなく、個人などがすららネットのシステムで独立開業する契約学習塾が、2011年5月から急激に増えていることだ。すららネットの契約学習塾はフランチャイズではないので、加盟金などが不要で、低い初期投資で開業が可能だ。授業料も塾側が自由に設定でき(生徒が自宅でオンライン学習するパターンにはガイドラインの設定あり)、授業スタイルなど付加価値も塾ごとにつけられるので、経営の自由度が高い。ネット環境とPCがあればよいので、自宅や小さいオフィスを借りて開業する人も多いそうだ。

 すららネットの今後の展開としては、パートナー企業のコンテンツ開拓、特に現状のすららネットにないコンテンツに力を入れるとともに、現状FlashベースのプラットフォームをHTML5対応させ、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末へのサービス展開も検討しているという。現状でも、旺文社の「計算マスターへの道」はHTML5対応するそうだ。

 プラットフォームのオープン化にともない、受験対策コンテンツへの展開はどうかという質問に対しては、「すららネットのポリシーが学力格差問題への取組みにあり、また特殊なスキルやノウハウの必要な受験対策分野への積極的な展開は考えていませんが、現状でも偏差値50前後の生徒さんを60前後まで向上させることができているので、その範囲で受験対策に活用することはできると思います」と回答した。

 数値的な事業目標としては、契約学校数を現在の50から100校へ、契約塾数を同400から1,000校舎へ、生徒総数を5万人まで増やしたいとした。

 eラーニングベースの学習塾は、受験対策や進学塾では敬遠されがちかもしれないが、学力格差の問題などに取り組むすららのシステムは、リーズナブルな価格や手軽さから、教える側、教わる側ともに、これらかのニーズを捉えたものといえるだろう。
《中尾真二》

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