広尾学園のインターナショナルクラス1期生、UCLAとトロント大学に進学

 広尾学園は、トップレベルの国際人を育成することを目的としたインターナショナルクラスを設けており、同クラスの1期生が2013年3月に卒業した。UCLAやトロント大学といった海外名門大学への進学を決めた卒業生2名と、4月から同学園の校長に就任した田邉裕氏に話を聞いた。

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校長先生と海外の大学について語る卒業生
  • 校長先生と海外の大学について語る卒業生
  • 広尾学園中学校・高等学校 田邉裕校長
  • 山口真凜さん(広尾学園インターナショナルクラス第1期卒業生:UCLAへ進学予定)
  • 尾崎みみ子さん(広尾学園インターナショナルクラス第1期生卒業生:トロント大学へ進学予定)
  • インタビューに答える卒業生2人
 広尾学園は、トップレベルの国際人を育成することを目的としたインターナショナルクラスを設けており、同クラスの1期生が2013年3月に卒業した。UCLAやトロント大学といった海外名門大学への進学を決めた卒業生2名と、4月から同学園の校長に就任した田邉裕氏に話を聞いた。

◆海外では語学力より教養力と専門分野に対する情熱が求められる

 2013年4月から校長に就任した田邉氏は「生徒に国際的な感覚を身に付けてもらい、研究者や学者としての考え方・スキルを身に付けてもらうことを重視しています」と語る。そのプロセスにおいて学校は、生徒の進むべき道、行先のガイドとなる存在であるべきだと話す。

 田邉氏は、1960年代後半のフランス・ブルターニュの大学への留学経験を皮切りに、70年代後半からはパリ大学の客員教授として、90年代にはパリ国際大学都市にある日本館の館長も務めている。専門は政治地理学で、国内では東京大学、慶應義塾大学などで教鞭をとっており、現在は東京大学の名誉教授。以前は、中高生が授業で使う地図帳や現代社会の教科書の執筆なども行っていたという。

 学者として海外経験が豊富な田邉氏は、海外の大学に進学する上で重要なのは、研究したい専門分野をしっかり持っているかどうか、研究意欲があるかどうか、そして研究に最低限必要な教養を身に着けているかどうかだという。日本では、留学の前提として語学力の必要性が過剰評価される傾向にあるが「その国の言葉や英語がいくら流暢に話せても、自国のことについての知識があり一定の見解を持って話せるようにならないと海外では尊敬されない」と田邊氏はいう。語学力は最低限の前提とした上で、専門分野の教養を志願時に求められるのが海外の大学だということだろう。

◆広尾学園のインターナショナルクラス

 広尾学園中学校のインターナショナルクラスは、国際生や帰国子女の受け皿として作られたクラスだが、英語ができなくても、海外の大学に進学したい希望があればインターナショナルクラスへの入学も可能だ。

 現在は、中学生のインターナショナルクラスを「アドバンストグループ」と「スタンダードグループ」に分け、アドバンストグループは主に国際生や帰国子女、スタンダードグループは入学後に語学力を身につけ、国際的な活躍をしたいと望む生徒のために用意されている。中学生としての3年間をともに過ごすことで、スタンダードグループの生徒は英語力を飛躍的に伸ばし、アドバンストグループの生徒は英語力をさらに伸ばしつつ、英語で深い教養を身につけることができる環境が整っているという。

 日本語、英語ともに生徒それぞれのレベルが異なる中、生徒それぞれの目標を達成するための教育プログラムと、帰国子女やさまざまな国籍の生徒が共に学ぶ、国際的な環境が特徴だろう。生徒たちの「個」のニーズに対応した教育が強く求められる近年の傾向に適した教育環境だろう。
《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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