永久歯への移行時期が矯正治療開始のタイミング、2年で一生ものの歯並び

 子どもの歯の矯正治療には年々関心が高まっているが、いつ頃から始めればよいのか、子どもの負担にならないかなど、ざまざまな不安から治療に踏み切れない保護者も多いという。子どもの歯の矯正治療について専門医に聞いた。

生活・健康 健康
スーパースマイル国際矯正歯科の賀久浩生氏と賀久麻織氏
  • スーパースマイル国際矯正歯科の賀久浩生氏と賀久麻織氏
  • 中央の透明な矯正装置がインビザライン
  • インタビューに応える矯正歯科専門医の賀久浩生氏
  • インタビューに応える小児歯科専門医の賀久麻織氏
  • インタビューに応える賀久浩生氏と賀久麻織氏
  • 治療方法の紹介
  • 診療エリアの様子
  • 治療に通う子どもたちの写真
--透明なマウスピース「インビザライン」を使うメリットは何でしょうか。

 まず、透明なので装着していることが分かりにくいというメリットがあります。加えて、取り外せるので、食後の歯磨きやフロスといった歯の手入れがしやすく、虫歯になりにくいというメリットがあります。また、ワイヤーとブラケットを使った従来の治療法は、ブラケットの出っ張りが口腔内に違和感を与え、口内炎につながることもありますが、インビザラインではその様な心配もいりません。そういったところも違和感の少ないアライナーの特長かもしれません。

 子どもを対象とした目線で考えると、インビザラインには永久歯が完全に生えそろっていない時期から使える子ども向けの「インビザライン・ティーン」があり、実は、中学受験の真っただ中にいる私たちの息子も使っています。交換も自分でスケジュールを確認しながらやっており、特にストレスは感じていないようです。

 また、固定式と違って、何か硬い物を食べてワイヤーが外れるといったことがありません。ですから、受験勉強中のお子様が、塾が忙しくてすぐには歯科医院に行けず、長期間装置が外れたまま放置して矯正が進まなかった、といったリスクを減らすこともできると思います。

--矯正治療は欧米のほうが進んでいると聞きますが、実際にそうなのでしょうか。

 矯正治療が生まれたアメリカでは、歯を見せて大きく笑うことが文化になっているところもあり、小さい頃に矯正をすませているかどうかが家庭の生活レベルの指標となっているとも言われています。フィンランドなど北欧の国では、国が子どもの矯正歯科治療をサポートしていることもあり、非常に受診率が高くなっています。

 その一方、日本では、海外から来た歯科医師の知人たちは口をそろえて、「日本には矯正が必要な人がたくさんいますね」と驚きます。日本には、古くは「おはぐろ」や、笑うときに口元を手で隠す仕草など文化的な背景もあるように思います。

 歯は、美容整形と違い、食べたり、しゃべったりといった「機能」が大事です。矯正は努力すれば必ず結果が出ますし、将来にわたってお子様に残るものですから、時期を逃さず効果的な矯正をおすすめします。

--ありがとうございました。

 一生に一度の機会と賀久氏が話す乳歯から永久歯への生え変わり期は、家庭によっては中学受験対策の真っ最中。子どもの将来を左右する可能性のある受験と、子どもが一生使い続ける歯を天秤にかけるのは難しい。一方で、受験においても、歯の矯正治療においても目標に向かって努力する子どものモチベーションが必須であり、二者択一ではないと賀久氏は語る。海外での活躍が期待される現代の子どもたちは、世界基準の歯並びも求められるのかもしれない。
《柏木由美子》

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