学習効果については、たとえばパーツの形の識別や組み立て図による立体のイメージなど、空間認識能力のよいトレーニングになると思われる。部品は色分けされており、附属の組み立て図もフルカラーでかなり正確なイラストだが、複雑になってくれば、注意力や観察力が必要だし、同じパーツでも右側、左側で取り付け位置が変わるものも認識しなければならない。 複雑な機構の組み立て方やブロックの拡張や改造を通じて、機構部分の構造や設計スキル向上にも役立つはずだ。モーター、歯車、ロッドやリンクによっていろいろな動きを実現できるが、ブロックによってそれを実験しながら確認できる。こういう動きをさせたいが、どんな部品や機構が利用できるか、となったとき、レゴの経験は役立つだろう。 つまり、「教育版レゴ マインドストームEV3」には、エンジニアリングに必要な要素がすべて詰まっているといえる。STEM教育というと3Dスキャナーと3Dプリンタが注目されているが、すでにでき上がったものや誰かが作ったものの立体コピーを作るだけになってしまう危険性がある。3Dのモデリングソフトで「モノ」を設計する場合、レゴから複雑なものを組み立てる経験や訓練は、モデリングソフトを効果的に使うために役立つだろうし、新しいものを作るためには欠かせない基本スキルとなるだろう。教育版レゴ マインドストームEV3