文部科学省は、学校における自殺予防教育導入の手引「子供に伝えたい自殺予防」を作成し、ホームページ上に公表した。児童・生徒に自殺予防教育を導入するための目標や展開例、留意点などを教師向けに具体的に示している。 内閣府と警察庁の統計によると、小中高生の自殺者は毎年300件前後に上る。文科省の分析によると、死亡した児童・生徒の状況では、精神科医などの治療経験がある(13.5%)、進路問題(11.9%)、独特の性格傾向(10.5%)、自殺をほのめかしていた(10.1%)、不登校または不登校傾向(9.9%)、保護者との不和(9.9%)などに該当する割合が高い傾向にあったという。 「子供に伝えたい自殺予防」は、「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」が作成した。同省が子どもの自殺予防のために発行した冊子としては、「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」(平成21年3月)、「子どもの自殺が起きたときの緊急対応の手引き」(平成22年3月)に続き、3冊目となる。 冊子では、子どもに自殺予防教育を実施する上での前提条件として、「関係者間の合意形成」「適切な教育内容」「適切なフォローアップ」を提示。校内実施組織の構築、生徒を対象とした自殺予防教育プログラムの実例、学級集団のアセスメント(状態把握)などについて具体的に解説している。 巻末の「自殺予防に関するQ&A」では、現場の教師が自殺予防に関して抱く一般的な質問とその答えをまとめている。