公教育への機会、家庭の経済状況で最大18倍差…ユニセフ報告書

 ユニセフは1月22日、報告書「教育と公平性への投資事例」を発表した。世界の多くの国々で子どもたちへの教育に投じられる公的資金は、家庭の経済状況で最大18倍の格差があることが明らかになった。

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小学校で授業に参加する男の子(インド)
  • 小学校で授業に参加する男の子(インド)
  • 小学校で勉強する子どもたち(エチオピア)
  • 首都バンギの避難民キャンプにユニセフが設置した「子どもにやさしい空間」のアクティビティーに参加する子どもたち
 ユニセフは1月22日、報告書「教育と公平性への投資事例」を発表した。世界の多くの国々で子どもたちへの教育に投じられる公的資金は、家庭の経済状況で最大18倍の格差があることが明らかになった。

 同報告書は、ニューヨークのユニセフ本部が発表した「The Investment Case for Education and Equity」(日本語表記:教育と公平性への投資事例)。大きく4つの章に分けて報告している。

 世界の多くの国々で子どもたちへの教育に投じられる公的資金は、もっとも貧しい20%の世帯の子どもへの額が、もっとも裕福な20%の世帯の子どもへの額と比べて著しく少なく、その格差は最大18倍にも上る。また、もっとも高い教育を受ける上位10%の学生に配分されている資金は、低所得国では平均46%、低中所得国では26%と不均衡である。そのため、もっともレベルの高い教育を受けている裕福な世帯の子どもが有利になるという。

 世界には初等・中等教育学齢期の子どもが約10億人いるが、5,800万人の小学校学齢期の子どもが学校に通えていない。また、学校に通って授業を受けている子どもの多くが実際に学習していない。4年生になる子どもの1億3,000万人は、読むことや計算の基礎を習得していないことが明らかになった。この状況は学齢児人口が増加するにつれ、悪化する見込みだという。

 しかし、教育における公的資金の額は減少しており、低所得国46か国では基礎教育の普及への資金の割当てが年間で260億米ドル不足している。さらに2009年以降、教育分野への政府開発援助は10%減少している。

 ユニセフは報告書で「教育分野への支出の増加」「より効果的な資金の活用」「より公平な分配の確保」を政府やドナーに要請している。ユニセフ事務局次長のヨカ・ブラントは、「根強い貧困の悪循環と、子どもや家族、国々の不利益を絶つことができるのは、教育である、ということを私たちは前々から理解しています。しかしそれには、政府と民間によってより多くの資金投入が行われるだけではなく、それらが、より賢明に教育分野へ活用される必要があるのです」と述べている。
《工藤めぐみ》

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