◆「プログラミング教育実践ガイド」に見る小学校のプログラミング教育 文部科学省では、初等中等教育におけるプログラミング教育を推進するために、教員向けの「プログラミング教育実践ガイド」を2015年4月に公開。児童生徒の発達段階に応じた12の事例を紹介している。 たとえば、小学一年生の事例としては、東京都多摩市立愛和小学校が生活科の特別活動で、iPadで自分が描いた絵をいろいろな向きに動かすプログラムを作成。自分で考えて絵を動かすことを喜ぶ感想が紹介されているほか、指導者側に十分な知識や経験がなくても、子ども達が自ら操作し、互いに教え合ったり、アイデアを共有することで自分も同じものをつくりたいという新たな挑戦する態度も見られたという。 また、長野市立芹田小学校が小学4年生を対象に図画工作の時間に行った授業として、自分たちで作った寿司ネタでお寿司屋さんを開くという単元全体の課題の中で、それを届けるセンサー付きロボットカーの制御でプログラミングを活用。グループ内でトライアンドエラーを繰り返したり、プログラミングを分担したりする姿が見られたという。 なかには、「エラーが出てくるので途中でイヤになった」という高校生のコメントもあるが、「つくる側の意識をもつことができるようになった」「自ら修正を重ねて作り上げていく姿勢が見られるようになった」などの児童生徒の変容が報告されている。 子ども達は本来、遊び方を工夫したり、新しい遊びを創り出すのが大好きだ。プログラミングは工夫次第でいろいろなものが作れるのだから、興味を引く課題を設定することで、子ども達の才能を伸ばすことにもつながるのではないだろうか。民間のワークショップでは、子どもが主体的に考えられるように教え方に工夫をしている。しかし学校でのプログラミング教育では、プログラミングを教えられる指導者や教材の開発、最新のITのキャッチアップ、さらには成績基準など、いろいろと課題も多い。 第3回では、日本よりも学校におけるプログラミング教育の必修化が進んでいると言われる海外の現状を見ていく。