プログラミング授業「楽しかった」小1の98%…武雄市のICT教育

 東洋大学は6月9日、同大白山キャンパスにて、佐賀県武雄市のICTを活用した教育の検証報告を行った。小学1年生に8回にわたって実施したプログラミング授業は98%が「楽しかった」と回答し、楽しくなかったと回答した児童はいなかったという。

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プログラミング授業「楽しかった」小1の98%…武雄市のICT教育
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  • プログラミング授業に関するアンケート結果
  • 検証報告会の登壇者
  • スマイル学習の概要
  • 必須授業時数に占めるスマイル学習の対象率
  • 学校別スマイル学習実施率(2014年度)
  • スマイル学習を楽しみにしている割合(算数)
  • スマイル学習を楽しみにしている割合(理科)
 東洋大学は6月9日、同大白山キャンパスにて、佐賀県武雄市のICTを活用した教育の検証報告を行った。小学1年生に8回にわたって実施したプログラミング授業は98%が「楽しかった」と回答し、楽しくなかったと回答した児童はいなかった。

 東洋大学現代社会総合研究所は武雄市とICT教育全般についての協定を結び、武雄市に対してICT教育の検証と推進を行っている。武雄市は検証で得られたデータを同研究所に提供し、このたび第1次検証報告書としてまとめた。検証の結果について、東洋大学副学長の松原聡氏が報告した。

 武雄市はICTを活用して、スマイル学習やプログラミング教育のほか、タニタと共同で食育教育などを行っている。スマイル学習とは、タブレット端末を自宅に持ち帰った児童が動画を用いた予習を行い、翌日の授業で発展的な内容に取り組む学習方法。2014年5月より武雄市内の11市立小学校にて3年生以上の算数と4年生以上の理科で実施しているという。

 授業時間の約20%(週1~2回)がスマイル学習に割り当てられており、実施率の高い小学校で算数が94.2%、理科が93.4%、実施率の低い小学校で算数が43.6%、理科が33.6%となった。スマイル学習を楽しみにしている児童の割合は、「とても楽しみ」「少し楽しみ」を合わせると、算数は毎月ほぼ80%を超え、理科はすべての月で80%を超えた。理解度について、算数は「よくわかった」と回答した児童が徐々に増え、理科は半数以上の児童が「よくわかった」と回答した。

 武雄市ではICT教育の一環として、ディー・エヌ・エー(DeNA)が中心となってプログラミング教育に取り組んでいる。2014年9月に武雄市と東洋大学、DeNAの3者は「プログラミング教育に関する協定」を締結。2014年10月より山内西小学校の1年生39人にプログラミング教育を開始し、全8回の授業を行った。プログラミング授業は、DeNAのCTO川崎修平氏が小学校に出向いて教えた。

 プログラミング授業が楽しかったか聞いたところ、「楽しかった」98%、「どちらでもない」2%で、楽しくなかったと回答した児童はいなかった。8回の授業終了後に何が楽しかったか聞いたところ、「発表する」38%、「キャラクターを動かす」36%との回答を得た。

 武雄市教育長の浦郷究氏は「今年度もプログラミング教育に前向きに取り組んでいく」とし、昨年実施した1年生は、今年2年生になっても引き続きプログラミング授業を行う。また、昨年度の実績を踏まえて、小学1年生向けの授業の対象校を2校に拡張して実施する。

 武雄市のICTを活用した教育のねらいについて、市長の小松政氏は「学ぶ楽しさ、学習意欲の向上」「ICTを使った、ひとりひとりに応じたきめ細かい学力の向上」「アクティブラーニングの推進」の3点をあげる。「ICT教育が注目されていることから、今回の検証結果は、武雄市だけでなく全国の教育にとって価値のあるものであると認識している。検証結果を踏まえ、引き続きPDCAサイクルを回して、さらに子どもたちの学力向上、将来に向かって生きていく力の育成に努めていきたい」と述べた。

 なお、第2次検証報告は、2015年秋に発表を予定している。
《工藤めぐみ》

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