負担の大きい教職員の仕事は? 業務改善指針公開

 文部科学省は7月27日、多忙化が指摘されている教員が子どもと向き合える時間を確保するため、学校現場の業務改善のガイドラインを公開した。教員の能力を高め、その力を発揮できる環境を整えることを支援する。

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学校現場における業務改善のためのガイドライン
  • 学校現場における業務改善のためのガイドライン
  • 副校長・教頭の従事率50%以上の業務に対する負担感率
  • 教諭の従事率50%以上の業務に対する負担感率
  • 各学校における業務改善の取組み内容
 文部科学省は7月27日、多忙化が指摘されている教員が子どもと向き合える時間を確保するため、学校現場の業務改善のガイドラインを公開した。教員の能力を高め、その力を発揮できる環境を整えることを支援する。

 同冊子は教職員の業務実態を調査したうえで、実態を踏まえた業務改善のための基本的な考え方と改善の方向性、実践事例などを取りまとめた。調査は平成26年11月、全国の公立小中学校451校に在籍する教職員を対象に実施し、9,848人から有効回答を得た。学校現場の業務を71業務に分類し、実施体制や改善策、教職員の従事状況や負担感などを調査している。

 副校長・教頭に聞いた場合、従事率50%以上の業務に対し、もっとも負担感率が多かった業務は「国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応」で小・中学校ともに80%を超えた。「給食費の集金、支払、未納者への対応」、「保護者・地域からの要望・苦情等への対応」、「学校徴収金に関する業務(未納者への対応)」も60%以上と負担に感じている割合が多かった。

 教諭に聞いた場合、従事率が50%以上の業務でも、負担感率がもっとも多かったのは「国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応」で80%を超えた。「研修会や教育研究の事前レポートや報告書の作成」や「保護者・地域からの要望・苦情等への対応」の負担感も70%以上と多く、ついで「児童・生徒、保護者アンケートの実施・集計」や「成績一覧表・通知表の作成、指導要録の作成」に負担を感じる教員が多かった。

 各学校がすでに行っている業務改善の取組みでは、小・中学校ともに「ICTの導入」が多くあげられ、成績一覧表・通知表の作成、指導要録の作成や、学期末の成績・統計・評定処理などの業務に利用されている。「事務職員との役割分担」による取組みは、給食費や学校徴収金に関する業務などに多く、「地域人材の活用」は、保護者・地域からの要望・苦情などへの対応に関する業務などで多く取り組まれている。また、これらは業務の種類に応じてさまざまな手段を組み合わせている状況といえる。

 ガイドラインでは実態調査の結果を踏まえ、今後の業務改善の基本的な考え方と改善の方向性を5つの観点で整理。「校長のリーダーシップによる学校の組織的マネジメント」、「教員と事務職員等の役割分担など組織としての学校づくり」、「校務の効率化・情報化による仕事のしやすい環境づくり」、「地域との協働の推進による学校を応援・支援する体制づくり」、「教育委員会による率先した学校サポートの体制づくり」のポイントを教育委員会対象と教育委員会・学校対象の項目に分けて示した。

 冊子では、積極的に業務改善に取り組む自治体の先進的な実践事例を18事例紹介しているほか、国の支援策を紹介している。
《勝田綾》

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