【AO入試の基礎8】オープンキャンパス「後」に必ずしたい2つのこと

 AO入試や推薦入試を受ける予定の子どもの保護者の質問に、教員経験をもち、総合キャリア支援団体「MyCareerCenter」を運営する岡村洋平氏が答える連載「AO入試の基礎」。第8弾では、夏休みに多くの大学で行われるオープンキャンパスについて話を聞いた。

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 AO入試や推薦入試を受ける予定の子どもの保護者の質問に、教員経験をもち、総合キャリア支援団体「MyCareerCenter」を運営する岡村洋平氏が答える連載「AO入試の基礎」。第8弾では、夏休みに多くの大学で行われるオープンキャンパスについて話を聞いた。

◆AO入試受験を考えているのなら、大事なのはオープンキャンパスに行った「後」

 AO入試での合格を目指している人にとって、夏休みを中心に多くの大学で行われるオープンキャンパスは、大学と自分自身とのフィット感を体感する絶好の機会。前回は、オープンキャンパスに行く際のチェックポイントをお伝えしました。今回は、オープンキャンパスに行ってきた「後」にお子さまに行わせてほしいことを紹介します。

 というのは、AO入試での受験を検討する人は、オープンキャンパスへ行く目的が、一般受験を検討する人とはそもそも異なっているからです。一般受験の場合、オープンキャンパスは志望大学を決め、入学への意志を固め受験勉強への動機付けを高めることが目的です。ですので、「すごくよかった」「行ってみたいと思った」という感想を持ち帰って来ることができれば、多くの場合、それで良いのです。逆に、「あまり行きたくないと思ってしまった」という感想でも構いません。

 しかし、AO入試での受験を検討している場合は、それでは不十分です。というのは、オープンキャンパスで感じたことは、志望校を検討する大きな材料になるうえ、志願書類や当日の面接で語る内容にも成り得るからです。

 そのため、「すごくよかった」「行ってみたいと思った」というだけで終わらせてしまっては、せっかくの大切な機会を、十分に生かしきれていないことになってしまいます。それでは、以下でやるべきことを2つ紹介しましょう。

◆どのようなところを良いと思ったか、なぜそのように思ったのかを記録しておこう

 1つ目は、「何がどのようによかったか」「なぜそのように思ったのか」を、きちんと言葉に落とし、残しておくこと。というのは、ここで感じていたことは、先にも述べたように、志望校を検討する大きな材料になるうえ、志願書類や当日の面接で語る内容にもなりえるからです。なるべく記憶が明らかなうちに掘り下げて、かつ記録しておきたいのです。

 ちなみに、ほとんどの高校生にとってこれまであまり足を運んだことがない大学は、スケールにせよ設備にせよ、そして大学生の雰囲気にせよ、おそらくはポジティブな印象であることが多いはず。家に帰ってきてから、高揚した気持ちが少し落ち着いたところで、具体的に「何を」「どのように」良いと思ったのかを考えさせるようにしましょう。

 そして、それを必ず紙に書かせるようにしましょう。可能であれば、あるいはお子さまと一緒に行ったのであれば、保護者の方と会話をしながら書かせると、より言葉が出てきやすくなるでしょう。

 紙に書くのは、「キャンパスの雰囲気に活気があった」「研究の設備が新しかった」など、きちんとした文章でなくても構いませんし、抽象的であっても構いません。他人に見せるものではないので、記憶が新しいうちにどんどん書かせることが重要です。また、「書く」ことによって別の記憶が触発されたり、観点の偏りなどがわかったりもするので、とにかく「書く」ことは大切にしてください。

 また、先の例で言うと、なぜキャンパスの雰囲気に活気を感じたか」という、「なぜ」についても書かせておくことが大事です。これが具体的であればあるほど、後に生きることはもちろんですが、お子さまが大学を選ぶ際に何を重視しているのかも知るヒントになるからです。

◆「いいと思ったところ」だけではなく、疑問点もきちんと挙げること

 2つ目は、あえて、オープンキャンパスに行ってみて、疑問に思ったところや、「良くない」と感じた点も挙げさせて、同様のことをしてみることです。

 この目的は2つあります。1つは、疑問に感じた点があれば、後に別の機会で大学に行ったり、(もしいればですが)先輩など、その大学に通う人に聞いてみるなどして、解消するため。「ちょっと引っかかったこと」は、案外、大事な着眼点だったりするからです。

 たとえば、「実は、司法試験を受けている人や合格した人って少ないのかも…」などと感じたら、それも記憶が鮮明なうちに書いておくようにしましょう。オープンキャンパスは重要な機会とはいえ、そこですべてを判断する必要もない一方、もやもやした部分はなくすべきなので、「後に知っておきたいこと・確かめておきたいこと」を挙げておければOKです。時間が経つと、良かったことばかりが印象に残り、こうした記憶が失われていってしまうので、必ず書いて残しておきましょう。

 もう1つは、疑問に感じたり「良くない」と感じた点などの「引っかかったこと」を通しての方が、「良いと思ったこと」を挙げていく場合よりもお子さま自身が大学に求めていることがわかることが多いからです。

 実際、先の例であれば「司法試験の合格や、学内の仲間と一緒に合格をめざしていける環境があること」が非常に重要と感じていることの裏返しだったりもしますし、こうしたポイントは、「良いと思った点」だけを並べても、なかなか出てこないものだったりします。

 オープンキャンパスは、年に数度しかない重要な機会。だからこそ、なるべく多くの情報を得る機会にし、志望校の決定や受験対策にも大いに役立てたいものです。行った「後」に時間を少し使うだけで、上記のことをしなかった場合と比べると、大学への理解やお子さま自身への理解は大きく変わるので、必ず行っていただければと思います。

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 連載「AO入試の基礎」は、AO入試や推薦入試を、学生やその保護者が受験をする際の「前向きな選択肢のひとつ」にするべく掲載されるシリーズ。次回もAO入試お役立ち情報を掲載する。

《編集部》

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