【高校受験2016】神奈川公立高校入試、トップ校の高倍率に変化なし…湘南ゼミナール

 面接試験必須、「特色検査」の導入など、独自の教育方針を推進する神奈川県。他県とは異なる、神奈川県の公立高校入試の傾向と対策を、湘南ゼミナールの進路情報戦略室長の金澤浩氏と、事業本部教務部長の伊藤圭以氏に聞いた。

教育・受験 中学生
「熱い先生が多い」という、湘南ゼミナール(撮影:稲葉九)
  • 「熱い先生が多い」という、湘南ゼミナール(撮影:稲葉九)
  • 湘南ゼミナール 進路情報戦略室長 金澤浩氏(撮影:稲葉九)
  • 湘南ゼミナール 事業本部教務部長 伊藤圭以氏(撮影:稲葉九)
  • 湘南ゼミナールの授業風景(提供:湘南ゼミナール)
◆トップ校では私立の複数併願が増加

--神奈川県の高校では、さまざまな試みが行われていますね。

金澤氏:指定校においても、他県では見られないぐらいバリエーションがあります。教育過程研究の推進校は公立で5校、国際バカロレアの趣旨をふまえた推進校1校が予定されています。さらに、新しい試みとしては「さかさま歴史教育」というものもあります。これは、通常過去からたどっていく歴史を現代から逆に学んでいく授業として、指定高校で実践されます。

--公立高校受験者は、どのぐらい私立を併願されるのでしょうか。

金澤氏:一般的には、公立高校を1校、併願で私立を1校受験するケースが多いです。ただ、トップ校の受験者は、私立を複数受けるケースが最近増えてきています。併願私立の選択肢が狭くてほぼ決まっていたこれまでに比べ、自分にあった学校を選びたいという傾向が高まり、チャレンジする生徒が増えています。

--平均で何校ぐらい受験していますか。

金澤氏:平均でいうと、併願する私立は1.2校ぐらいで、1校しか受けない受験者の方が、全体としては多いです。トップ校受験者に限っていえば、併願2校が平均です。

◆面接や特色検査対策で受験に備える

--湘南ゼミナールでの入試対策を教えてください。

伊藤氏:中学1年生は3科目で、中学2年生から5科目のコースになります。記述力を求められるため、全学年で記述対策講座がカリキュラムに含まれています。中3から特色検査対策用の講座やトップ校特訓講座もあり、学校別の出題パターンに合わせた対策を行っています。

 さらに、夏には名物の3泊4日の合宿「夏ゼミ」があります。1日で定員に達する人気講座で、中2と中3で同じ特色検査を行うほか、人生の中でも使っていけるようなスケジューリング、課題解決力など、勉強の方法を学ぶ場にもなっています。夏ゼミ参加以降で大きく変わる生徒もいて、受験意欲が高まったり、スケジューリングのレベルが上がったりしています。

--面接の対策もあるのでしょうか。

金澤氏:面接はカリキュラムの中に組み込んであり、面接の受け方から、面接の準備、模擬面接など練習も行います。中3の夏から始まり、まず質問への答えを一緒に考え、プロの作文添削技能士に添削してもらい、きれいな言葉で自分の思いを練っていくことを重視しています。中学生は大人と話す機会があまりないため、面接練習会で経験を積むことで、別人のようにうまく話せるようになった生徒もいます。

--面接の機会は、受験に限らず中学生にとって大きな経験ですね。

金澤氏:大きいですね。高校でも授業でプレゼンテーションの機会が増えていますし、さらに先を見ると、社会で自分の意見を発表するための練習として、とても良いチャンスを高校受験でもらっていると思っています。面接の練習では、生徒たちの将来も見据えて取り組んでもらうことを心がけています。

--特色検査も大きな特徴ですね。

伊藤氏:特色検査は、持っている知識を活用できるかどうかをはかるもので、今までの詰め込み型ではなく、普段の実践力が問われます。

金澤氏:試験が難しいこともあり、「特色検査があるから」という理由で受験を避ける生徒も多いです。しかし生徒には常に、「特色検査を解くために必要な力は、大人になってからも役立つ。これを入試で鍛えられるのはチャンスだから、勉強して受けるべきだ」と話しています。敬遠しがちですが、話すことで生徒も変わりますので、特色検査の授業の最初には、必ずこのことを話すようにしています。

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《相川いずみ》

教育ライター/編集者 相川いずみ

「週刊アスキー」編集部を経て、現在は教育ライターとして、ICT活用、プログラミング、中学受験、育児等をテーマに全国の教育現場で取材・執筆を行う。渋谷区で子ども向けプログラミング教室を主宰するほか、区立中学校でファシリテーターを務める。Google 認定教育者 レベル2(2021年~)。著書に『“toio”であそぶ!まなぶ!ロボットプログラミング』がある。

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