保護者の励ましや応援が子どもの将来に影響、ベネッセ親子調査

 保護者から「励まし・応援」などの働きかけを受けている子どもは、将来の目標や行動力などを持っている傾向が強いことが東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が行った「子どもの生活と学びに関する親子調査2015」より明らかになった。

生活・健康 保護者
子どもの将来の自立への不安(全学年・学年別/性別)
  • 子どもの将来の自立への不安(全学年・学年別/性別)
  • 保護者の悩み・気がかり(全学年・3学年別)
  • 「将来の目標がはっきりしている」かどうか(全学年・学年別/性別)
  • 「難しいことや新しいことにいつも挑戦したい」かどうか(全学年・3学年別/性別)
  • 「自分でできることは自分でする」かどうか(全学年・3学年別/性別)
  • 子どもの将来の目標・行動力などの有無(中学生、保護者のかかわり別)
  • 子どもの将来の目標・行動力などの有無(中学生、保護者の普段の活動別)
 保護者から「励まし・応援」などの働きかけを受けている子どもは、将来の目標や行動力などを持っている傾向が強いことが東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が行った「子どもの生活と学びに関する親子調査2015」より明らかになった。

 東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所は2014年、子どもの生活や学習の状況、保護者の子育てのようすを複数年にわたって調査し、それらが子どもの成長とともにどのように変化するのかを明らかにするため、「子どもの生活と学び」の実態を明らかにする共同研究プロジェクト(親子パネル調査)を立ち上げた。

 第1回調査となる「子どもの生活と学びに関する親子調査2015」では、全国の小学1年生~高校3年生の子どもとその保護者を対象に、郵送およびインターネットによる自記式質問紙調査を実施。16,776人の回答を得た。調査時期は2015年7~8月。子どもの調査テーマは「子どもの生活と学習に関する意識と実態」、保護者の調査テーマは「保護者の子育て・教育に対する意識と実態」となっている。

 「子どもが大人になったとき自立できるか不安である」に対し、全体の51.2%の保護者が「とてもあてはまる」「まああてはまる」と回答した。特に男子の保護者が不安に思う割合が高く、小学5年生~中学1年生、中学3年生、高校3年生では男女に10ポイント以上の差があった。男子のほうが生活習慣の自立の程度が低いことや、保護者の期待が高いことが影響していると考えられる。

 保護者の悩み・気がかりの1位は「整理整頓・片づけ」で、2位「家庭学習の習慣」、3位「友だちとのかかわり」と続いた。学校段階別に見ると、小学生の保護者は「友達とのかかわり」、中高生では「学校の成績」「進路・学校選び」「携帯電話やスマートフォンの使い方」に悩む保護者が増える傾向が見られた。

 「将来の目標がはっきりしている」に対し、「とてもあてはまる」「まああてはまる」と回答した子どもは全体の50.1%。学年別に見ると、現実的な進路選択を迫られている高校3年生がもっとも高く、61.1%が「とてもあてはまる」「まああてはまる」と回答した。一方で、中学生の割合は低く、各学年で4割台だった。夢見る小学生と現実的な進路選択を行う高校生の「はざま」の中学生では、将来像を持つのが難しいようすが推察できる。

 「難しいことや新しいことにいつも挑戦したい」という問いに、「とてもあてはまる」「まああてはまる」と回答した子どもは全体の58.3%。小学生では65.3%だったが、中学生では56.2%、高校生では53.4%と学校段階が上がるにつれ下がる傾向にあった。また、「自分でできることは自分でする」に対し、「とてもあてはまる」「まああてはまる」と回答した子どもは全体の83.9%。学校段階別に見てもすべての段階で8割以上という結果だった。

 子どもの将来の目標や自立・行動力について保護者のかかわり別に見てみると、保護者が「何にでもすぐに口出しする」タイプより「やりたいことを応援してくれる」タイプのほうが、子どもが将来の目標や行動力を持っている傾向が強いことが明らかになった。また、保護者が活動的であるほど、子どもの挑戦する気持ちや行動力を持っている傾向が強いこともわかった。

 東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の共同研究プロジェクトでは、毎年調査を重ねることで、親子の「成長・発達」のプロセスや「自立」を促す要因を明らかにしていくという。
《外岡紘代》

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