◆タブレットおよび教育支援システムは「千手観音のよう」 またタブレットの活用については、藤森氏は、音読のときに姿勢がよくなるといった点に言及。「食いつくという言い方は大嫌いだが、その珍しさで、やはり効果がある」とし、「毛色の変わったことをしなくてはいけないということではないが、こうした(音読のような)ベーシックな部分で効果を発揮している」ことを興味深い点としてあげている。 その一方で、授業中に発生した機材トラブルに関連して懸念を表明。「1台でも動かない機材があれば、授業がストップする。何よりも、その子が“学びのネットワーク”から切り離される。ただ学習に支障があるというだけでなく、もし“クラスでの立場”といったことが絡むと、デリケートな問題に進展する可能性がある」「頭の中が可視化できるということは、善し悪し両方ある。手書きの部分もときには“もろ見え”になる。私なら、人には見せられない落書きをしている(笑)」(藤森氏)と、ユーモアに包みつつ、ビジネスとは違う、教育ICTならではのデジタル問題を指摘した。 正木氏は、児童の考えていることを集約して先生が見られるタブレットおよび教育支援システムを、「千手観音のようだ」と表現。従来ではなかなか実現できなかった、児童全員が手を挙げるような“反応率100%の場面を作れ・作りたい”が簡単に実現できるといった利点もある。ただ、あまりにも複雑だし、システムの支援があるからといって、パーフェクトに児童の考えを把握できるというわけではない。あくまで、それに少しでも近づくためなのだという基本的なテーゼを提示した。藤森氏も指摘しているように、デジタルハッピーなだけではなく、そこには問題も存在する。 正木氏はこれを「デジタルとアナログの使い分けは永遠の課題」と表し、PCとアナログ機材のそれぞれの便利さ・不便さを、それぞれに補いつつ、さらにそこに子どもの工夫が加わることに期待し、授業の振返りを締めくくった。
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