【NEE2016】ICTは先生を“千手観音”にするが、その手からこぼれるものは?

 「NEE2016」(New Education Expo 2016)東京会場最終日の6月4日、会場の東京ファッションタウンにおいて、筑波大附属小学校による公開授業が行われた。午後にはその授業に関する振返りを行う、公開討論も開催された。

教育ICT 先生
登壇者一同
  • 登壇者一同
  • 午後に改めて行われた、公開授業研究会のようす
  • 教科の観点、ICT活用の観点から公開授業を振り返る
  • 左より、放送大学教育支援センター教授の中川一史氏、信州大学教育学部教授の藤森裕治氏、國學院大學栃木短期大學元教授の正木孝昌氏
  • 左より、【国語】筑波大学附属小学校の青山由紀先生、【算数】筑波大学附属小学校の夏坂哲志先生
  • 藤森氏・正木氏から、授業を行った青山先生への意見
  • 藤森氏・正木氏から、授業を行った夏坂先生への意見
  • 議論の合間に笑いがもれるやりとりも
 「NEE2016」(New Education Expo 2016)東京会場最終日の6月4日、会場の東京ファッションタウンにおいて、筑波大附属小学校による公開授業が行われた。午後にはその授業に関する振返りを行う、公開討論も開催された。

 「公開授業研究会 教科の観点、ICT活用の観点から公開授業を振り返る」セミナーとして、授業を行った筑波大学附属小学校の青山由紀先生、夏坂哲志先生、信州大学教育学部教授の藤森裕治氏、國學院大學栃木短期大學元教授の正木孝昌氏が登壇。コーディネーターは、放送大学教育支援センター教授の中川一史氏が務めた。その盛況ぶりは、当初予定されていた会場が変更されるほどだった。

◆ICT活用の利点とは? 導入本格化を前に再考

 振返りは、今年より本格化する「デジタル教科書」「デジタル教材活用」「ソフト・アプリ」「授業支援ソフト」などについて、「デジタルであるアドバンテージは何か」「タブレット環境の効果的な活用は」「既存授業やアナログ手法など、従来ツールとの最適な役割分担とは何か」を再考しようというものだ。

 まず、青山先生と夏坂先生より、本日の公開授業の意図やそれぞれが思うデジタル活用の利点などが述べられた。青山先生によると、公開授業を行ったクラスは4月に編成されたばかりのため、「現在は“揃え”の段階」であり、要約指導において、テキストの切り貼りや並び替えが得意なデジタルを生かし、有用性を探っているとのこと。あわせて、ペアや全体など、交流場面での活用に用いているとした。

 これに対し夏坂先生は、プレゼンテーションとしての大画面活用をメインとしつつ、アニメーションを使うことで、児童の思考の流れを方向付けできることを挙げた。見せ方、あるいは隠し方により、題材を提示することで「式を書かずに式を考えさせる」といったことも意図しているという。また、大画面ディスプレイを使いつつタブレットも使った点は「やはり前にあるより、手元にあったほうがいい」(夏坂先生)としている。

 これについて藤森氏は、タブレットおよびそれらを管理するシステムは「子どもの頭の中を可視化するツールである」と指摘。一方、正木氏は、今回の教材そのものの妥当性にまで踏み込み、「作者が一番いいたいことを見つけるまではいいが、その言っていることの妥当性や深い意味について、理解させる流れはあるのか」「図形から児童に法則を想像させ、式にする前に、最終的なゴール(割り算)などが提示されるべきではないか」といった疑問を呈した。そのため、たとえば夏坂先生の授業などは、「数え方を式にしろ、というのは不自然。数えた結果がわかるように式に書け、というのが本来の流れではないか(そのような説明を行うべき)」と感じたという。これに夏坂先生は同意しつつ、今回とりあげた内容が、さまざまな道筋や考え方のある例題で、そのため今回の見せ方を取ったと説明した。

【次ページ】タブレットおよび教育支援システムは「千手観音のよう」へ
《冨岡晶》

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