iPadは文房具、主体性を重んじた聖徳学園のICT活用と効果

 世界を舞台に活躍するための力を、ICT教育・グローバル教育・アクティブラーニングなどを取り入れた最先端の学びにより実践、新時代にはばたく生徒の育成に取り組んでいる中高一貫校、聖徳学園中学・高等学校(東京都武蔵野市)。

教育ICT 中学生
聖徳学園中学 システムセンター長 ICT支援員・教育ビッグデータエバンジェリストである横濱友一先生(撮影:稲葉九)
  • 聖徳学園中学 システムセンター長 ICT支援員・教育ビッグデータエバンジェリストである横濱友一先生(撮影:稲葉九)
  • 横濱友一先生(撮影:稲葉九)
  • ALTによる中1の英語の授業でもiPadと電子黒板を活用(撮影:稲葉九)
  • ALTによる中1の英語の授業(撮影:稲葉九)
  • ALTによる中1の英語の授業では、授業支援アプリ「ロイロノート・スクール」などを利用(撮影:稲葉九)
  • 中1の英語の授業のようす。ここでも電子黒板とiPadを活用(撮影:稲葉九)
  • 中2の英語の授業では、海外研修旅行で訪れるニュージーランドで発表する内容について能動的な話合いを行っていた(撮影:稲葉九)
  • 横濱先生の自作によるiPad充電収納庫(撮影:稲葉九)
◆教育ICTに不可欠な「i-FILTER ブラウザー&クラウド」と「Mobi Connect」

 では、教育ICTのメリットについて、教育現場ではどのように感じているだろうか。「2時間かかっていた職員会議が30分で終わるようになり、残りの時間をICTのスキル、グローバル教育、アクティブラーニングなど、授業対策や先生のスキルアップに使えるようになりました」と、横濱先生はあまりあるメリットを述べる。事務作業についても、先生の出張報告などの書類をPDF化し、オンライン押印のしくみを取り入れたシステムも開発中という。

 ひとつ気になるのは、iPad導入後の生徒の学力についてだろう。今まで使用していなかった学年の生徒と、導入した年度に中1だった生徒の英語の成績を比較した結果、下位層の成績が向上したという。「勉強の仕方がわからない、つまらないという生徒もいます。それを何とかするのもICTならではの力だと考えています。iPadを取り入れてから、楽しそうに勉強している姿が多く見られるようになりました」と、タブレットによる学習効果が確実にあることを実証したという。

◆研修旅行や情報共有、拡張し続ける教育ICT

 聖徳学園ではさらなる活用を考え、社内(校内)SNS「Talknote」を導入。全員がiPadを持参した中2による関西研修旅行では、モバイルWi-Fiをレンタルし、全20数班に分かれ、班ごとに京都市内で自由行動を実施。Talknoteを経由し、教員はもちろん、生徒同士の情報共有も積極的に行い、充実した研修旅行になったそうだ。

 さらに、保健室を訪れた生徒の来室・退室情報も教員がリアルタイムで共有。誰がどんな症状で訪れたかという情報が、クラス担任にプッシュ通知され、それ以外の先生も把握することが可能になった。生徒たちは自分のことを気にかけてくれている先生がいる、というアットホームな聖徳学園らしさを実感できているという。

◆授業支援アプリを活用、iPadを駆使した授業を展開

 2014年から3年間、ICT先進教育の研究指定校である「学校情報化優良校」として認定、その次の「学校情報化先進校」を目指し研究を重ねている同校。少子化の時代、入学希望者が減る学校もあるなか、ICTやグローバル、アクティブラーニングの導入によって注目を集め、躍進している。「来年は新しいこと、やらないんですか?」と、次の取組みに期待している保護者も少なくないという。

 実際に、中1と中2の英語の授業を見学。ALT(外国語指導助手)による授業では、時間制限を設けてiPadで自己紹介カードを制作。授業支援アプリ「ロイロノート・スクール」を使いながら、ネット検索で適切な画像を選び、それに添える英文を入力。制作したカードはクラスで共有され、電子黒板やプロジェクターに映し出される仕組みだ。

 また、別のクラスでは、自分が作ったカードを電子黒板で発表したり、海外研修旅行で訪れるニュージーランドで発表する日本の祭りや伝統についてディスカッションし、iPadを積極的に活用しながら、能動的な話し合いを行っていた。

 「ICTリテラシーは体験しないと覚えません。だから、間違えることも大切ですし、学校は間違えてもよい環境です。生徒には、今のうちにたくさん失敗してもらいたい。それを私たちがサポートし、心を育ててあげたいです」と微笑む横濱先生。他の学校に先駆ける聖徳学園は、教育ICTを今後も牽引し続けていくだろう。
《船田るみ子》

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