日英ハイブリッド授業と全寮制で磨く人間性、立教英国学院の魅力とは…棟近稔校長

 日本の私立学校初の在外教育施設として1972年に設立された「立教英国学院」。同校の教育内容、環境などについて、棟近稔校長に話を聞いた。

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  • インタビューは棟近稔校長の一時帰国に合わせ、立教大学池袋キャンパス内で行われた
 日本の私立学校初の在外教育施設として、イギリス国教会の支援を受け1972年に設立された「立教英国学院」。恵まれた自然の中に位置し、生徒たちは全員寄宿寮で過ごす。ネイティブスピーカーによる英語教育を行う特徴も持ち、イギリスの風土やキリスト教の精神に基づく教育を行う同校の教育方針や環境などについて、棟近稔校長に話を聞いた。

◆11歳から18歳まで、家庭的であたたかい環境

--「立教英国学院」とはどのような学校ですか?

 イギリスにある、小学校5年生から高校3年生までが学ぶ男女共学のボーディングスクール(全寮制学校)です。なぜ小学5年生からかというと、イギリスの現地校はプライマリースクール(小学校)を卒業する年齢が日本の小学5年生にあたるからです。モデルとしたのはイギリスのボーディングスクール。まさにハリー・ポッターの世界です(笑)。150~160名ほどの少人数で、11歳の小さな子から18歳の生徒まで一緒の寄宿寮で暮らすので、非常に家族的な、のどかであたたかい雰囲気の学校です。

 立教はキリスト教の宣教師が設立した学校で、宗派はイギリス国教会です。当初は立教の高校に通う生徒向けの夏休みの研修施設としての構想でしたが、ちょうど日本は高度成長期で、現地には在留邦人が大勢おり、学校を作ってほしいという強い要望がありました。

 当時、現地校には日本人を受け入れる体制がまったくなく、日本にも「帰国子女」という概念そのものがなかった時代です。したがって、イギリスにいても日本の勉強をきちんとしておけば、帰国後もスムーズに日本での学校生活を続けられるということで、我々もいかに日本と同じ教育を行うかに重点を置いていました。

◆教育改革で“イギリスならではの教育”を起用

--立教英国学院では、リーマンショック後に教育改革を行ったそうですね。それは一体、どのようなものなのでしょうか。

 2008年9月に起きたリーマンショックは、金融で栄えていたイギリスには大きなダメージとなり、日本人も一気に引き揚げてしまいました。そうなると、これまでのような在留邦人の子ども向けに、日本とまったく同じ教育をやっていればよい、というわけにはいかなくなったのです。

 そこで翌年から大掛かりな教育改革を行いました。それまでは海外赴任者限定で、日本からの生徒は受け入れておらず、日本での本校の知名度はとても低いものでした。しかし、せっかくイギリスにある学校なのだから、日本の教育はきちんと行いつつも、“イギリスならでは”の教育スタイルをどんどん取り入れていこうと考えました。そして、日本から受験する生徒にも門戸を開きました。すると、日本からの入学者が徐々に増え始め、今では日本からの生徒の方が多いくらいです。

--新たに取り入れた“イギリスならではの教育スタイル”について教えてください。

 具体的には、中学1年生からイギリス人教師に理科を英語で教えてもらっていることがあげられます。社会科だと、大量の読み書きが必要なため、ハードルが高いものです。逆に、数学だと英語をほとんど使わずに数式だけですむので、あまり英語の勉強になりません。理科は、その点バランスが良かったのです。

 そしてもうひとつ、これは子どもたちの「理科離れ」への対策でもあります。イギリスの理科の授業は知識偏重型ではなく、実験や解剖を頻繁に行います。そして高校2年生の春には、IGCSEというイギリス人が受ける全国統一の試験で、全員が「生物」を受験します。

 こういったイギリスならではの教育で、生徒たちは英語を学ぶ、ではなく、英語で学ぶ、という、一石二鳥の教育を狙っています。

--イギリスの現地校との交流はありますか。

 現地のボーディングスクールとの交流には、今もっとも力を入れています。高校3年生が大学受験で日本に帰国する3学期は、彼らが寮にいません。そこに、現地のボーディングスクールの生徒に来てもらって、1週間一緒に生活をしてもらいます。日本でも国際交流の機会はあると思いますが、1週間寝食を共にするというのはなかなか得難い経験で、とても仲良くなれます。

 そうすると、今度は春休みに現地校に行かせてもらってホームステイをしたり、文化祭に招待したらお茶に呼ばれたり、といった交流が続きます。また、夏休みにホームステイも行っており、そちらでお世話になったホストファミリーをスクールコンサートにご招待するなど、現地の人々との交流を深めています。

◆気になる進学バックアップ…世界的な大学と教育提携

--イギリスの大学への推薦制度はあるのでしょうか。

 2015年からは、イギリスの大学への進学も積極的にサポートしていこうということで、University College London(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、UCL)と正式に教育提携を調印しました。UCLは日本との繋がりが深く、幕末から明治維新にかけて、伊藤博文ら長州五傑をはじめ、多くの日本人留学生が学んだ歴史ある大学です。

 また、タイムズ紙大学ガイドにより2015-2016年度最優秀大学として賞されたUniversity of Surrey(サリー大学)とも提携しています。IELTSという英語力のテストで必要なスコアを取り、学内での成績が足りていれば、これらの大学の基礎コースに進学できます。

 学校では志望者向けにIELTS対策の専門クラスがあり、徹底的に勉強できます。ライティングの添削などは、イギリス人教師が担当します。イギリスの大学は留学生の受け入れに積極的で、名門大のひとつであるKing's College London(ロンドン大学キングスカレッジ、KCL)も説明会に来てくれます。

◆日英ハイブリッドスタイル+寮生活で磨く人間性

--ほかの在外教育施設と比べて見えてくる、立教英国学院の良さとは一体、どのようなところでしょうか。

 少人数ならではの「面倒見の良さ」でしょうか。高校3年生だと20~30名のクラスを3名の教師が見ています。全体でも150~160名の生徒に対して日本人教員数は30名ですから、大変手厚いと思います。

 私も教員の多くも、校内に共に暮らし、3食を共にしています。高校2・3年生の教師は深夜0時過ぎまで学校に残り、生徒の勉強を見ている者もいます。教員には、学期中は生徒最優先でお願いしています。生徒の進学先は日本、海外の大学とさまざまですが、センター試験からAO入試、推薦の小論文まで、志望先に応じてきめ細かく対応しています。まさに寺子屋のような雰囲気です。

 また、いきなり現地校へ入学となると、学年が上がるほどハードルが高く、適応が難しいケースも少なくないようですが、本校は日英両方の授業スタイルでソフトランディングしながら、国際性を身に付けることができます。

 卒業後の進路を見ていると、いったん日本に戻っても、再び留学したり、国際的に活躍できる仕事に就いたりと、海外に出る子が多い気がしますね。卒業生は皆、立教英国学院での寮生活がとても楽しく、自らを成長させたと振り返ります。英語+寮生活を通じ、人の役に立つ人間に育ってほしいと願っています。

--ありがとうございました。

 英語圏への留学は、その成功談に触れるにつけ、英語が自然に身に付く魔法のように思える。だが、実際には多くの苦労があると聞く。学年が上がるほど、現地校の授業についていくことが難しくなるのは当然だ。日本語を「思考する言語」として育ってきた子たちが、異なる言語で授業を理解しなければならないのだから。

 立教英国学院の環境は、日英のハイブリッドスタイルである。そして、生徒5人に教師が1人という手厚い、アットホームな環境だ。全寮制では学校がひとつの家族となり、互いに助け合い、人との繋がりを学ぶ。英国の地で、しっかりと守られながら自分が伸びたい方へと成長していける、あたたかな学び舎である。

【立教英国学院 説明会情報】
 立教英国学院は、11月5日(土)に大阪と名古屋、11月6日(日)、12月10日(土)に東京で学校説明会を行う。当日はイギリスから担当教員が来場し、スライドやビデオによる説明を行う。説明会のあとは個別相談会を実施。学校の雰囲気を知る良い機会となりそうだ。時間や会場詳細は、立教英国学院Webサイトで確認できる。

【立教英国学院 入試情報】
■中学部1年
・A日程
出願期間:2016年11月14日~11月25日(必着)
入試日 :2016年12月11日
・B日程
出願期間:2017年1月27日~2月7日(必着)
入試日 :2017年2月12日
■高等部1年
・A日程
出願期間:2016年10月31日~11月25日(必着)
入試日 :《英国受験の場合》2016年12月10日(土)・11日(日)〔校内1泊〕
     《日本受験の場合》2016年12月11日(日)
・B日程
出願期間:2017年1月27日~2月7日(必着)
入試日 :2017年2月12日

 学期ごとに途中編入も受付けている。詳細は立教英国学院Webサイトで確認のこと。
《加藤紀子》

加藤紀子

京都市出まれ。東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、海外大学進学、経済産業省『未来の教室』など、教育分野を中心に様々なメディアで取材・執筆。初の自著『子育てベスト100』(ダイヤモンド社)は17万部のベストセラーに。現在はリセマムで編集長を務める。

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