日本人のアイデンティティを大切に「真の国際人」を育成、立教英国学院の教育とは

 グローバル化の進展に伴い、日本においても新たなボーディングスクール(寮制学校)が各地に開校するなど、進路の選択肢として注目が高まっている。日本の私立学校初の在外教育施設として創立50年以上の歴史をもつボーディングスクール「立教英国学院」は、次の時代に向けた変革に着手しているという。

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立教英国学院 岡野透校長
  • 立教英国学院 岡野透校長
  • 日本語と英語の2言語で学ぶ独自の日英融合教育が大きな特徴
  • 日本の学習指導要領に基づき「日本と同じ教育」を日本人教員がイギリスの地で行う
  • 理科教育も特徴的な取組みの1つ
  • 学外研修のようす。校外活動はイギリスで生活していることをダイレクトに味わえる
  • 2025年度より条件を満たせば制限なく立教大学への推薦入学が認められる

 グローバル化の進展に伴い、日本においても新たなボーディングスクール(寮制学校)が各地に開校するなど、進路の選択肢として注目が高まっている。日本の私立学校初の在外教育施設として創立50年以上の歴史をもつボーディングスクール「立教英国学院」は、次の時代に向けた変革に着手しているという。

 英国の地での寮生活を基盤に、日英融合の教育を展開する「立教英国学院」では今、どのような教育が行われているのだろうか。岡野透校長へのインタビューをもとに教育方針や学びの環境、今後の展望に迫る。

ここでしか体験できない「日英融合教育」と「大家族体験」

--「立教英国学院」について教えてください。

 1972年にイギリス・ロンドン南方の緑豊かな郊外に設立された、全寮制の日本人学校です。小学校5年生から高校3年生までの男女共学で、現在は約190名の生徒が共に生活しながら学んでいます。創立以来、社会の変化に伴う教育改革を経て、日本とイギリスそれぞれの良さを融合した独自の教育スタイルを確立し、近年は海外駐在員の子供たちだけでなく、日本から親元を離れて入学する生徒が多く在籍しています。

--日本とイギリスそれぞれの良さを融合した教育とのことですが、立教英国学院の教育の特徴はどんなところにあるのでしょうか。

 文部科学省と英国教育庁の認可を受け、日本語と英語の2言語で学ぶ独自の日英融合教育が大きな特徴です。日本の学習指導要領に基づき「日本と同じ教育」を日本人教員がイギリスの地で行うことをベースに、イギリス人教員による実践的な英語学習や、他分野を英語で学ぶことを+αとして付加できるのは本校の大きな魅力だと思っています。

 日本人としてのアイデンティティを育みつつ、イギリスでの生活を通じて日常的に地域交流、異文化体験をすることでイギリスや世界を知り、「真の国際人」としての素養を高め、人と人とのつながりを実践していることも本校の大きな特徴だと言えます。

日本語と英語の2言語で学ぶ独自の日英融合教育が大きな特徴

--生活の基盤となる寮生活について詳しく教えてください。

 立教英国学院での生活は、まさに「大家族体験」のようなあたたかな環境です。生徒たちが共同で生活しながら、他者への配慮や思いやり、隣人への愛といったキリスト教精神の実践を行い、互いを支え合い、高め合っています。寮生活は、規則正しい生活だけでなく、世界で通用するマナーや多角的な視点を身に付ける絶好の機会です。全生徒が寝食を共にし、教員・スタッフも毎日起床から就寝まで毎日一緒に過ごす環境に、多感な時期にある生徒たちは初めは戸惑いを見せることもありますが、自然と全校生徒の顔と名前を覚え、コミュニケーションを取れるようになります。さまざまな価値観の生徒・教員・スタッフと家族のような絆が生まれることは、その後の人生を大いに拓く人格教育の礎となっているようです。

日本の学習指導要領に基づき「日本と同じ教育」を日本人教員がイギリスの地で行う

留学とは異なる立教英国学院の教育スタイル

--イギリスという環境を生かした、立教英国学院ならではの教育スタイルについて教えてください。

 日本人教員による英語の授業に加え、実践的な英語学習として小学生から高校生まで全校生徒を対象に、週4時間のイギリス人による英語の授業(E.C.:English Communication)を取り入れています。ケンブリッジ英語検定合格を目指した少人数のグレード別クラスで展開し、日本の英語教育と英語圏にあることを生かした英語教育の両輪で確かな英語力を身に付けることを目指しています。

 高等部2年からは、他分野を英語で学ぶ授業もスタート。Critical thinkingやHistory、Literatureの授業も選択でき、希望する進路や身に付けたい英語力に応じてどんどん力を伸ばしていける環境を用意しています。2025年度からはイギリス人教員によるE.C.と日本人教員による英語の授業を統合し、より効果的な英語教育へと発展させる準備をしています。

 また、理科教育も特徴的な取組みの1つです。中学部1・2年では英語で理科を楽しむことから始まり、3年になると、本格的にイギリスの中等教育で行われている理科教育をほぼそのままの形で取り入れたI.G.C.S.E.(International General Certificate of Secondary Education)のBiology(生物学)のコースが始まります。高等部2年の6月に行われる本試験に向けて、理科の知識と共に実践的な英語力の強化を図っています。いずれも、日本語で行う日本の教育がベースにあるからこそ、生徒たちは安心して新たな学びに挑戦していけると感じています。

中学部3年になるとイギリスの中等教育で行われている理科教育をほぼそのままの形で取り入れたI.G.C.S.E.(International General Certificate of Secondary Education)のBiology(生物学)のコースが始まる

--授業のほかにはどのような活動が行われていますか。

 日々の生活や校内行事等、忙しい毎日を送る生徒たちですが、校外活動はイギリスで生活していることをダイレクトに味わえる良い機会となっているようです。1学期の後半には、テニスの聖地ウィンブルドンでのテニス観戦、2・3学期に行うスクールアウティング(遠足)では、イギリスの名所旧跡や文化施設、ミュージカル観劇など、1日を通してイギリスの文化に触れ、高学年では学校に戻るのが真夜中になることも。クラブ活動や全校でスポーツを楽しむ「フライデー・スポーツ」などの活動も充実しており、日本とは異なる環境を子供たちも思い切り楽しんでいますね。

学外研修のようす。校外活動はイギリスで生活していることをダイレクトに味わえる

気になる卒業後の進路は…手厚い大学進学サポート体制も

--イギリスの現地校や大学との交流はありますか。

 生徒たちの視野や、将来の選択肢を広げるうえで、現地大学や現地の学外団体との連携は非常に重要な要素だと捉えています。

 1学期のハーフタイム(期中休み)や夏季休暇等を利用し、オックスフォード大学での研修プログラムや、ケンブリッジ大学とUCLロンドン大学が共同で開催するワークショップ体験プログラム、現地の公立高校であるコリヤーズカレッジで授業を体験できる短期留学や学校間交流といった教育連携、パナソニック教育財団の助成のもと実施している日英協働“Robotics”探究プログラムなど、生徒の多様なニーズに応えられるよう、さまざまなプログラムを用意し、交流の機会を設けています。イギリス人家庭でのホームステイではイギリスの生活や文化を体験し、理解し、コミュニケーションの取れる生きた交流を重視しています。

--卒業後の進路、特に大学進学に関してどのようなサポートを行っていますか。

 保護者の中には大学受験を見据え、「塾に行けなくても大丈夫ですか?」と心配される方もいらっしゃいます。ですが、心配はご無用です。「大家族」の中には教員も含まれていますので、授業でわからないところなどはいつでも教員に質問することができます。高学年になると夜の授業もあるため、学習時間の合計は日本で塾に通っている生徒と変わらないばかりか、気軽に質問できる教員が家庭教師として常に身近にいるという環境で、いつでも惜しみなくサポートを行える体制を取っています。

 カリキュラムは高等部2年時に文理選択し、文系はさらに国立受験・私立受験・英国大学進学にあわせて授業を選択。難関大学志望者向けの特別補習や、帰国子女入試・総合型選抜などに対応する小論文の指導も行います。英国大学の進学希望者には、必要に応じてイギリス人教員が個別に指導。教員が夜遅くまでクラスに残って学習の質問に答えるなど、全寮制の利点を生かした手厚いサポートで、大学進学対策も万全の体制をとっています。

--最近の卒業生はどのような進路を選んでいますか。

 2024年の卒業生は、全38名の卒業生のうち、26名が立教大学へ進学、7名が国際教養大学、国際基督教大学、明治大学など日本の国公私立大へ進学しました。そして3名は、世界トップクラスのキングス・カレッジ・ロンドンやエディンバラ大学を含むイギリスの大学へ進学。1名はアメリカの大学へ進学しています。

 本校から立教大学への推薦入学枠はこれまで人数制限がありましたが、2025年度より条件を満たせば制限なく立教大学への推薦入学が認められるようになりました。他大学への指定校推薦枠も設けており、高校卒業後の進路選択は日本にいる時よりも幅広い選択肢となるのではないでしょうか。

2025年度より条件を満たせば制限なく立教大学への推薦入学が認められる

生活・学びのすべてで自ら思考し行動する力を養う

--最後に、あらためて他の教育施設とは違う、立教英国学院のいちばんの魅力をお伝えいただけますか。

 日本の教育を受けたい、海外で学びたい、国際感覚を身に付けたい…そんな思いをバランス良く“良いとこ取り”できる教育環境は他の教育施設にはないのではないでしょうか。それを支えるセキュリティも24時間万全の体制を敷き、安心安全な学校生活をサポートしています。

 小学校5年生~高校3年生は、まだまだ保護者の庇護のもと生活するのが当たり前とされる年齢です。そこをあえて親元を離れ、学びも生活もすべて自主的に行う。毎日他者と密接に関わりながら、自ら思考し行動する学びの実践の場は、立教英国学院ならではの強みであると自負しています。

 また、自分自身の個性を大事にし、他者を思いやる共同生活は、リーダーシップを自然と芽生えさせ、1人の人間としての成長を大きく後押しします。立教英国学院の日英融合教育と寮生活を通じた人格形成は、イギリスの地で学び、世界に羽ばたく、日本人のアイデンティティを持った真の国際人が育つ環境だと自信をもっています。


 日本から遠く離れたイギリスでの寮生活、生徒約5.8名に1人の日本人専任教員が付く手厚い指導、生活を支えてくれるイギリス人スタッフとの交流…どこを取っても立教英国学院でなければ体験できない貴重な日々の積み重ねが、生徒たちを大きく成長させている秘訣なのだと強く感じた。

2025年度入試に向けたスケジュール

 立教英国学院では、2024年11月7日から中学部・高等部の2025年度入試A日程の出願受付を開始。入試に先立ち、7月13日に名古屋と大阪、7月14日に東京で学校単独の説明会を行う。申込みは学院Webサイトにて7月10日まで先着順で受け付ける。単独説明会は、9月・10月・12月にも開催予定。そのほか、7月は東京・埼玉で行われる4つの合同説明会で個別相談ブースを設け、児童生徒・保護者の疑問や質問に直接答える。

立教英国学院 学校説明会 事前予約受付中

◆立教英国学院 学校説明会<7月>
申込方法:要事前予約、学院Webサイトから申し込む
申込期間:2024年6月22日(土)~7月10日(水)まで
【名古屋会場】
日時:2024年7月13日(土)10:00~12:00
会場:名古屋プライムセントラルタワー13階(愛知県名古屋市西区名駅2-27-8 名古屋プライムセントラルタワー13階)
定員:先着20組(1家族3名まで)
【大阪会場】
日時:2024年7月13日(土)15:00~17:00
会場:梅田センタービル 16階(大阪府大阪市北区中崎西2丁目4番12号 梅田センタービル16階)
定員:先着20組(1家族3名まで)
【東京会場】
日時:2024年7月14日(日)14:00~16:00
会場:立教大学太刀川記念館(東京都豊島区西池袋3丁目34-1)
定員:先着35組(1家族3名まで)
◆立教英国学院 学校説明会<9月>
【名古屋会場】
日時:2024年9月7日(土)10:00~12:00
会場:名古屋プライムセントラルタワー13階(愛知県名古屋市西区名駅2-27-8)
定員:未定
【大阪会場】
日時:2024年9月7日(土)15:00~17:00
会場:梅田センタービル 16階(大阪府大阪市北区中崎西2丁目4番12号)
定員:未定
【東京会場】
日時:2024年9月8日(日)14:00~16:00
会場:TKP ガーデンシティ竹橋(東京都千代田区一ツ橋1-2-2)
定員:未定
※10月、12月も学校説明会を開催予定。

◆立教英国学院が参加する合同説明会<7月>
【JOBA学校フェア】
日時:2024年7月20日(土)中学受験11:00~14:00、高校受験15:30~18:30
会場:渋谷ストリーム ホール(東京都渋谷区渋谷3-21-3)
【彩の国進学フェア】
日時:2024年7月20日(土)・21日(日)9:30~16:30
会場:さいたまスーパーアリーナ(埼玉県さいたま市中央区新都心8)
【JOES(海外子女教育振興財団)】
日時:2024年7月26日(金)12:00~16:00
会場:都立産業貿易センター台東館(東京都台東区花川戸2-6-5)
【早稲田アカデミー学校説明会】
日時:2024年7月27日(土)10:30~16:30
会場:ベルサール東京日本橋(東京都中央区日本橋2-7-1)

立教英国学院 学校説明会 事前予約受付中

◆立教英国学院 2025年度入試情報
【中学部】
<A日程>
出願期間:2024年11月7日(木)~11月28日(木)必着
募集人員:第一学年約10名
試験日:2024年12月15日(日)※日本受験
<B日程>
出願期間:2024年12月23日(月)~2025年1月9日(木)必着
募集人員:第一学年若干名
試験日:2025年1月19日(日)※日本受験

【高等部】
<A日程>
出願期間:2024年11月7日(木)~11月28日(木)必着
募集人員:第一学年約20名
試験日:2024年12月15日(日)※日本受験・英国受験
<B日程>
出願期間:2024年12月23日(月)~2025年1月9日(木)必着
募集人員:第一学年若干名
試験日:2025年1月19日(日)※日本受験

 高等部の<A日程>在外日本人学校在籍者枠 単願推薦入試および、<A日程>海外在住現地校在籍者枠 特別入試については順次発表予定。学期ごとに途中編入も受け付けている。

立教英国学院 2025年度入試情報
創立1972年 立教大学系属校
立教英国学院
《畑山望》

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