【高校受験2017】埼玉県公立校入試の変更点、差がつくポイントと直前対策…スクール21
2017年公立高校入試まで残り数か月。埼玉県で高い合格実績をもつ塾である「スクール21」(エジュテックジャパン)入試情報センター所長の宮川由三氏に、注意すべき埼玉県高校入試の変更点や入試予想、直前アドバイスを聞いた。
教育・受験
中学生
PR
--新しい「学力検査問題」は、問題が簡単になるのですね。
ラッキーと思っている生徒もいるかもしれません。しかし実は、時間配分が難しくなります。たとえば数学の新しい「学力検査問題」は、「基礎的な計算と独立小問(9小問・36点)」「独立小問題(6小問・30点)」「応用を含む独立小問題(4小問・20点)」「平面図形(2小問・14点)」という構成です。従来、55~60点を取るなら、これまでの「独立小問題」「応用を含む独立小問題」全16問をおさえていれば大丈夫でしたが、回答しなければいけない問題が増えたことにより、平均点も間違いなく上がります。つまり、苦手分野を残したままでこれまでと同じ点数しか得られなかった場合、途端に不利になるわけです。
良い言い方ではありませんが、今までなら、後半の難問を最初から捨てていても大きく不利にはならなかった。しかし今度は、後半になる平面図形の対策までやったか、日頃の学習がどれだけ積み上げられたかが、今までの入試よりシビアに現れると思います。
英語でも考えは同じで、読解が実質的な単語テストに変わります。そのため、問題のグレードは下がりますが、日頃の努力が反映される内容になります。中学で学ぶ単語約1,000語をキッチリ書ける対策をした受験生と、しなかった受験生とでは差がつきます。日頃からコツコツ努力した結果が、ちゃんと点数に現れる入試になった、といえます。あからさまには言っていませんが、埼玉県教育委員会の意図もそこにあると思います。
--理科と社会についてはいかがですか。
「やらなくていい問題」がなくなります。今までは40分で30問強の問題で、全問解くのはものすごく厳しかった。これが10分伸びるため、すべての問題に解答できる余地が生まれます。
つまり、今までは「時間の使い方」「解く問題・解かなくていい問題を見極める」という能力が、ある意味“入試対策”の要素とされていましたが、それが変わってくる。できない生徒は10分伸びても点数にはつながりませんが、できる生徒なら10分を生かしてプラス点を取れる。これも、日頃の努力が反映されるという方向性にかなったもので、シビアになった点だと思います。
◆細分化する公立・私立の併願作戦--志望校決定に伴う併願校の選び方
--浦和高校(浦高)、浦和第一女子高校(一女)、大宮高校(大宮)などのトップ校をねらう受験生の場合、私立を併願するのであれば、どういったところになるでしょうか。
住んでいる地域によって変わりますね。同じ浦高を受けるのでも、熊谷から受けるのと草加から受けるのとでは、さらには狭山・所沢から受けるのとでは、選ぶ私立は当然変わってきます。
おおざっぱな傾向からすると、トップレベルに行きたい場合は公立校は遠くても選びますが、併願する私立はどちらかというと住んでいる場所に近いところから選ばれる傾向がありますね。さいたま市のあたりであれば、最難関校を選ぶ生徒が併願するのは、栄東、淑徳与野、開智の3つが多いです。最近は大宮開成を選ぶ生徒も増えてきました。
とはいえ、その偏りも最近は薄まっており、生徒は幅広く選んでいるみたいです。たとえば、大宮開成や昌平の最上位コースを選んだりとか。いままでは浦高の併願になかったようなところを選ぶ生徒が、ここ2、3年で増えています。近年の私立高は、特進・選抜など、コースをたくさん分けて募集するようになっているので、学校ひとくくりのブランドイメージではなくて、“この学校のこのコース”という段階ごとにイメージが分化され、選択しやすくなっているのだと思います。
--お勧めの併願校の決め方はありますか。
たとえ公立校を第一志望とした場合の併願校だとしても、場合によっては入学する可能性のある学校なので、学校の雰囲気が自分に合うか、学業と部活のどちらに比重を置いているかなどを考えるとよいでしょう。学校案内やパンフレットだけではそういった情報は得られないこともあるので、多くの生徒は秋から体験会や見学に行った中で併願校を決めているのだと思います。決めかねる場合は、複数の私立受験もあり得ますよね。
【次ページ】11月からの学習の進め方と当日の心構え