なお、ニュージーランドの高等教育機関では、総合大学のほか、職業訓練にフォーカスし、学士、修士、博士号までの資格取得も可能な「工科大学・ポリテクニック(Institute of Technology and Polytechnic)」にも注目が集まっている。「ワイン醸造学」や「観光学・ホスピタリティー」といったニュージーランドならではの専門分野・学問が門戸を開いている点から、今後ますますの留学生増に期待がかかる。
教育の質を保証するため、ニュージーランドは教育機関の種類に応じた監査機関を設けている。初等教育から中等教育はERO(Education Review Office)、総合大学以外の高等教育はNZQA(New Zealand Qualifications Authority:ニュージーランド資格庁)、総合大学はUNZ(Universities New Zealand)が担当し、教育プログラムの品質管理の検査、保証を行っている。また、ニュージーランド国内でもっとも歴史的な語学学校グループ団体「English New Zealand」役員のTim Mahren Brown(ティム・ブラウン)氏によると、同団体の加盟語学学校は、留学生に向けた学習プログラムの質を担保するため、必ず同団体からの監査を義務付けている。定期監査や抜き打ち調査により、留学生に対する教育の質を向上、維持させる仕組みが働いているようだ。
初等中等高等教育機関への留学促進、世界各国の教育機関との連携促進、広報活動を担当する独立政府機関「Education New Zealand(エデュケーション・ニュージランド)」最高責任者のGrant McPherson(グラント・マクファーソン)氏は、ニュージーランドの教育の質には自信があると語る。
ニュージーランド政府は世界に先駆けて「留学生の生活保障に関する服務規程(Code of Practice for the Pastoral Care of International Students)※画像参照」を設けており、留学生を受け入れる全教育機関はすべて、これに遵守、登録するよう義務付けている。ニュージーランド国内には約2,500校の小中高校が存在するが、そのうち服務規程に登録している学校は約500校あり、留学生の福利厚生を徹底管理している。政府の管理が行き届く配慮体制は、人口が約480万人(2017年4月25日現在)、つまり日本の4%という、小さな島国だからこその利点だろう。