英語+ラグビー、スポーツ留学の魅力…本場ニュージーランドで学ぶ意義【NZ留学事情】

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北越高等学校2年生の粟生田樹宏さん(写真左)と、Game On Englishの指導にもあたる元ニュージーランド代表選手のAnt Strachan(アント・ストローン)氏(写真右) ※学年は2017年3月時点
  • 北越高等学校2年生の粟生田樹宏さん(写真左)と、Game On Englishの指導にもあたる元ニュージーランド代表選手のAnt Strachan(アント・ストローン)氏(写真右) ※学年は2017年3月時点
  • 北越高等学校2年生の粟生田樹宏さん(写真左) ※学年は2017年3月時点
  • 北越高等学校2年生の粟生田樹宏さん(写真左) スーパーラグビーに参加するニュージーランドの国民的チーム「Blues(ブルーズ)」の選手らが使うグランドを背に。もちろんこのイーデン・パークのグランドも、Game On Englishの練習フィールドだ
  • スーパーラグビーに参加するニュージーランドの国民的チーム「Blues(ブルーズ)」が利用する、同国最大のスタジアム「Eden Park(イーデン・パーク)」
  • ニュージーランド最大のスタジアム「Eden Park(イーデン・パーク)」内にある、選手向けのトレーニング施設。Game On English参加者も利用できる
  • ニュージーランド最大のスタジアム「Eden Park(イーデン・パーク)」内にある、選手向けのトレーニング施設。Game On English参加者も利用できる
 留学をする意味とは何だろうか。語学力の向上、異文化体験、見聞の拡大―。目的はさまざまだが、留学先で得る経験は多いに越したことはない。なかでも、近年注目される「スポーツ留学」は、一度の留学で語学とスポーツ技能、その両方を鍛えることができる一挙両得のプログラムだ。

 ラグビーの強豪チーム「All Blacks(オールブラックス)」の本場、ニュージーランドで本物の技とラガーマンとしての心、そして屈強な体と英語力を磨いている、北越高等学校2年生の粟生田樹宏(あおだみきひろ)さんを取材した。

◆英語+本場で磨く心技体

 スポーツ留学とは、スポーツのトップアスリートやプロになりたい、技術を磨きたいという者に向けた留学形式のひとつ。スポーツ留学はおもに、数か月から数年単位の中長期留学と、数週間から数か月の短期プログラムに分けられており、目的に応じて留学期間を選択できる。たとえば、プロを目指す中高生や大学生なら前者の本格的なスポーツ留学、学業も部活を両立させたいとする中高生の場合は後者の短期集中プログラムの選択が適しているだろう。

 特に、夏休みや冬休み、学校の留学プログラムを利用して挑戦する短期のスポーツ留学は、学業にも部活にも妥協しない、多忙な中高生の望みにも適うプログラムだ。

 スポーツ留学の魅力は3つある。1つめは、指導者や練習環境、スポーツへの理解と研究の先進的な地で練習に励めることだ。スポーツの発祥地や強豪国はその競技人口も多く、スポーツに親しむ人々を支える優れた指導者や設備、医学的サポートが整っている。

 2つめは、スポーツに対する意識の向上をはかれることだ。同じ年代の、しかも同じスポーツに励む若者が集まる環境に身を置くことで、ライバルたちと切磋琢磨し続けられる。

 そして3つめは、語学力とコミュニケーション能力が向上することだ。寮やホームステイ先にとどまらず、コーチやチームメイトと生活するためには必然と現地の言葉を利用する必要があるため、現地の言葉に自然と馴染むことができる。

 体で覚えろ、とはよく言ったもので、スポーツにおける日々の鍛錬と、実体験を通して磨く語学力の共通性は高い。言葉、もしくはスポーツを入り口とした留学は、子どもの秘めた可能性を存分に解放する鍵であるように思える。

◆お母さまの憧れでラグビーにトライ

北越高等学校2年生の粟生田樹宏さん(写真左) ※学年は2017年3月時点
北越高等学校2年生の粟生田樹宏さん(撮影・取材:2017年3月)

 新潟県の北越高等学校に通う粟生田樹宏さんも、英語とラグビーの両方を鍛えるべくスポーツ留学を選択した高校生のひとりだ。世界的なラグビーの強豪チーム、オールブラックスが本拠地を構える北島の都市・オークランドで、元ニュージーランド代表選手であるAnt Strachan(アント・ストローン)氏も指導するラグビー留学プログラム「Game On English(ゲームオン イングリッシュ)」に参加している。「Game On」とは「試合開始」を意味し、スポーツを通して英語を学ぶというプログラムだ。

 粟生田さんがラグビーを始めたきっかけは、ラグビーファンのお母さまの影響だという。粟生田さんは「母は、日本のラグビー代表選手だった故・平尾誠二さんや関東大学ラグビーリーグが大好きで、男の子が生まれたら絶対ラグビーをやらせると決めていたそうです」と笑顔で語る。Game On Englishへの参加も、お母さまがご友人づてに聞いたことをきっかけに決めたそうだ。

◆憧れの選手と同じグランドでトレーニング

 Game On Englishとは、ニュージーランド政府が主催する、英語とスポーツを融合したスポーツ留学プログラムのこと。ラグビー大国であるニュージーランド内のオークランド、ワイカト、ベイオブプレンティ、カンタベリー、オタゴの5つのラグビー協会が協力し、参加する留学生に本格的な練習をつける。

 なかでも、粟生田さんが留学先に選んだオークランドはスーパーラグビーに参加するニュージーランドの国民的チーム「Blues(ブルーズ)」の本拠地であり、スポーツ留学中はBluesの選手らが使う国内最大のグランド「Eden Park(イーデン・パーク)」内でラグビーに励むことができる。Game On Englishには、日本人初のスーパーラグビープレイヤーで、粟生田さんも憧れるという田中史朗(ふみあき)選手が活躍したオタゴも選択先のひとつに含まれている。

◆英語と週末のアクティビティで語学力アップ

 Game On Englishプログラムは、語学学校での英語研修と寮生活、あるいはホームステイ生活が含まれている点も特徴。日本からGame On Englishへの参加は、プログラムのパートナーエージェントを務めるJTBがサポートし、留学生の目的なパーソナリティにあった地域や英語プログラムを提案してくれる。

 2017年現在、提供されているおもなプログラムは語学研修とラグビー研修にバランスよく取り組むことができる「グローバル人材プラン」と、短期間でのスキル向上を目指す「ラグビー特化プラン」の2つ。滞在期間はいずれも約2週間以上を基本としている。

 英語の研修はおもに、現地の語学学校へ通学する。ニュージーランド政府公認のプログラムということもあり、派遣先の語学学校はすべて、政府から高い評価を受けている全26校からなる語学学校団体「English New Zealand」の加盟校だ。通常の英会話を学ぶ授業ではなく、ひとりひとりにあったオーダーメイド授業を受講できるため、スポーツ英語や栄養学、スポーツ文化論や体力学など、自分の興味関心にあった科目を英語で受講できる点が魅力だ。

 学業のほか、週末は寮の友達やホストファミリーと交流し、ニュージーランド観光や大自然を舞台にしたさまざまなアクティビティに身を投じることができる。語学とラグビー、そして異文化交流という、吸収力に優れた世代にはうってつけのプログラムかもしれない。

スーパーラグビーに参加するニュージーランドの国民的チーム「Blues(ブルーズ)」が利用する、同国最大のスタジアム「Eden Park(イーデン・パーク)」
オークランドラグビー協会の場合、ニュージーランド最大のスタジアム「Eden Park(イーデン・パーク)」が練習場だ

 なお、参加協会のひとつであるオークランドラグビー協会はさらに、2017年からスタジアム内で語学研修を受講できるよう、提供プログラムを刷新。元ラグビーニュージーランド代表であり、スポーツ留学生の練習も監督するアント・ストローン氏は、「より多くの時間を練習施設内で過ごせるよう工夫しました」と語る。続けて、「これまでは寮やホームステイ先から語学学校まで、そしてそこから練習場所までの移動に時間がかかっている選手が多くいました。そこで、提携する語学学校の講師をスタジアム内に招へいし、Game On English参加選手だけの英語研修を行うことにしました」とコメント。Game On Englishの提供が2014年7月から始まって3年目を迎え、限りあるニュージーランドでの時間をより効率的に、さらに濃密に過ごせるよう、万全な環境が整ったようすだ。

◆日本では出会えなかった自分、積極性とチャレンジ精神を開拓

北越高等学校2年生の粟生田樹宏さん(写真左)と、Game On Englishの指導にもあたる元ニュージーランド代表選手のAnt Strachan(アント・ストローン)氏(写真右) ※学年は2017年3月時点
元ニュージーランド代表選手のAnt Strachan氏と一緒に。伝説級の選手・元選手との距離が近いのもGame On Englishの魅力

 数あるスポーツの中でも、ラグビーは特に「自分を出していかないといけないスポーツ」と語る粟生田さん。「ラグビーはチームとして動く時間が長いので、その中で自分の立ち位置を示していかないと、チーム内での存在感や『自分』を出すことができない」という。その発言を聞き、さぞ日本でも同様に積極的なリーダーシップを発揮してチームを率いているのだろうと思いきや、答えは意外。粟生田さんは日本でのプレーを振り返り、「まだ1週間ですけど、変わりましたね」と語る。

 「日本では、わからないな、という感じを出せば周りがいろいろサポートしてくれるけど、ここではそういうことがない。自分から積極的にコミュニケーションを取らないと教えてもらえないし、聞きにいかないとアドバイスももらえないです。」(粟生田さん)

 英語もラグビーも修行の連続で、手一杯にならないのだろうか。取材陣の心配はどこ吹く風、粟生田さんは胸を張って答える。「最初はチームに馴染むのに時間がかかりましたが、Game On Englishに参加している日本人の大学生が声をかけてくれて。そういうこともあって、今は自分からコミュニケーションを取ろうって思うようにしています。来週にゲームがあるので、今は試合に出るのが目標です。」

 英語はまだまだという粟生田さんだが、異国の地で受ける刺激から語学、ラグビー技術の両方を急速に向上させているようすが見て取れる。これからGame On Englishに参加しようとする未来の参加者には「とにかく自信を持ってやってみてほしいです」とアドバイス。「英語が話せなくても、自分は何かあればJTBの日本人スタッフからサポートを受けられるし、寮では日本人との交流もあるので困りません。こっちの選手は体が大きいから、怪我の心配もあるかもしれないけど、とにかく楽しんでやってほしい」と語る姿からは、すでに一人前のラグビー選手としての自信が垣間見えた。

◆初心者からプロ志向まで、本場だからできる多様な受入れ

 いよいよ2年後に迫ったラグビーワールドカップ2019。会場が日本であることから、ラグビーに対する世間の興味関心も高い。ニュージーランド政府とGame On Englishの紹介と提供を行うJTBは今後、ラグビー選手人口の増加や認知・理解の拡大、そして選手の技能育成を目標に、Game On Englishのますますの普及に取り組む予定。

 アント・ストローン氏も、日本からの留学生について「ラグビーをやってみたいという子なら、もちろん男子でも、女子でも大歓迎です」と、参加を待ち望む意を示した。

 受入れ協会のひとつであるオークランドラグビー協会は今後、Game On Englishの対象年齢を高校生・大学生以外にも拡大予定。より多くの留学生に良質なプログラムを提供するため、まったくのラグビー初心者に向けたレベルからトップアスリートを目指す本格的なレベルまで、プログラム内容の見直しや改革を行っている最中だという。

 「近い目標は、まず全国大会で花園へ行くこと。遠い目標は、日本の代表選手、サンウルブズの選手になること」―粟生田さんはそう、語ってくれた。粟生田さんのように、自分の可能性を拡大する武器になる英語力を磨きながらラグビーの腕も鍛えたいという留学生の夢を実現するため、ニュージーランドは国一丸となったサポートを提供する構えだ。

 Game On Englishの詳細は、「Game On English」Webサイトで確認できる。強豪選手を排出する本場でこそ得られる経験は、何物にも代えがたい経験となるだろう。未来のラガーマンへの門は、すぐそこに開いている。

※編集部注:年齢や学年、滞在期間など、時間にかかわる発言はすべて2017年3月時点のもの
(協力:ニュージーランド大使館 エデュケーション・ニュージーランド、ニュージーランド航空、JTBニュージーランド)
《佐藤亜希》

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