「司法試験」合格者の進路は?難易度推移や合格のカギ…伊藤塾が徹底解説

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  • 法曹三者(弁護士・裁判官・検察官)を目指す2つのルート ※1年間の司法修習の最後に実施される修習生考試。これに合格すると司法修習を終え、判事補、検事、または弁護士となる資格を取得できる
  • 司法試験の合格状況(過去5年間) ※画像:編集部作成
  • 司法試験の合格状況(過去5年間) ※画像:編集部作成
 9月12日、2017年(平成29年)司法試験の最終合格者が発表された。試験の結果、受験者数5,967人のうち1,543人が合格した。司法試験予備試験を経由した司法試験合格者の5人に4人は受講生という、司法試験に詳しい「伊藤塾」司法試験科に、司法試験のポイントや難易度の推移、注目される合格者の進路について聞いた。

◆いまさら聞けない「司法試験」…法科大学院制度を知る

 2011年まで実施されていた「旧司法試験」は、大学を卒業または一般教養年次(2年)を修了していれば、受験資格の制限がなく、法律試験(短答・論文・口述の3段階)に合格すれば、司法試験合格の資格を取得することができました。

 一方、法曹養成を新たに担う法科大学院の創設とともに、2006年から開始された現行の「司法試験制度」では、司法試験を受験するためには、(1)法科大学院の修了、または(2)司法試験予備試験に合格する必要があります

 法科大学院制度の目的は、法曹としての学力・資質を法科大学院で養成し、より質の高い将来の法律家が司法試験に合格できる仕組みを整えることにありました。それに対し、司法試験予備試験は、さまざまな事情から法科大学院への進学が困難な方にも、法律家になる機会を与えるために設けられた、「法科大学院課程の修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的」とした制度です。

 法科大学院入試には、大学卒業(一部飛び入学制度もあり)が受験資格として必要ですが、司法試験予備試験は、受験資格の制限は一切ありませんので、誰でも受験することができます。そのため、司法試験予備試験は、法科大学院に入学する前の大学生、社会人に人気となり、まずは司法試験予備試験合格を目指して学習を開始することが現在のスタンダードとなっています。

法曹三者(弁護士・裁判官・検察官)を目指す2つのルート ※1年間の司法修習の最後に実施される修習生考試。これに合格すると司法修習を終え、判事補、検事、または弁護士となる資格を取得できる
法曹三者(弁護士・裁判官・検察官)を目指す2つのルート

◆司法試験の難易度推移…合格のカギは?

 では、この制度の変更が司法試験の難易度自体にどのような変化をもたらしたかというと、いわゆる「旧司法試験」時代は、最後の2011年の合格率はわずか0.45%(およそ220人に1人の割合)と、一部のエリート層のみが合格できる試験といわれていましたが、現在の「司法試験」は、前述のとおり、受験資格を設けているため、受験者数は限定され、2017年の司法試験合格率は25.86%(およそ4人に1人の割合)となり、誰もが合格を目指せる試験となっています。

 こういった相対的な難易度の点はもちろん、現行司法試験に変わったあとも、短答式試験が2015年から7科目から3科目へ変更になるなど、試験内容そのものも、より受験生にとって取り組みやすいものへと変わってきています。

 ただ、司法試験受験資格を得たルートごとに合格率を見た場合、2017年試験は、法科大学院法学未修者コース(法律初学者向け)12.1%法科大学院法学既修者コース(法律学習経験者向け)32.7%予備試験合格者72.5%と、大きく差が生じています。したがって、試験自体の難易度もさることながら、いかに早期に本試験レベルに近い法律学習をしているかどうかが、司法試験合格のカギを握っているといえます。

◆合格者のキャリアパス…受験リミットは「5回」

 司法試験合格者は、1年間の司法修習(実務トレーニング)を経て、司法修習の最後にある司法修習生考試(いわゆる二回試験)を通過することで、法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)になることができます。

 弁護士になる人の多くは、法律事務所に所属し、弁護士登録をすることになります。ひとくちに弁護士といっても、刑事事件や少年事件、離婚、相続、交通事故の損害賠償などの身近な問題の相談のほか、企業法務(契約取引やM&A、アライアンスなど)、渉外法務(国際取引など)、知的財産権(特許や著作権など)、金融法務(ファイナンス)、不動産法務など、さまざまな分野があります。法律と関わらない企業活動は存在しないので、世の中に幅広く関与することができるのが弁護士業務です。

 また、近年では、企業内や官公庁、自治体、国際機関の職員として働く弁護士(インハウスローヤー)も確実に増えています。つまり、弁護士は、司法の場のみならず、行政、政治の場で活躍することもできるのです。

 裁判官は、社会で生じるさまざまな紛争(民事事件・刑事事件)を、自分の良心と憲法・法律のみに基づいて判断していきます。検察官は社会正義の実現に向けて、刑事事件について捜査や裁判の維持を担当します。裁判官・検察官は、その責務に留まらずに、外交官として外国の大使館に勤務したり、各省庁で立法作業に携わったり国のいわば“顧問弁護士”として法的アドバイスをする役割もあります。

 司法試験は受験資格を取得してから、5年間(5回)受験することができますが、もし仮に司法試験に不合格だった場合、もしくは受験しない場合にも、司法試験の学習で培った基本7法の法律知識は、ほかの資格試験にも幅広く対応することができるため、国家公務員、地方公務員、また司法書士や行政書士という行政・法律のプロフェッショナルへのチャレンジが容易です。

 また、一般企業に就職する場合も、企業活動と不可分な法的知識の活用はもちろん、身に付けている論理的な法的思考力は、ビジネスの世界でも安定した実力を発揮することができるので、司法試験の学習それ自体がビジネスキャリアを積むことに等しい価値のあるものということができます。
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司法試験の合格状況(過去5年間) ※画像:編集部作成
司法試験の合格状況(過去5年間)

 平成29年司法試験には6,716人が出願。5,967人が受験し、1,543人が合格した。合格者の年齢構成を見ると、平均年齢は28.8歳。最高年齢は71歳、最低年齢は21歳だった。最高年齢71歳は、前年66歳の最高年齢よりさらに5歳年上で、平成29年を含む過去5年間で過去最高。合格者の性別は男性が1,228人、女性が315人だった。
《編集部》

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