【中学受験2018】ポイントはここ!2017年のニュース・時事問題…人名や対策を伝授

 中学入試「社会」で出題されやすい、その年の出来事や事件を問う「時事問題」。激動の1年もあと数日に迫った12月、進学塾「モチベーションアカデミア」下北沢校 校長の横山翔一先生に出題予想と対策を聞いた。

教育・受験 小学生
2017年最大のニュースは「衆議院の解散・総選挙」(Photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images)
  • 2017年最大のニュースは「衆議院の解散・総選挙」(Photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images)
  • 覚えておくべき人名!2017年時事問題の重要人物 (Photo by Brook Mitchell/Getty Images)(Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images)
  • 覚えておくべき人名!2017年時事問題の重要人物 欧米の人名は原則としてファミリーネームだけで十分 (Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images)(Photo by Anthony Kwan/Getty Images)(Photo by Mark Schiefelbein-Pool/Getty Images)(Photo by Thomas Lohnes/Getty Images)(Photo by Dan Kitwood/Getty Images)
  • まず、「安倍晋三」内閣総理大臣は漢字で書けるようにしておくこと (Photo by Brook Mitchell/Getty Images)
  • 2017年5月に韓国の大統領に就任した「ムン=ジェイン」氏はカタカナで書けるようになっておこう (Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images)
  • 2017年1月にアメリカ大統領に就任した「トランプ」氏 (Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images)
  • 春にフランス大統領に就任した「マクロン」氏 (Photo by Anthony Kwan/Getty Images)
  • ロシアの「プーチン」大統領 (Photo by Mark Schiefelbein-Pool/Getty Images)
 2017年も師走に入った。年が明ければ、中学受験シーズンもピークを迎える。その年に起こった事件や出来事は中学入試「社会」の問題に出題されやすいことから、対策として2017年のニュースをおさらいしている家庭も多いだろう。

 受験を控えた小学6年生はもちろん、親子で「社会」を学びたいとする保護者に向け、進学塾「モチベーションアカデミア」下北沢校 校長の横山翔一先生に、2017年の時事問題対策のコツと、おさえておきたいニュースを聞いた。監修は中学受験 個別指導のSS-1 社会・国語教務主任の馬屋原吉博先生。

時事問題の対策をする前に知っておくべきこと!



 中学入試の社会では時事問題が出題されると聞いて、「うちの子、ニュースとか全然見てないし…」と不安に思われる親御さんは少なくありません。塾に言われて「重大ニュース」や「ニュース最前線」を購入して目を通し、「これ、どこまで勉強すればいいの?」と悩まれる親御さんも少なくありません。

 直前期に時間をかしこく使うために、そして余計な不安を抱え込まないようにするために、時事問題対策が始まる前に保護者が知っておいた方が良いことが2つあります。

 1つめは、必要な勉強の量と質はお子さんひとりひとりによって違う、ということです。時事問題の出題量や難易度は、受験する学校によって大きく異なります。受験される学校の問題に目を通したり、塾の先生に質問したりするなどして、あくまで“うちの子は”どのような勉強をどれくらいした方が良いかを把握しておきましょう。

 2つめは、本当に大切なのは、細かいニュースに関する知識そのものではなく、大きなニュースの背景にある基本事項の方だ、ということです。たとえば、「今年ノーベル平和賞を受賞した組織の名称をアルファベットで答えなさい」という問題に答えられなかったとしても、そもそもそういう問題の正答率は低いですから、それが原因で不合格になることは考えづらいです。しかし、「今年は日本国憲法が施行されてから70周年の節目の年ですが、では、日本国憲法が定める憲法の改正の仕方を答えなさい」という問いに対応できなかったら、それは不合格への一歩です。

受験生がおさえておきたい「2017年 時事問題・ニュース」



 それでは、これらの2つのポイントを意識しながら、2018年度(平成30年度)入試にのぞむ多くの受験生がおさえておいた方が良いと思われるニュースを、いくつかあげてみます。

解散・総選挙!



 2017年最大のニュースは「衆議院の解散・総選挙」です。そもそも、国会や選挙に関する知識は、時事とは関係なく問われる基本事項でもありますので、このあたりについての知識は特に徹底的に詰めておく必要があります。

2017年最大のニュースは「衆議院の解散・総選挙」(Photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images)
Photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images

 2017年の選挙特有の話題としては、定数の変更があります。小選挙区の定数が295から289に、比例代表の定数が180から176になったことは絶対に覚えておきましょう。受験生泣かせの覚えにくい数字です。

 小選挙区選挙と比例代表選挙の違いや、現在の日本が抱える問題点(若年層の投票率の低さと一票の格差)についても理解を深めておく必要があります。シルバー民主主義」という言葉の意味については全員説明できるようになっておいた方が良いと思われます。最難関校を受けるお子さんには「アダムズ方式」の内容についても教えています。

 政党については「自由民主党」と「公明党」の名称を「連立」という言葉の意味とともに覚えておきます。余裕があれば「立憲民主党」「希望の党」の名称も覚えておきましょう。人名は「安倍晋三」氏は絶対に漢字で書けるようにしておき、「小池百合子」氏の名前も念のために練習しておいた方がよいと思われます。

北朝鮮情勢



 東アジアを騒がす北朝鮮のミサイル発射・核実験については、「朝鮮民主主義人民共和国」「金正恩」、さらに「Jアラート」といった固有名詞を覚えておくと良いかと思います。

 この話に関連して学んでおくべき基本事項は2つ。ひとつめは「朝鮮戦争です。1950年に起きた朝鮮戦争が、どういった背景で起こり、当時の日本にどのような影響を与えたのか「朝鮮特需」「警察予備隊」「サンフランシスコ平和条約」「日米安全保障条約」といったキーワードとともに整理しておきましょう。

 2つめは核に関する話題です。2017年7月に国連が「核兵器禁止条約」を採択しています。唯一の被爆国である日本が条約の交渉に参加していないことは全員が覚えておくべきです。そのうえで、日本が参加していない理由や、核保有国(安全保障理事会の常任理事国、インド・パキスタン・北朝鮮)、そしてイスラエル、さらに韓国やNATO加盟国も参加していないことまで覚えておけると良いでしょう。

 現代史や国際的な話題に関する出題が多い学校を受験するのであれば、核拡散防止条約(NPT)や部分的核実験禁止条約(PTBT)、包括的核実験禁止条約(CTBT)など、核兵器の削減に伴う歴史についても、きちんと頭に叩き込んだうえで入試に臨みましょう。

21個目の世界遺産!



 2017年7月、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」がユネスコの世界文化遺産に登録されることが決まりました。

 九州本土にある福岡県宗像市と、玄界灘に浮かぶ沖ノ島の場所は地図でチェックしておきましょう。沖ノ島は「女人禁制」であることや、古いものは古墳時代・飛鳥時代のものと考えられる大陸の文化の影響を受けた宝物が出土しているため、「海の正倉院」と呼ばれることも知っておくと良いかと思います。

 これで日本にある世界遺産は、自然遺産が4件、文化遺産が17件となりました。適度に全国に散らばっていることもあり、世界遺産に関わる話は中学受験の地理とは本当に相性が良い=出題されやすいです。なにはともあれ、まずは〇〇県にある世界遺産は何か?」という問いに対して正確に答えられるようにしておきましょう。その際、自然遺産と文化遺産は明確に区別して覚えておく必要があります。

 それができたら、あとは可能な範囲で、それぞれの世界遺産に関わるキーワードを覚えていきましょう。「青森・秋田―白神山地―ぶなの原生林」「岩手―平泉―奥州藤原氏・浄土教・中尊寺金色堂」といった具合です。「明治日本の産業革命遺産」については、最難関校を受けるのでなければ「松下村塾・八幡製鉄所・韮山反射炉・端島炭鉱(軍艦島)」あたりを覚えておけば十分かと思われます。

覚えておくべき人名!2017年時事問題の重要人物



 まず、「安倍晋三」内閣総理大臣と「小池百合子」東京都知事は漢字で書けるようにしておくこと。

覚えておくべき人名!2017年時事問題の重要人物 (Photo by Brook Mitchell/Getty Images)(Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images)
写真:漢字で書いておきたい「安倍晋三」内閣総理大臣(左)と韓国の「ムン=ジェイン」大統領(右)(Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images

 中国の「習近平(しゅう きんぺい)」国家主席、北朝鮮の「金正恩(キム・ジョンウン)」最高指導者も漢字で書けるようにしておきましょう。明言はできませんが、5月に韓国の大統領に就任した「ムン=ジェイン」氏はカタカナで書ければ十分(漢字で書かされることはほぼない)かと思われます。

 欧米の人名は原則としてファミリーネームだけでOKです。2017年1月にアメリカ大統領に就任した「トランプ」氏、春にフランス大統領に就任した「マクロン」氏、ロシアの「プーチン」大統領、ドイツの「メルケル」首相、イギリスの「メイ」首相は、顔写真とともに覚えておいた方が良さそうです。

覚えておくべき人名!2017年時事問題の重要人物 欧米の人名は原則としてファミリーネームだけで十分 (Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images)(Photo by Anthony Kwan/Getty Images)(Photo by Mark Schiefelbein-Pool/Getty Images)(Photo by Thomas Lohnes/Getty Images)(Photo by Dan Kitwood/Getty Images)
Photo by Chung Sung-Jun, Anthony Kwan, Mark Schiefelbein-Pool, Thomas Lohnes, Dan Kitwood/Getty Images

 国連の事務局長「グテーレス」氏は、出身国がポルトガルであることと併せて覚えておきましょう。国連関係でいえば、5月に国連軍縮担当上級代表に「中満泉(なかみつ いずみ)」氏が就任しています。「天野之弥(あまの ゆきや)」氏は国際原子力機関(IAEA)の事務局長を2期8年務め、2017年12月から3期目を務めることが決まっています。国連とは関係ありませんが、2017年は長崎県出身の日系イギリス人作家「カズオ=イシグロ」氏がノーベル文学賞を受賞しています。

国連の事務局長「グテーレス」氏(左)と国際原子力機関(IAEA)の事務局長である天野 之弥氏(右) (Photo by Lukas Schulze/Getty Images)(Photo by Ron Sachs-Pool/Getty Images)
写真:国連の事務局長「グテーレス」氏(左)と国際原子力機関(IAEA)の事務局長である天野之弥氏(右)(Photo by Lukas Schulze,Ron Sachs-Pool/Getty Images)

 受験対策としては半分冗談ですが、6月に上野で生まれたジャイアントパンダの名前は「シャンシャン」に決まりました。ちなみに上野に初めてパンダが来たのは1972年、日中共同声明の年です。これは「冗談」ではありません。しっかりと覚えておきましょう。

<執筆>モチベーションアカデミア 下北沢校 校長 横山翔一(よこやま しょういち)
世界で勝負できる人財を育む進学塾・モチベーションアカデミア下北沢校の校長として、国立・早慶といった難関校を目指す大学受験生を指導しながら、中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1では、副代表の馬屋原とともに、保護者参加型・双方向型の集団授業「最速社会」を担当している。大学受験で求められる膨大な知識を中学受験レベルに落とし込みながら展開される楽しい授業は、生徒のやる気を引き出すことで「結果として」成績が上がると好評。

<監修>中学受験 個別指導のSS-1 社会・国語教務主任 馬屋原吉博(うまやはら よしひろ)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1で教務主任として社会と国語を担当し、筑駒・開成・桜蔭をはじめとする難関中学に多くの生徒を送り出している。必死で覚えた膨大な知識で混乱している生徒の頭の中を整理し、テストで使える状態にする指導方法が好評。バラバラだった知識と知識がつながりを持ち始め、みるみる立体的になっていく授業は、生徒はもちろん参加している保護者にも人気がある。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。近著「CD2枚で古代から現代まで 聞くだけで一気に分かる日本史」(アスコム)、「頭がよくなる謎解き社会ドリル」(かんき出版)はいずれも版を重ねている。
《執筆:横山翔一/監修:馬屋原吉博》

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