【話題】鉄琴を弾いて、お呼び出しください…福岡教育大学図書館の試み

 「御用の方は この(音程の変な)鉄琴で きらきら星(らしき曲)を弾いてください スタッフが参ります」―福岡教育大学図書館の取組みが話題だ。スタッフを呼びたい時に、きらきら星“らしき”曲を演奏すると、スタッフがやってきてくれる。

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福岡教育大学図書館に設置されている、呼出し用の鉄琴 画像提供:福岡教育大学学術情報課
  • 福岡教育大学図書館に設置されている、呼出し用の鉄琴 画像提供:福岡教育大学学術情報課
  • 実際に鉄琴を演奏する学生のようす 学術情報課コメント「学生(利用者)はスタッフが目の前にいてもついつい演奏してしまう程に楽しんでくれていると感じます。」 画像提供:福岡教育大学学術情報課
  • 呼び出す、という目的だけでなく、学生とスタッフの交流が増え、結果として図書館への要望等を聞く機会が増えたという 画像提供:福岡教育大学学術情報課
 「御用の方は この(音程の変な)鉄琴で きらきら星(らしき曲)を弾いてください スタッフが参ります」―福岡教育大学図書館の取組みが話題だ。スタッフを呼びたい時に、きらきら星“らしき”曲を演奏すると、スタッフがやってきてくれる。

 ネット上で話題になったのは、Twitterへのある投稿がきっかけ。福岡教育大学の図書館で、スタッフを呼び出す際に鉄琴で演奏をする、という工夫を取り上げたつぶやきは、ネットユーザーから「教育大学らしい取組み」「おもしろい」「弾けないけど、呼んでみたい」など、多くの賞賛を集めた。

 なぜ、このような取組みを始めたのか。

 福岡教育大学 学術情報課によると、鉄琴による呼び出しを始めたのは2018年1月19日のこと。スタッフがそれぞれ意見を出し合い、鉄琴を設置し、スタッフを呼べるよう決定したという。

 鉄琴の導入までは、1名のスタッフが窓口専門としておもに対応していたところ、手が離せない場合はほかのスタッフが学生(利用者)の対応をしていた。しかし、館内の構造上、スタッフが学生に気付けない場合もあったため、改善したいとの案が出ていた。

 そこで、スタッフのひとりが「待ち時間という退屈な時間を少しでも楽しく(短く)感じていただけるように」と、鉄琴を購入。それまで入り口に設置していた「呼び出しベル」とは異なる音になるように、との意味も込め、鉄琴の導入を決めたという。

 最終的に設置を決定したのは学術情報課 課長だが、改善を呼びかけた者と、鉄琴に決めた者、演奏を提案した者はすべて、別のスタッフだという。チームで改善意識を共有し、行動につなげるという、課一丸となった取組みであることがわかる。なお、鉄琴の価格は108円。最終的には、課長が負担したとのこと。大きな予算をかけずとも、小さなことから始める重要さが示されている。

実際に鉄琴を演奏する学生のようす 学術情報課コメント「学生(利用者)はスタッフが目の前にいてもついつい演奏してしまう程に楽しんでくれていると感じます。」 画像提供:福岡教育大学学術情報課
鉄琴を演奏する学生のようす 画像提供:福岡教育大学 学術情報課

 学術情報課によると、学生の反応は上々。スタッフが目の前にいても演奏をする学生もいるという。呼び出しという、当初の目的だけでなく、鉄琴をきっかけとしたスタッフと学生の交流も生まれたようだ。結果として、図書館への要望を聞く機会も増加したとのこと。

呼び出す、という目的だけでなく、学生とスタッフの交流が増え、結果として図書館への要望等を聞く機会が増えたという 画像提供:福岡教育大学学術情報課
画像提供:福岡教育大学 学術情報課

 教員を目指す学生が集う、教育大学ならではの取組み。学生を支えようと、問題意識を持ち、日々改善に努めるスタッフと、勉学に励む学生らの意識が見事に一致した結果だろう。

 福岡教育大学は、福岡県宗像市にある、九州地区で唯一の教員養成大学。「福教大」としての略称でも親しまれている。文部科学省が発表した2017年(平成29年)2月の教育学部卒業者、教職大学院修了者の教員就職状況によると、同大学の小学校等の正規教員として採用された人数は、全国の国立教員養成大学・学部の中で2番目。同大学は、「小学校等の教員になりたいとの目標をかなえられる大学を目指して引き続き改革に取り組んでいきます」としている。
《佐藤亜希》

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