iPad&Brain+で改革する千葉明徳高校の授業スタイル

 千葉明徳中学校・高等学校 副校長の梅澤俊秀氏、千葉明徳中学校・高等学校 グローバル教育推進委員会・委員長で英語教諭の谷澤信司氏に、iPadおよびBrain+の導入の意図、成果や課題について聞いた。

教育ICT 高校生
千葉明徳中学校・高等学校 副校長の梅澤俊秀氏、千葉明徳中学校・高等学校 グローバル教育推進委員会・委員長で英語教諭の谷澤信司氏
  • 千葉明徳中学校・高等学校 副校長の梅澤俊秀氏、千葉明徳中学校・高等学校 グローバル教育推進委員会・委員長で英語教諭の谷澤信司氏
  • 副校長の梅澤俊秀氏と英語教諭の谷澤信司氏
  • 千葉明徳中学校・高等学校 副校長の梅澤俊秀氏
  • 千葉明徳中学校・高等学校 グローバル教育推進委員会・委員長で英語教諭の谷澤信司氏
  • 英語の授業でBrain+を活用(千葉明徳中学校・高等学校)
  • 英語の授業でBrain+を活用(千葉明徳中学校・高等学校)
  • 英語の授業でBrain+を活用(千葉明徳中学校・高等学校)
  • 千葉明徳中学校・高等学校 副校長の梅澤俊秀氏、千葉明徳中学校・高等学校 グローバル教育推進委員会・委員長で英語教諭の谷澤信司氏
 2020年の大学入試大改革を前に、多くの学校が、アクティブラーニングの導入等、新たな取組みを始めている。千葉明徳高等学校でも、2017年4月から1人1台の「iPad」を導入。あわせてシャープのタブレット向け統合型学習アプリケーション「Brain+(ブレーンプラス)」を活用することで、新たな授業スタイルを求めた取組みを開始している。

 千葉明徳中学校・高等学校 副校長の梅澤俊秀氏、千葉明徳中学校・高等学校 グローバル教育推進委員会・委員長で英語教諭の谷澤信司氏に、iPadおよびBrain+の導入の意図、成果や課題について聞いた。

副校長の梅澤俊秀氏と英語教諭の谷澤信司氏
副校長の梅澤俊秀氏と英語教諭の谷澤信司氏

iPad導入時の課題とは



 千葉明徳高等学校は、千葉県千葉市にある中高一貫校である。京成電鉄千原線「学園駅前」から徒歩1分。緑に囲まれた敷地内には、幼稚園や短期大学の校舎もあり、グラウンド、野球場、テニスコート、体育館などがそろっている。世界視野で羽ばたける力を育てる「新しい進学校」を目指し、ICT教育、グローバル教育、プレゼンテーションにも力を入れている。いずれも、今後の社会変化に対応するために必要とされるスキルだ。

 とはいえ、新しい試みには常に抵抗や課題がつきものだ。千葉明徳高等学校ではどうだったのだろうか? 千葉明徳高等学校が2017年春のiPadの導入に向けて動き始めたのは2015年の夏。保護者への説明は導入半年前から行ったという。

 梅澤氏は「保護者会では、教育改革の内容やアクティブラーニングを導入することと関連付け、iPadを使う意義についてご説明いたしました。実際の導入時に個々にお問合せはありましたが、iPadを使うことには皆さんご同意いただけたようです」と語る。

 導入時に課題となったのは、教師側のiPad操作だという。もともとiPadを個人的に利用していた教師もいれば、一度も触れたことのない教師もいる。そこで、導入の1年前には教師にiPadを支給。使い慣れてもらうことから始めた。

 梅澤氏は「iPad導入に際しては、2017年春から逆算して計画を作っていきました。2016年3月の終わりには教師にiPadを渡し、iPadの操作法や双方向の授業の進め方の研修を2日間行いました。そして、4月1日の新年度の方針を記したドキュメントをいきなりペーパーレスにし、iPadを使って読んでもらうようにしました。当初は戸惑う先生もいましたが、こうしたドキュメントの共有や、教員どうしのデータのやりとりについては、すぐに慣れることができましたね」と当時を振り返る。

 しかし、iPadを生徒たちにも配布すると、さらに高いハードルが見えてきたという。「教員どうしの情報共有ツールとしての使い方は比較的簡単にできたのですが、生徒と一緒に使うというのには高いハードルがあります。今後は、授業での使い方を学び合うワークショップという形での職員研修を増やしていきたいと思っています。iPadというツールを教師の授業に落とし込んでいくことが大切ですので」(梅澤氏)

アクティブラーニングを進めるツール「Brain+」



 文部科学省を中心に進められている教育改革では、「知識を活用して、実社会に役立てていく」ことに力点がおかれ、「アクティブラーニング」の手法が注目されている。これまでの先生が生徒に知識を教える一方向型の知識習得型授業から、先生が課題を投げかけると生徒たちがタブレット等で答えを調べ、皆で協力し合いながら解答を導き出す双方向型の問題解決型授業がアクティブラーニングである。

 千葉明徳高等学校では、タブレットとしてiPadを選択し、同時にシャープの統合型学習アプリ「Brain+(ブレーンプラス)」を導入。双方向型の授業に取り組んでいる。

英語の授業でBrain+を活用(千葉明徳中学校・高等学校)
 「Brain+」は、シャープが長年提供してきた電子辞書「Brain」の機能をもとに開発されたアプリで、iPadやWindows PC/タブレットにインストールして利用できる学習支援ツールである。たとえば「武田信玄」と全文検索すると、「武田信玄」を見出しとしている項目だけでなく、武田信玄に関連する用語「善光寺」の解説も確認できるため、知識の幅、発想の幅を広げることができるわけだ。

 千葉明徳高等学校では、当初のiPad導入計画時に、このBrain+の導入は考えていなかったという。梅澤氏は「当初、辞書の導入は考えていませんでした。しかし、辞書も導入しようということになり、ほかのさまざまな辞書アプリも検討しました。Brain+に決めたのは、電子辞書とは違う使い方を模索した結果です。タブレットに入れるメリットがあるものを選択したかったのです。もともと、双方向型の授業をしていきたいと思い、iPad導入にふみきりました。そのために使えるツールはどんどん導入したいと思っています」とBrain+導入のきっかけを説明した。

オリジナル電子教材を作るツール「Brain+」



 谷澤氏の英語の授業では、オリジナル教材をBrain+に取り込み、生徒たちが活用できるようにしている。「今(3月下旬)行っている授業は、教科書を終えた後のプラスαとしてオリジナルのプリントを使っています。プリントは、PDFにしてBrain+に取り込んであるので、生徒たちはiPadの画面を見ながら、プリントに取り組むことができます。(教材とBrain+がシームレスに繋がるため)単語の意味を調べたり、読み上げ機能を利用して発音を音声で確認することが非常に速くできるので、便利ですね」(谷澤氏)

 英語といえば、大学入試改革の1つである「英語4技能(聞く、話す、読む、書く)」の評価が注目されている。これまでの「読む、書く」を中心にした学習から、「聞く、話す」の重要性が見直された改革だが、Brain+の全文を読み上げる機能は、「聞く」力を養う一助となっているようだ。

 谷澤氏「全文読み上げ機能はとても助かっています。音声学習は大事です。ネット上にはさまざまな英語のコンテンツがありますので、それらを使うことでも、さまざまなシチュエーション、多様な発音の英語に、生徒たちが触れられるよう工夫しています」と語る。

 今後の授業は、教師の創意工夫によって、生徒たちが自ら学べる環境を作っていくことが鍵になるともいえるだろう。谷澤氏は「知識を習得しただけでは社会に出たときに戸惑ってしまいます。社会で必要なのは『考え続ける力』です。それを身に付けさせてあげたい。そのためにICTがどのようにかかわっていけるか、いろいろ挑戦しているところです。Brain+もさらに高機能になっていくことを期待しています」と続ける。

英語の授業でBrain+を活用(千葉明徳中学校・高等学校)

ICTによる授業改革の成果と課題



 昨年からiPad&Brain+を導入したことで、教師側の意識が変わり、成果につながっているという報告も聞くことができた。「報告会をもったときに、3名の先生からの報告がありましたが、それぞれ違ったiPadの使い方をしていました。なかでも40代の日本史の先生の報告が印象的でした。それまでは、先生が生徒に教えるという一方向の授業だったのを、先生が課題を出して、生徒どうしで解答を出し合うグループワークの形にしてみたそうです。そうすることで、授業がそれまでよりも活気づいて、それまで受動的だった生徒が能動的になったという報告でした」(梅澤氏)

 梅澤氏はこの報告会を受けて、教師が授業改革を行おうという意識改革がまずは大切なのだと痛感したという。そして、授業改革のツールとしてICTは有効だと語る。「生徒たちにも考えさせる、意見を交換させる、といった授業を行うことは、ICTなしでも可能なところはあります。しかし、模造紙に課題や解答例を書くなど、時間をかけた準備が必要でした。ICTを活用すれば、そうした手間をはぶくことができ、すぐに課題を共有できます。さらに、生徒たちの意見もすぐに集約でき、自分たちの考えをプレゼンさせることも可能です」(梅澤氏)

 とはいえ現場の教師は、改革の必要性はわかっていても、なかなか取り組めない苦しい状況がある。

 梅澤氏は「教育改革が叫ばれるなか、現場の先生方はわかっていても、部活だとか日常の業務に追われることが多く、取り組めない状況にあることも確かです。ICTを活用した授業改革を進めるにあたっての課題はここにあります。しかし、これを乗り越えて、授業力、教育力、実践力のある先生がどれだけ育つかが、今後の学校の評価になるだろうと思います」と締めくくった。

 千葉県内でも、多くの高校がICTを活用した授業を始めている。千葉明徳高等学校は、先駆けて導入し、授業改革に取り組み始めた。それだけに苦労も多く、乗り越えるべき課題は多かったに違いない。しかし、今回のインタビューでは、その苦労よりも、新しい授業スタイルで生徒たちを育てることへの情熱、楽しさが伺えた。こうした情熱が、将来社会で活躍する人材を育てているのだと実感できる時間だった。

千葉明徳中学校・高等学校 副校長の梅澤俊秀氏、千葉明徳中学校・高等学校 グローバル教育推進委員会・委員長で英語教諭の谷澤信司氏

Brain+



 シャープのタブレット端末向け統合型学習アプリ。iPad用とWindows用にコンテンツパックを計4シリーズ用意。英英辞典を含む総合学習パックは34コンテンツ、基礎学習パックは13コンテンツの辞書や参考書などを収録している。

 なお、アプリは無償でダウンロード可能だが、コンテンツの使用には別途ライセンスの購入が必要。中学校や高校など、タブレット端末を導入する教育機関における授業や自己学習に活用されている(Brain+詳細情報へ)。

Brain+

 
《渡邊淳子》

【注目の記事】

編集部おすすめの記事

特集

page top

旬の教育・子育て情報をお届け!(×をクリックで閉じます)