【大学入試改革】2020年度からの大学受験、英語4技能試験のしくみと基礎知識【大学入学共通テスト】

 2020年度から実施される新テスト「大学入学共通テスト」では、英語の評価に外部の民間資格・試験の成績が利用されることが決まっている。大学入試センターが利用するテストと並行される仕組みなど、基本情報を関西学院大学 山田高幹氏に解説してもらった。

教育・受験 その他
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  • 大学入試英語成績提供システム参加要件を満たしていることが確認された英語の民間資格・検定試験の一覧
  • 大学入試改革と新学習指導要領の移行・実施スケジュール
 “戦後最大”と称される教育改革の波。改革の柱のひとつである「大学入学共通テスト(共通テスト)」は、約58万人が受験する現行の大学入試センター試験に代わる試験でもあり、実施方法やその実態が注目されている。

 国の入試システムが変革されるとなれば、近い未来に受験を控える高校生だけでなく、小中学生や幼児の保護者もその動向が気になるところ。「大学入学共通テスト」とは何かという、基本から丁寧に見ていこう。特に注目される英語4技能評価のあり方については、入試業務に携わる関西学院大学の山田高幹氏に話を聞いた。

大学入学共通テスト、英語4技能はどう変わる?
1、大学入学共通テストとは
2、英語4技能評価はこう変わる
 入試の基礎知識 2023年度までのスケジュール
 入試への基本対策 小中学生からのできること
参考:「英語4技能」に関するニュース
参考:「大学入学共通テスト」に関するニュース


1、大学入学共通テストとは



 「大学入学共通テスト」とは、2020年度(2020年1月)から導入される新テストのこと。1979年から1989年まで実施された「大学共通第一次学力試験(共通一次試験)」と、その後継である現行の「大学入試センター試験(センター試験)」に続き、国公立大学および参加する私立大学にて活用される。

 大学入学共通テストでは、数学と国語に記述式が導入され、英語については2023年度までは大学入試センターが出題する問題と、英語4技能を測定する英語の民間資格・検定試験を併用、2024年度からは民間資格・検定試験に一本化する方針が定められている。

 なお、「英語4技能」とは、「読む(Reading)」「聞く(Listening)」だけでなく、「話す(Speaking)」「書く(Writing)」も加えた英語における4つの技能のこと。

 大学入学共通テストにおける英語外部検定試験が、判定でどのように活用されるかについては、国立大学協会より「出願資格」や「加点方式」等が考えられる、とある。このうち「加点方式」については、例として2割以上とされている。

大学入学共通テスト、受験する子どもの年齢・学年は?



大学入学共通テストを受験する"初代"にあたるのは、2018年度の高校1年生。一方で、2018年度の高校2年生は最後のセンター試験世代だと言える。高校1年生以下の子どもはみな、新テスト「大学入学共通テスト」の対象にあたるため、早めの情報収集と対策が必要なことは明らかだろう。

大学入試改革と新学習指導要領の移行・実施スケジュール
学年齢別 大学入試改革と新学習指導要領の移行・実施スケジュール

2、英語4技能評価はこう変わる



 大学入試改革で注目される「英語4技能」評価。しかし、その仕組みや詳細を把握している保護者は多くないだろう。入試全体の概要について、山田高幹氏に話を聞いた。

2023年度までは2つの試験が並行



 英語検定試験の使い方と対策を理解するにはまず、2020年度からの入試全体の仕組みをとらえておく必要があります。

 2020年度からの大学入学共通テストにおいて、英語の成績を問う方法は「大学入学共通テストの英語」と「英語外部検定試験の英語」のふたつがあります。今回話題になっているものは、そのひとつである英語外部検定試験です。2023年度まではこのように、ふたつのテストを並行する状況で大学入学共通テストが実施されます。

 加えて、各大学における個別試験の英語も考慮すると、大学入学共通テストの2つのほか、大学が主催する英語のテストもある、ということです。つまり、従来の受験生はセンター試験の英語と各大学個別試験の英語と2種類だけでよかったものが、2020年度からの受験生は3種類の試験を受験する可能性がある、ということです。

 「大学入学共通テストにおける英語」と「大学入学共通テストにおける英語外部検定試験」について、それぞれの詳細を見ていきましょう。

◆大学入学共通テストにおける英語

 これはセンター試験の実施主体である「大学入試センター」が作成する英語のテストです。現時点での試行調査としては、4技能評価ではなく、試験方式は従来のマークシート形式を採り、リスニングと読解が中心のテストです。大学入試センターが作成するテストの配点ウェイトは、国大協の参考例からすると、各大学で高めに設定されることが考えられます。当然、学習指導要領に準拠した内容になるため、高校における授業をしっかり受けておくことが対策となります。

◆大学入学共通テストにおける英語外部検定試験

 大学入試センターが2018年3月末に発表した活用を認めた英語の民間資格・検定試験一覧によると、「大学入試英語成績提供システム」への参加が認められた資格・検定試験は、ケンブリッジ英語検定TOEFL iBTテストIELTSTOEIC Listening & Reading TestおよびTOEIC Speaking & Writing TestsGTECTEAPTEAP CBT英検(1日完結型、公開会場実施、4技能CBT)の8種類です。

大学入試英語成績提供システム参加要件を満たしていることが確認された英語の民間資格・検定試験の一覧
成績として利用できる英語の民間資格・検定試験の一覧

 受験者は、志望する大学の判断に応じ、いずれかまたは両方の英語テスト・資格試験の成績を入試に活用するよう求められます。なお、2024年度からは英語の外部資格・民間試験を利用する方針に一本化する予定です。

 どの検定を選ぶべきか、と問われれば、文部科学省が大学へ「できるだけ多くの種類の認定試験の活用を求め」ていることから、どの検定でもよい、と答えることができます。結論としては、通学している高校で学校導入されている試験を中心に考えるのがよいでしょう。

 受験会場のある地域とそうでない地域が存在するなどの機会格差については、現在、文部科学省から高校にニーズ調査が入っており、その結果を受けて検定業者が会場をさらに充実させるなどが検討されています。

 なお、共通テストにおける民間試験・資格における英語スコアの利用条件は、高校3年の4月から12月の間で、合計が2回までのスコアが利用できます。高校2年時までのものは使えません。3回以上受験した場合、どれを入試活用できるかについては現在議論が進められているようです。

小中学生からの英語学習、どう進める?



 現状、多くの高校では3年生の夏休み以降は、個別試験に向けて記述力を高める指導に入り、11月から12月以降はセンター試験対策を行うケースが多いです。こうした指導の状況から、英語外部検定試験は秋口に学校導入をしにくい状況にあり、夏休み以前に受けてしまおう、となるように思われます。数年間はこの状況が続くと思います。

 そして、高校1、2年生は大学入試を目指し、学校は授業と定期考査などを丁寧に進めていくはずです。生徒は、普通に授業を受けていても、予習や復習などで手一杯のはずですが、英語外部検定試験を優先し対策をするのは本末転倒です。

 学齢がもっと低い小学生や中学生における英語はどうでしょうか。独自に力をつけて、チャレンジしてみることは悪いことではありません。自分の力がどの程度なのか、小さなころからつかんでおくのも大事なことです。忘れていけないのは、常に学ぶ場は学校にあるので、学校の授業をおろそかにしないことです。いくら英語外部検定試験の成績が良くても、学校で成績不振に陥ると自信を失うことも出てきます。低学年だからこそ「勉強はおもしろい」など知的好奇心を伸ばすことが重要です。

 一方、入試とは別に、大学では、留学において特に英語力を生かす場面が出てくるでしょう。実際に、交換留学ではTOEFL・IELTSのスコアが基準となるケースが多いです。そこまで見据えて英語学習に取り組むことは、持つべき目標としてとても良いと思います。ただし、TOEFL・IELTSは難易度も費用も高いため、受検するには相当な英語力が必要です。受検前には、試験時間や語彙の難しさなど事前によく調べておくのがよいでしょう。
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 教育・受験情報サイト「リセマム」は後日、大学入学共通テストにおける英語外部検定試験について、受験生や保護者からの疑問をもとにした「よくある質問」への回答を公開する。回答者は、本稿の解説担当である関西学院大学 高大接続センターの山田高幹氏。あわせてご覧いただきたい。
《編集部》

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