私大連、国の高等教育政策に反発…見解を発表

 日本私立大学連盟(私大連)は2018年9月13日、国の高等教育政策に危機感を示す見解を発表した。高等教育の無償化における国私間格差や支援対象校要件、東京23区の定員抑制などについて、「私立大学の特性と自主性を損なうことになりかねない」と批判している。

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 日本私立大学連盟(私大連)は2018年9月13日、国の高等教育政策に危機感を示す見解を発表した。高等教育の無償化における国私間格差や支援対象校要件、東京23区の定員抑制などについて、「私立大学の特性と自主性を損なうことになりかねない」と批判している。

 「高等教育政策に対する私大連の見解」と題して9月13日、私大連の鎌田薫会長(早稲田大学総長)、長谷山彰副会長(慶應義塾長)、田中優子常務理事(法政大学総長)、地方大学の振興と地方創生に関するプロジェクトの廣瀬克哉委員(法政大学常務理事)が出席して、記者会見の席で発表。Webサイトでも内容を公表している。

 見解では、高等教育の無償化を「意義ある取組み」と評価しつつも、国私間の公財政支出や学生納付金の格差を是正しないままの実施、実務家教員や外部理事の割合による支援対象校の要件について批判。「低所得者について、国立大学生は無償であるのに対し、私立大学生は年間50万円から450万円の授業料負担を強いることとなり、国私間格差がさらに拡大することになりかねない」「自主・自律性に基づく私学の理念を深刻に脅かすものにしてはならない」と反発している。

 また、「東京23区における定員抑制」についても「第三者機関の設置により、収容定員の増加を伴う学部・学科の新増設の必要性と合理性を判断したうえでこれを認める、などの特例措置を設けるべき」と、柔軟な対応を求めている。

 教育改革の指標として国が示す「人材育成の3つの観点(世界を牽引する人材、高度な教養と専門性を備えた人材、具体的な職業やスキルを意識した高い実務能力を備えた人材)」についても批判。これら国が提示する高等教育政策について「私立大学の自主的な改革の進展を軽視し、明確な長期ビジョンがないまま、経済政策に引きずられる形で断片的に策定されており、その結果、相互の整合性を欠くものになっていると言わざるを得ない」と訴えている。

 さらに補助金配分基準などを通じた間接的な政策誘導から、より強制的な色彩を強めていることを懸念。「一律の基準や強制力を伴った施策によって大学のあり方を直接規定していこうとする姿勢が、私立大学の建学の精神に基づく自主的な再編や改革の可能性を制約し、多様な教育研究を画一化し弱体化していくものと危惧される」と述べ、文部科学省に対して早急な対応を求めたいとした。
《奥山直美》

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