妊娠期間中の飲酒継続は妊娠高血圧症候群リスクを高める…東北大らが公表

 東北大学大学院の岩間憲之助教および東北医科薬科大学の目時弘仁教授らのグループは2018年11月5日、妊婦における飲酒や禁酒が妊娠高血圧症候群リスクに及ぼす影響が明らかになったと発表した。

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妊娠期間中の飲酒状況について
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 東北大学大学院の岩間憲之助教および東北医科薬科大学の目時弘仁教授らのグループは2018年11月5日、妊婦における飲酒や禁酒が妊娠高血圧症候群リスクに及ぼす影響が明らかになったと発表した。

 妊娠中の飲酒は妊娠22週から出生後7日未満の出産前後の期間の子どもの合併症と関連することが知られており、特に多量飲酒では胎児アルコール症候群や低出生体重、早産、児の神経発達障害をもたらすといわれている。

 今回発表された研究は、妊婦における禁酒の重要性を妊娠高血圧症候群の面から明らかにした初めての報告となる。2011年から2014年にかけて日本で行われたエコチル調査の全国データ7万6,940人を用いて、妊娠中の飲酒が妊娠高血圧症候群に及ぼす影響について調べられた。

 エコチル調査とは、子どもの健康と環境に関する全国調査のことで、環境が子どもの健康にどのように影響するのかを明らかにし、「子どもたちが安心して健やかに育つ環境を作る」ことを目的に平成22年度(2010年度)に開始された大規模かつ長期に渡る疫学調査。妊娠期の母親の体内にいる胎児期から出生後の子どもが13歳になるまでの健康状態や生活習慣を平成44年度(2032年度)まで追跡して調べることとしている。

 この研究によると、妊娠初期の段階で、お酒について「現在も飲んでいる」と回答した妊婦は7,323人(全妊婦の9.5%)、「以前は飲んでいたが止めた」と回答した妊婦は4万4,253人(全妊婦の57.5%)。一方、妊娠中後期の段階でお酒について、「以前は飲んでいたが、今回の妊娠に気づいて止めた」と答えた妊婦は3万8,107人で妊婦全体の49.5%、「現在も飲んでいる」と答えた妊婦は1,965人で妊婦全体の2.6%だった。

 毎日日本酒1合(180ml)またはビール大瓶1本(633ml)程度の飲酒を行った場合、1週間で摂取するアルコールの量はアルコール量換算で150gになる。このような量のアルコールを妊娠中後期に「現在も飲んでいる」と答えた妊婦は58人だったが、この群では飲酒をしていない妊婦と比較し、妊娠高血圧症候群へのなりやすさのリスクが明らかに高くなっており、妊娠前の肥満や既往歴、喫煙状況、教育歴や収入などの社会経済要因を加味して検討してもなお3.45倍(95%信頼区間1.32-9.05)と、明らかに飲酒は妊娠高血圧症候群と関連していることがわかった。

 一方、妊娠初期の段階で「以前は飲んでいたが止めた」と答えた妊婦では、各種要因で補正後も妊娠高血圧症候群のリスクは0.90倍(95%信頼区間0.82-0.99)と低くなっている。中でも、以前は飲んでいたが、今回の妊娠に気づいて止めた妊婦で0.90倍(95%信頼区間0.82-0.99)と、妊娠高血圧症候群になるリスクが低いことと明らかに関連していたという。

 これらの結果から、妊娠中の飲酒は児へ及ぼす健康影響のみならず、妊婦自身の合併症を引き起こすこと、飲酒をしていた場合には早期に止めることで妊娠高血圧症候群のリスクを減らすことが明らかとなったとし、「妊娠が分かった段階で飲酒しないように努めることが重要で、医療従事者や保健指導従事者は飲酒を止められているかどうか確認をすることが重要である」との考えを示している。

 なお、本研究成果は2018年11月7日に Hypertension Research 誌(電子版)に掲載された。
《鶴田雅美》

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