文科省、10大学の医学部入試を「不適切」と指摘

 文部科学省は2018年12月14日、医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査の最終まとめを公表した。81大学のうち、昭和大学や聖マリアンナ医科大学など10大学の医学部医学科入試について「不適切」と指摘した。

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 文部科学省は2018年12月14日、医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査の最終まとめを公表した。81大学のうち、昭和大学や聖マリアンナ医科大学など10大学の医学部医学科入試について「不適切」と指摘した。

 東京医科大学における不正入試の問題を受けて、文部科学省は、2018年8月より国公私立の医学部医学科の入試に関する緊急調査を開始。東京医科大学を除くすべての医学部医学科で性別や年齢による取扱いの差異はなかったと回答した。しかし、9月4日に公表した結果速報では、例年多くの大学で男性の合格率が女性の合格率を上回っている状況や、直近6年間の医学部全体の合格率でも男性優位となっている状況などが見られた。10月12日には医学部医学科を置くすべての大学に対して訪問調査を実施する方針に切り替えた。

 文部科学省は当初、不適切な事案の具体的内容や該当する大学名を一方的に指摘・公表するのではなく、大学として自主的に公表し速やかな対応をとるよう指導してきた。しかし、これから出願を控える受験生に情報を提供するため、最終まとめでは事案の具体的内容や該当する大学名を記載した。

 訪問調査を実施し、「不適切である可能性の高い事案」として指摘した後に、各大学が自ら不適切な事案であったことを認め、自主的な公表が行われたものを「不適切な事案」、文部科学省と大学との間で見解の相違があり、大学が不適切な事案であることを認めていない事案を「不適切である可能性の高い事案」とした。

 不適切な事案では、特定受験者の優遇・成績順番飛ばしがあったとして、岩手医科大学と昭和大学、東京医科大学、日本大学の4大学を指摘。性別や高校卒業年からの経過年数、地域などの属性を理由とした一律的な取扱いの差異があったとして、神戸大学と順天堂大学、昭和大学、東京医科大学、北里大学、金沢医科大学、福岡大学の7大学を指摘した。

 不適切である可能性の高い事案では、聖マリアンナ医科大学が男・女と現役・浪人で最高点、最低点ともに大きな差がついていると指摘した。文部科学省は聖マリアンナ医科大学に対して、第三者委員会などを設置して文部科学省が指摘した事項について調査を行うよう指導していくという。

 そのほか、「不適切な事案」「不適切である可能性の高い事案」であるとまでは言えないものの、入学者選抜の公正性に「疑惑を招きかねない事案」もあった。また、入学者選抜の公正確保に資すると思われる好事例も見られた。
《工藤めぐみ》

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