都内公立校の働き方改革、学校サポートの新財団を設立

 東京都教育委員会は2019年2月14日、「学校における働き方改革の成果と今後の展開」をWebサイトに掲載した。都立学校と都内公立小・中学校のこれまで取組状況と成果を紹介するとともに、今後の展開として学校を支援する新財団の設立などを掲げている。

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都立学校の状況(教員の1週間あたりの平均在校時間と過労死ライン相当の割合)
  • 都立学校の状況(教員の1週間あたりの平均在校時間と過労死ライン相当の割合)
  • 都内公立小・中学校の状況(教員の1週間あたりの平均在校時間と過労死ライン相当の割合)
  • 都内公立小・中学校 学校マネジメント強化モデル事業の実施状況と効果
  • 区市町村の「学校における働き方改革」に関する取組方針・計画などの策定状況
  • 2019年度のおもな取組みのひとつ「学校を支援する新財団の設立」について
 東京都教育委員会は2019年2月14日、「学校における働き方改革の成果と今後の展開」をWebサイトに掲載した。都立学校と都内公立小・中学校のこれまで取組状況と成果を紹介するとともに、今後の展開として学校を支援する新財団の設立などを掲げている。

 東京都教育委員会は、2017年度に実施した都内公立学校教員の勤務実態調査の結果、教員の長時間労働の実態が明らかになったことから、2018年2月に「学校における働き方改革推進プラン」を策定。いわゆる過労死ライン相当の勤務実態となっている教員が多数存在している状況に鑑み、当面の目標を「週当たりの在校時間が60時間を超える教員をゼロにする。」と定め、多様な取組みを総合的に講じている。

 「学校における働き方改革の成果と今後の展開」の中で、教員1週間あたりの在校時間の状況について、2017年と2018年の数値を紹介。「東京都公立学校教員勤務実態調査(2017年6~7月の任意の1週間平均)」と、都立高校の状況はカードシステムデータ(2018年6月の1週間あたりの平均)、都内公立小・中学校の状況は2018年に勤務実態調査を実施した区市(2区2市)における実績をもとに算出した在校時間を比較している。

 都立学校の教諭(主幹教諭・指導教諭・主任教諭を含む)の2018年における1週間あたりの平均在校時間は、高等学校が51時間22分(2017年は53時間6分)、特別支援学校が48時間47分(同54時間22分)となり、2017年から減少。過労死ライン相当の割合は高等学校が31.9%から21.3%、特別支援学校が43.5%から5.8%に減少している。

 都立学校の副校長の2018年における1週間あたりの平均在校時間は、高等学校が57時間19分(同65時間6分)、特別支援学校が58時間7分(同68時間59分)。過労死ラインの割合は高等学校で58.3%から38.6%、特別支援学校で86.7%から43.8%に減少し、2017年の状況から改善がみられた。

 一方で、都内公立小・中学校の教諭(主幹教諭・指導教諭・主任教諭を含む)の2018年における1週間あたりの平均在校時間は、小学校が58時間7分(同58時間33分)、中学校が61時間14分(同64時間35分)。過労死ラインの割合は、小学校が37.4%から36.3%、中学校が68.2%から48.5%と、中学校では減少したが小学校はあまり変化がなかった

 都内公立小・中学校の副校長の2018年における1週間あたりの平均在校時間は、小学校が63時間6分(同68時間33分)、中学校が63時間16分(同65時間54分)。過労死ラインの割合は小学校で84.6%から55.1%、中学校で78.6%から59.1%となった。2017年より減少しているものの、半数以上の副校長が過労死ライン相当となっていることが明らかとなった。

 なお、都内公立小・中学校では2018年度からは120校で、副校長を直接補佐する非常勤職員を配置する「学校マネジメント強化モデル事業」を実施。副校長在校時間の縮減効果があり、小学校では週あたり11時間55分、中学校では週あたり8時間の時間が削減できたという。また、都立学校、都内公立小・中学校では、部活動指導員の導入などに取り組んでいる。

 「学校における働き方改革」に関する取組方針・計画などは、15区市町村が「策定済み」、32区市町村が「2018年度内に策定予定」、9区市町村が「2019年度に策定予定」。「検討していない」と回答しているのは、すべて島しょ地域の6町村のみだった。

 今後はこれまでの成果を踏まえ、都立学校における働き方改革の一層の推進と公立小・中学校等教員の服務監督権者である区市町村教育委員会による取組みの支援・促進に向け、新たな取組みを実施するなど、改革を一層加速させていくとしている。

 そのひとつとして、「教員の負担軽減」と「教育の質の向上」の両立を図るため、学校をきめ細かくサポートする全国初の多角的支援機関となる財団法人を設立。2020年度以降、「多様な人材の確保」「教員サポート」「学校の事務センター」の3つの機能を柱として順次展開し、学校の実情を踏まえた継続的な支援を実施する。

 学校の働き方改革については、文部科学省も「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を2019年1月に策定。教員の残業時間の上限目安を月45時間、年360時間と定めている。
《黄金崎綾乃》

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