教職員の8割がストレスや悩み、原因は「残業の多さ」

 教職員の80.7%が業務に関連するストレスや悩みを抱えており、最多の原因は「長時間勤務の多さ」であることが、厚生労働省が2018年10月30日に発表した「過労死等防止対策白書」より明らかになった。教職員の平均実勤務時間は11時間17分だった。

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学校種別の業務に関連するストレスや悩み
  • 学校種別の業務に関連するストレスや悩み
  • 学校種別の実勤務時間(通常期)
  • 職名別の実勤務時間(通常期)
  • 職名別の業務に関連するストレスや悩み
  • 業務に関連したストレスや悩みの内容
  • 過重勤務の防止に向けて必要だと感じる取組み
 教職員の80.7%が業務に関連するストレスや悩みを抱えており、最多の原因は「長時間勤務の多さ」であることが、厚生労働省が2018年10月30日に発表した「過労死等防止対策白書」より明らかになった。教職員の平均実勤務時間は11時間17分だった。

 平成30年(2018年)版過労死等防止対策白書の教職員調査は、全国の国公私立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校(小学部、中学部、高等部)、義務教育学校、中等教育学校の5,600校に勤務する5万6,456人を対象にアンケート調査を実施し、3,762校3万5,640人の有効回答を得た。

 通常期の平日1日の実勤務時間は、「10時間超12時間以下」が50.2%ともっとも回答者が多く、ついで「12時間超14時間以下」24.1%、「8時間超10時間以下」20.9%など。全体の平均実勤務時間は11時間17分だった。

 学校種別に通常期の平日1日の実勤務時間が10時間超の割合をみると、「義務教育学校」が90.7%ともっとも回答者が多く、ついで「中学校」83.0%、「中等教育学校」82.4%など。平均実勤務時間も同様に、「義務教育学校」が11時間40分ともっとも長く、「中学校」11時間37分、「中等教育学校」11時間22分などが続いた。長時間労働の要因をみると、中学校教員と高等学校教員では部活動に関連するものが多く、小学校では役職や委員会に関するものが多い

 職名別に通常期の平日1日の実勤務時間が10時間超の割合をみると、「副校長・教頭」が94.8%ともっとも多く、ついで「主幹教諭」89.2%、「教諭(指導教諭を含む)」84.2%など。平均勤務時間も同様に「副校長・教頭」が12時間33分ともっとも長く、「主幹教諭」11時間47分、「教諭(指導教諭を含む)」11時間30分など。副校長や教頭は、通常時から1日あたりの実勤務時間が長い傾向にある

 業務に関連するストレスや悩みの有無については、「ある(あった)」80.7%、「ない(なかった)」18.5%と、8割がストレスや悩みを抱えている。学校種別にみると、「義務教育学校」が84.1%ともっとも多く、ついで「中等教育学校」83.3%、「中学校」82.7%など。職名別にみると、「副校長・教頭」が83.2%ともっとも多く、「教諭(指導教諭含む)」83.1%、「主幹教諭」82.7%などが続いた。

 業務に関連するストレスや悩みの内容は、「長時間勤務の多さ」が43.4%ともっとも多く、「職場の人間関係」40.2%、「保護者・PTA等への対応」38.3%、「学校や児童・生徒を取り巻く環境」31.1%、「休日・休暇の少なさ」28.6%、「研究等の時間の確保」23.4%など。中学校では、部活動に関連するものも多かった

 学校における過重勤務防止に向けて必要だと感じる取組みは、「教員(専科教員を含む)の増員」が78.5%ともっとも多く、「学校行事の見直し」54.4%、「教員同士のコミュニケーション円滑化」43.1%などが続いた。

 過労死等防止対策白書では、学校における働き方改革について、「ICTの活用やタイムカード等により勤務時間を客観的に把握し集計する等の勤務時間管理の徹底、業務の役割分担や適正化、必要な環境整備等、教職員の長時間勤務是正に向けた取組を着実に実施していくことが重要であると考えられる」と締めくくっている。
《工藤めぐみ》

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