【EDIX2019】情報活用能力を育むプログラミング教育…文科省 折笠史典氏

 「情報活用能力の育成におけるプログラミング教育」と題して開催された文部科学省 初等中等教育局 情報教育・外国語教育課 情報教育振興室 室長 折笠史典氏の EDIX2019 学びNEXT 特別講演では、社会背景、学校でのICT整備状況、ねらいについて語られた。

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EDIX2019 学びNEXT 特別講演「情報活用能力の育成におけるプログラミング教育」文部科学省 初等中等教育局 情報教育・外国語教育課 情報教育振興室 室長 折笠史典氏
  • EDIX2019 学びNEXT 特別講演「情報活用能力の育成におけるプログラミング教育」文部科学省 初等中等教育局 情報教育・外国語教育課 情報教育振興室 室長 折笠史典氏
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  • 政府広報:Society5.0
 2019年6月19日から21日まで開催された「第10回 学校・教育総合展(EDIX2019)」では、プログラミング教材の展示が目に止まった。可愛らしい顔のロボット、動物の形のブロックなどが、タブレットやスマートフォン、ノートPCなどに自分で書き込んだプログラムの指示どおりに動くようすに、大人も楽しくつい夢中になる。

 プログラミング教室は子どもたちの習い事の選択肢のひとつとして定着し、ワークショップなどで体験する機会も多い。すでに2020年度の小学校でのプログラミング教育必修化に先駆けて、プログラミング教育教材を使った学習を始めている学校もある。親世代は小学校の教室でプログラミングを学ぶという経験がなかったため、なぜ今、子どもたちに「プログラミング教育」が必要なのか、まだしっくりと来ない、教室でわが子が学ぶ姿を思い描けない、という保護者もいるだろう。

 学習指導要領の改定による、2020年度からの小学校でのプログラミング教育必修化を目前に、「情報活用能力の育成におけるプログラミング教育」と題して開催された文部科学省 初等中等教育局 情報教育・外国語教育課 情報教育振興室 室長 折笠史典氏の EDIX2019 学びNEXT 特別講演では、新教育指導要領に「プログラミング教育必修化」が加えられた社会背景から、整備状況、ねらいについて語られた。

Society5.0を生きる子どもたちに必要な力



 人工知能(AI)やIoT、ロボットなどの技術の高度化・普及により社会の在り方が劇的に変わるsociety5.0時代の到来に向けて「児童・生徒に、情報や情報手段を主体的に選択し活用していくための『情報活用能力』を育成することがきわめて重要」であるという。

 政府広報のWebサイトでは「Society5.0」とはどういう社会なのかを伝えるイメージ映像を公開している。
政府広報:Society5.0
 こうした社会変化から「今、学校で教えていることは時代が変化したら通用しなくなるのではないか」「AIの急速な進化が、人間の職業を奪うのではないか」といった不安を抱えながら生きるのではなく、「予測できない変化を前向きに受け止め、主体的に向き合い・関わり合い、自らの可能性を発揮し、より良い社会と幸福な人生の創り手となるための力を子どもたちに育む」ことを新学習指導要領の「情報活用能力の育成」の方向性として示した。また、プログラミング教育は、特定の教科として取り組むのではなく、既存の教科のなかで、プログラミング的思考を育むことを目的に取り入れるものとしており、ICT機器の操作やモラル教育も必要であると語った。

学校におけるICT環境の整備現状



 文科省の「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」の結果によると、平成29年度の調査で教育用コンピューターのICT環境の整備状況は、児童生徒5.6人につき1台だった(調査対象は全国の公立学校の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校および特別支援学校)。文科省が設定している2022年度までに3クラスに1クラス分(=3人に1台)という目標に達しておらず地域差もあるのが現状だ。

 教員の校務用コンピューター整備率は教員1人1台に加えて職員室等に設置している成績管理用等のコンピューター(共用)をカウントしている場合もあることから100%を超過し平均119.9%となった。教員は1人1台が当たり前となっていることが数字からわかるが、ICT活用指導力については調査が始まった平成19年以来全体的に上昇しているものの、「授業中にICTを活用して指導する能力」は76.6%、「児童・生徒のICT活用を指導する能力」67.1%の教員が「わりにできる」「ややできる」と回答しており、「教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用する能力」84.8%、「情報モラルなどを指導する能力」80.6%、「校務にICTを活用する能力」80.2%に比べ、ICTを活用した授業に対して教員の自信や経験が足りないようすが伺える。

プログラミング教育で身に付く力



 実際にどのような指導によって情報活用能力を育成していくのかが教員にとって課題となっている中で、教員の助けとなるICT支援員は全国で2,800人配置されており、教材づくりの参考となる実施事例を掲載した文部科学省・総務省・経済産業省によるWebサイト「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」を公開するなどの対策がすでに講じられている。「小規模自治体は大規模自治体よりも遅れてしまっている」という現状の課題を、教育現場で解決できるよう、ここでもICTがおおいに活用されている。

小学校を中心としたプログラミング教育ポータル


https://miraino-manabi.jp/

未来の学び プログラミング教育推進月間


https://mirapro.miraino-manabi.jp/

 折笠氏は「楽しい、やりがいがあることを題材にして、子どもたちに取り組んでもらうことがプログラミング教育を実施するうえで大切」と語り、これからの未来を担う子どもたちの学びがより良いものとなるよう、今後もさまざまな取組みを発表していくことを伝えた。

EDIX2019 学びNEXT 特別講演「情報活用能力の育成におけるプログラミング教育」文部科学省 初等中等教育局 情報教育・外国語教育課 情報教育振興室 室長 折笠史典氏
 内閣府の青少年のインターネット利用環境実態調査によると、青少年(満10歳から17歳)のインターネット利用率は93.2%で、そのうち小学生のインターネット利用率は85.6%、利用している機器はスマートフォン34.8%、タブレット36.9%となっている。子どもが初めて海に入る前には、危険を伝え、準備体操をし、泳ぎ方を教え練習する。それと同じように、Society5.0というすぐそこにある未来を生きるための準備が必要がある。デジタルネイティブの子どもたちがICTの仕組みや活用の仕方、モラルを学習し、伸び伸びと生きていく力を身に付けるために、学校でのICT環境の整備と教える側の準備が急務となっている。
《田口さとみ》

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