大学入試英語成績提供システム、全国高校長協会が延期を要望

 大学入試英語成績提供システムについて、全国高等学校長協会は2019年9月10日、実施の延期と制度見直しを求める要望書を文部科学省に提出した。山積する課題を解決しないままの導入を「極めて重大な問題」とし、このまま運用が開始されれば混乱は必至だと訴えている。

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 大学入試英語成績提供システムについて、全国高等学校長協会は2019年9月10日、実施の延期と制度見直しを求める要望書を文部科学省に提出した。山積する課題を解決しないままの導入を「きわめて重大な問題」とし、このまま運用が開始されれば混乱は必至だと訴えている。

 民間の英語4技能検定を活用した大学入試英語成績提供システムの導入をめぐっては、全国高等学校協会は7月25日に高校側の不安解消を求める要望書を文部科学省に提出。「生徒が希望する時期や場所で検定試験を受けられる見通しが依然として立っていない」など6項目の不安要素を提起し、責任をもって事態の収束にあたるよう要望している。

 これを受けて文部科学省は、8月27日に「大学入試英語ポータルサイト」を開設。大学入試センターと連携して全国各地で説明会を開催するなど対応しているが、全国高等学校長協会では「高等学校が一番知りたい各検定試験の実施日や実施場所についての情報はいまだ全容が明確になっていない」と指摘。「約3分の1の4年制大学の活用状況が未定であるなど、不安の解消に程遠い状況が露呈し、受験生である高校生の不安を助長する結果となった」と述べている。

 さらに実施団体のひとつである日本英語検定協会が、9月18日から予約金を徴収して予約申込を開始し、2020年2月の本予約は先着順で行うと公表したことに対して、「システムの枠組みの中で行う検定試験の在り方としては到底看過できるものではなく、先を見通せない混乱状況が続く中にあって、各学校は本格的に生徒に対して検定試験の受験に向けての指導を開始せざるを得ないという大変厳しい状況に追い込まれている」と訴えている。

 全国高等学校長協会では9月9日に急遽、臨時の都道府県協会長会議を開催。今後の対応を協議した結果、「この状態でシステムを活用した英語4技能検定の運用が開始されれば、申込みの段階から混乱が起きるのは必至であること」「各検定実施団体が、2020年4月からの実施ありきで準備を進めており、その結果新たな不安や負担が生じていること」などを確認。さまざまな課題を解決しないままシステムを開始することはきわめて重大な問題との考えから、大学入試英語成績提供システムを活用した英語4技能検定の延期および制度の見直しを求めている。
《奥山直美》

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