「大学入試英語成績提供システム」をめぐっては、試験の実施状況や大学の活用状況が十分に明らかになっていないことから混乱や反発が生じており、9月には全国高等学校長協会が延期と制度見直しを求める要望書、日本私立中学高等学校連合会がシステムの円滑な実施を求める要望書を提出。全国大学高専教職員組合も延期と再検討を求める緊急声明を発表している。
文部科学省では8月27日、各大学宛ての通知で遅くとも9月中に学部学科別および選抜区分別に活用方法などを公表するよう要請。9月27日にも全大学に9月中の公表をあらためて要請している。
10月1日の記者会見で萩生田大臣は、各大学学部における試験活用の公表状況について「速やかに取りまとめたうえで今週中には今後の方針を通知する予定」と説明。受験生の不安解消を図るため、「9月中に公表した大学学部を対象としたシステム運営とすることを明確化する」と、システムへの参加を9月末で区切る考えを明らかにした。文部科学省のポータルサイトには、10月中旬以降に大学・学部情報を速やかに公表するという。
大学に対しては、一定の猶予期間を設けるとともに、ヒアリングや相談などに応じる考えを示し、「無理に大学に参画を呼び掛けるのではなく、もう準備をしてやりますよという大学でまずはスタートさせていただきたい」と語った。一部報道にもあった活用方針を公表しない大学にペナルティーを設ける方針については否定した。
システムの延期を求める声もある中、実施時期については「予定通り2020年度から導入」と明言。「初年度は精度向上期間。今後に向け高校大学関係者と協議し、より多くの大学がシステムを利用するとともに受験生がより一層安心して受験することができるようシステム利用の改善に取り組んでまいりたい」と語った。
10月1日の萩生田大臣の記者会見映像は、文部科学省のWebサイトに掲載されている。
◆柴山昌彦文部科学大臣記者会見映像(2019年10月1日)