「母親と子どもが向き合える、笑顔になれる」七田式教室の教材へのこだわり

 「イード・アワード2019 幼児教室」、「教材がよい幼児教室」部門において1位を受賞した「七田式教室」。実に40年近く現場での教材開発に携わってきた、しちだ・教育研究所 代表取締役の七田厚(しちだこう)氏に、教材の特徴やこだわりについて聞いた。

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しちだ・教育研究所 代表取締役の七田厚(しちだこう)氏
  • しちだ・教育研究所 代表取締役の七田厚(しちだこう)氏
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  • 子どもの耳の力を利用して楽しく覚えるCD付き教材
  • 難しいと感じず歌って覚える
  • しちだ・教育研究所 代表取締役の七田厚(しちだこう)氏
  • 子どもの目線に立ってつくられた教材は、イラストもインパクトがあり引き付けられる
  • 「イード・アワード2019 幼児教室  教材がよい幼児教室」部門1位を受賞した七田式教室
 「イード・アワード2019 幼児教室」、「教材がよい幼児教室」部門において、たくさんの親子の支持を集めた「七田式教室」。実に40年近く現場での教材開発に携わってきた、しちだ・教育研究所 代表取締役の七田厚(しちだこう)氏に、教材の特徴やこだわりについて聞いた。

0~6歳は耳からの記憶能力と情報処理能力が高い



--このたび「教材がよい幼児教室」部門において、見事第1位を獲得されました。受賞の感想を教えてください。

 60年以上前、父の七田眞が創始した七田式教育。「認めて ほめて 愛して 育てる」という理念を掲げ、島根県の江津市という人口3万人足らずの小さな町からスタートした教育法は、今や全国で200を超える教室をもち、海外でも唯一無二のものとして認められています。そんな、七田式の長い歴史のなかでも、これだけはほかに負けたくないと思ってやってきたのが教材でしたので、今回の「教材がよい幼児教室」部門での受賞は一番うれしいですね。

--今回受賞された「教材」について、他と違う点やこだわりを教えてください。

 まずあげられるのが、耳から覚える歌を使った教材がとても多いのが特長です。ただ楽しい歌でも中身がなくては意味がないですし、内容が濃くても楽しくないと子どもは歌ってくれません。エンターテイメントとエデュケーションを両立させた、“楽しくてためになる”学習ソングを作ることに注力してきました。

 幼児期の耳はとても敏感です。私たち大人は見たものを記憶するほうが得意ですが、幼児期は耳からの記憶のほうが断然優れています。みなさんも、小学校の校歌は大人になった今でも歌えるのに、高校の校歌は思い出せない…ということはありませんか? 特に0~6才は耳からの記憶能力、情報処理能力が非常に高く、耳で聞いた情報のほうが、より長く記憶に定着するのです。この耳の力を利用すれば、無理なく楽しみながら学ぶことができます。

しちだ・教育研究所 代表取締役の七田厚(しちだこう)氏

一生ものの記憶は、歌って覚える



--具体的にはどんなテーマの聴覚教材があるのでしょうか。

 言葉、数、記憶、英会話、日本文化など幅広いコンテンツがありますが、どれも聞くだけで、子どもの興味や学ぶ意欲が増すものばかりです。鳥の鳴き声を聞かせて「これは何の鳥?」と想像させたり、いろいろな国の言葉を聞かせることで、世の中にはいろいろな国の言葉があることを気付かせたり。楽器の音の聞き分けなども、幼児期の聴覚機能を生かせば、これはバイオリン、これはチェロ、これはフルート…と楽々と覚えることができます。童謡はもちろん、民話や落語といった日本的なものにも、まずは耳から触れさせていきます。

--理科や社会といった、幼児には少し難しいと思える内容もあります。歌で覚えるというのがポイントなのでしょうか。

 国語、算数、理科、社会をテーマにした学習ソングは500曲を超えます。小学校に入って、教科に対する苦手意識を抱く前の幼児期がチャンス。小さいうちだからこそ、難しい内容も勉強としてではなく、楽しい遊びのひとつとしてどんどん吸収していきます。都道府県や県庁所在地、日本地理や気候に関する日本地理の歌や、世界の民族や宗教、世界遺産などを覚える世界地理…。かけ算九九などの基本的なものから、円周率500桁、歴代総理大臣の名前、縄文~令和までの時代名、山手線の駅名といった雑学的なものまで、中学レベルの知識を得られるものも多くあります。これらを繰り返し聞くことで自然と忘れない長期記憶となって定着するので、学校の授業もスムーズに理解できるようになります。

子どもの耳の力を利用して楽しく覚えるCD付き教材子どもの耳の力を利用して楽しく覚えるCD付き教材

「子ども目線に立った」教材作り



--聴覚教材のほか、カードを使った教材や手を動かして学ぶもの、子どもの興味を引く教材が揃っています。教材開発に込められた思いを教えてください。

 幼児教室として七田式が本格的にスタートする以前から、私どもの教材作りの原点は、「教材を使うことで母親と子どもが向き合える、笑顔になれる」ことでした。はじめは手作りの教材からスタートしましたが、規模が大きくなるにつれて、プロの手を借りながら、中身も見た目もこだわり抜いて作っています。また、私自身にも子どもが3人いたので、一緒に試して反応をみる中で、子どもから見るとこうなんだな、という気付きをどんどん取り入れていきました。「我が子たちにもこれで学んでほしい」という思いもあって、教材作りへの妥協は一切しませんでした

子どもの心を育てるオリジナル絵本



--「子どものしつけは絵本を使うといい」というのは亡きお父様の言葉だそうですね。絵本教材はどのように生まれたのでしょうか。

 5、6年前からしつけをテーマにした絵本教材を作り始めました。たとえば、乱暴な言葉遣いをしてしまう子どもに対して、いくら口で「乱暴な言葉はやめなさい!」と注意をしてもなかなか受け入れてくれないもの。ですが、シーンに沿った内容の絵本を読み聞かせることで、子ども自身が登場人物の行動を見て我が身を振り返ることができます。絵本を通じて「そうなんだ、だからいけないんだ」と納得してくれるのです。

難しいと感じず歌って覚える難しいと感じず歌って覚える

 七田式教育の根幹は「心を育てる」ことにあります。いくら賢くても友達がいない、相手の気持ちがわからない、頭の良さを犯罪に使うようなことがあってはいけません。しつけ以外にも、嘘をついてはいけないこと、約束を守ること、元気よく挨拶をすること、人の話をきちんと聞くことなど、子どもの行動で改めさせたいものや身に付けてほしいことを確実に子どもに伝えるには絵本しかないと思っています。

 子どもの行動を変える影響力がある絵本として、どんなものがあるかなと考えたときに、子どものそのときの状況にあった市販の絵本を探し出すのは大変。「では作ろう!」と決心し、内容はもちろん絵にもこだわり、試行錯誤を繰り返して今に至ります。おかげさまで「心を育てる絵本シリーズ」は今や9刷と、とてもたくさんの子どもたちに読んでもらっています。

子どもの目線に立ってつくられた教材は、イラストもインパクトがあり引き付けられる子どもの目線に立ってつくられた教材は、イラストもインパクトがあり引き付けられる

--絵本は海外でも出版されているそうですね。

 海外で七田式教室を展開するオーナーさんからは、「頭を良くするノウハウなら、日本に限らず欧米にもたくさんあるけれど“心を育てる”のは七田式が優れている」という声をいただいています。韓国や中国、ベトナムといった、それぞれの国の文化に合わせた絵本が出版され、評価されているのは嬉しい限りです。

忙しい共働き家庭にこそ、継続できる教材を



--保護者の方からは、どんな声があがっているのでしょうか。

 通室生からの人気教材のひとつに、学習の基礎となる「ちえ」「もじ」「かず」を総合的に育てる「七田式プリント」があります。語彙が増えた、数の感覚が付いたといった子どもの成長を実感する声はもちろん、自分からプリントをやりたがる、本を読みたがるようになったなど、学ぶことに対して意欲的になったという声を多く聞いています

 共働きの家庭が増えている今だからこそ、1日20分くらいを1人の子どもにかけてあげることで、小学校に上がっても困らない学力や学習の習慣を身に付けることにつながればいいと思っています。七田式教育から天才児が育つ、難関校に合格するというのは、目標ではなく、結果としてついてくるものです。

 私どもの考えとしては、親が子どもに手をかけるのは幼児期まで。幼児期の学習の主体は親ですが、小学生になったら子どもの自主性に任せて、親は環境を整えたりやる気を起こさせたり、少し距離を置きながら、子どもが自分でやっていけるようにしていかなければいけません。幼児期は、その土台を作ることを一番に考えています。

答えのない時代に立ち向かえる教育を



--2020年には初等教育から高等教育まで大きな教育改革が控えています。これからの教育を受ける子どもたち、保護者へのアドバイスをお願いします。

しちだ・教育研究所 代表取締役の七田厚(しちだこう)氏
 “答えだけ覚えていても通用しない時代になる”、そう思っています。たとえば「家から学校へ行くまでの間に、赤いバラが2本と赤いチューリップが3本、黄色いチューリップが4本ありました」という足し算の問題があります。出てきた花の本数を足して答えを出すような単純な問題から、「赤い花は全部でいくつありましたか?」といった、何と何を足せばいいのか、考えて答えを出さなければならない問題が増えてきています。

 子どもが考えなくてはいけないということは、親も考えなければならないということ。答えが合っている・間違っているだけでなく、保護者のほうが「なるほど、この問題はここがポイントね」とすぐに理解できるように、保護者にとって親切な解答や解説が充実しているのも、教材作りでこだわっている点です。

アナログな道をあえて歩かせることも大事



--これからの教育に期待することを教えてください。

 今ある職業の半分以上はAIに取って代わられる、新しいものやサービスがどんどん出てくる時代だといわれています。新しく何かが出てくるということは、今まであったものがなくなることでもあります。とはいえ、タブレット学習が浸透してペーパーレス化したとしても、子どもが鉛筆を正しくもったり筆圧をコントロールしたりすることは必要です。携帯に向かって話しかければすぐに答えが返ってくる機能があったとしても、辞書を引いて調べることも大事なのです。

 新しいサービスをただ使うだけではなく、便利さを追い求める背景となった不便さも経験することで、さらに一歩先を見据えてリードしていく人材が育つと考えています。最新のデジタル技術とアナログ、その両方を経験し、理解して使っていけたら鬼に金棒ですね。

--最後に、七田式教室の今度の展開を教えてください。

 現在は、2020年度より小学校で実施の新学習指導要領に合わせた教材開発を進めているところです。また、グローバル化への対応にも力を入れていきたいと思っています。使える英語と、テストで点が取れる英語はまた違うと思いますが、日常的に英語を話す環境にない日本人にとって、音の壁が大きいのは事実。絶対音感と一緒で、耳が敏感な乳児期から、環境の中にその言語を取り入れることが大切です。七田式の英語学習メソッドを用いた、英語に特化した教室をより充実させていけたらと思っています。

--ありがとうございました。

 世界中に広がる七田式教室を統括する立場となった今でも、自ら教材の最終チェックは欠かさないという七田氏。そのお話からは、子どもたちの力を信じ、明るい未来へと導いていこうとする信念がひしひしと伝わってきた。先が見えない時代といわれる今だからこそ、長年培われた知見と愛情の詰まった七田式教室が、たくさんの親子の味方になってくれることをあらためて感じたインタビューだった。

「イード・アワード2019 幼児教室  教材がよい幼児教室」部門1位を受賞した七田式教室
《吉野清美》

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