コロナ禍で困窮…あしなが育英会が緊急支援金20万円支給

 あしなが育英会は2020年11月30日、全奨学生7,612人に年越し緊急支援金20万円を支給すると発表した。遺児家庭では約3分の1がコロナ禍で収入減に見舞われ、大学生の2人に1人が「アルバイト収入が減った」、4人に1人が「退学を考えた」と回答するなど、深刻な実態にある。

生活・健康 大学生
コロナ禍の仕事への影響(保護者)
  • コロナ禍の仕事への影響(保護者)
  • コロナ禍前後(1月・9月)の収入比較(保護者)
  • コロナ禍前後(1月・9月)の収入比較(保護者)
  • コロナ禍前後(1月・9月)の収入比較(保護者)
  • 1月と9月で比べて、アルバイト代の増減はあったか(大学生)
  • コロナ禍以降に退学を考えたことがあるか(大学生)
  • 家庭での生活に何か変化があったか(高校生)
  • 自身に何か変化があったか(高校生)
 あしなが育英会は2020年11月30日、全奨学生7,612人に年越し緊急支援金20万円を支給すると発表した。遺児家庭では約3分の1がコロナ禍で収入減に見舞われ、大学生の2人に1人が「アルバイト収入が減った」、4人に1人が「退学を考えた」と回答するなど、深刻な実態にある。

 あしなが育英会は、病気や災害、自死などで親を亡くした子どもや、親が重度障害の子どもを支援している。2020年春には、政府の10万円支給に先駆け、全奨学生約6,500人に返済不要の緊急支援金15万円を給付した。

 今回、長引くコロナ禍の影響を調べるため、高校・大学の奨学生とその保護者を対象に10月23日~11月5日、過去最大規模のアンケート調査を実施(回答数6,241人)。遺児家庭の深刻な実態が浮かび上がり、コロナ第3波でさらなる悪化は必至であるとして、返済不要の年越し緊急支援金20万円の給付を決断した。対象となる奨学生は7,612人、総額15億2,240万円。12月中旬に着金予定。

 調査結果によると、コロナ禍の影響により36.7%の遺児世帯が「収入が減った」と回答。コロナ禍前後の1月と9月の収入分布の比較では、約6分の1の遺児世帯で収入減が確認され、もっとも影響が大きい手取り収入20~29万円の世帯では約3分の1で収入減が認められた。

 特に自営業で収入減少となる比率が高いほか、被雇用者では派遣社員・契約社員で収入減少の比率が高い傾向にあった。あしなが育英会は「もともと余裕のない世帯は引き続き余裕がなく、相対的に余裕のあった世帯の余裕がなくなりつつある」と指摘している。

 1月と9月を比較して「アルバイト代が減った」という大学生は50.4%。「コロナ禍以降に退学を考えたことがあるか」という質問では、「少し考えたことがある」20.9%、「大いに考えたことがある」4.1%、「考えたことがあり、退学を検討している」0.7%と、大学生の4人に1人が退学を検討していた。「退学はしないが休学を検討した」(4.5%)や「休学した」(0.5%)という回答もあった。

 高校生に家庭での生活の変化について尋ねた結果では、「食費を節約するようになったと感じる」が27.1%、「水道光熱費を節約するようになったと感じる」が23.1%、「学校で指定された教科書・参考書以外の書籍を買わなくなった」が6.8%、「塾や習い事に通うのをやめた」が4.5%。自身の変化として「気分が落ち込むことが増えた」と回答した高校生も30.3%あった。
《奥山直美》

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