新型コロナで世界の5人に1人が休校、ユニセフが学校再開を提言

 日本ユニセフ協会は2020年12月8日、ユニセフ本部の情報をもとに世界の休校について情報を発信。11月に全世界で再び休校が急増していることを指摘し、学校再開の優先と、安全な学校にするための可能な限りの行動を求めた。

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先生が送ってくれたノートを見ながら自宅で勉強する15歳のジルーシャさん(ケニア:2020年7月撮影) (c) UNICEF_UNI362248_Everett
  • 先生が送ってくれたノートを見ながら自宅で勉強する15歳のジルーシャさん(ケニア:2020年7月撮影) (c) UNICEF_UNI362248_Everett
  • COVID-19のロックダウンの間、自宅で勉強する7歳のカンチャンさんとカシさん(インド:2020年6月撮影) (c) UNICEF_UNI342728_Panjwani
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 日本ユニセフ協会は2020年12月8日、ユニセフ(国連児童基金)本部の情報をもとに世界の休校について情報を発信。11月に全世界で再び休校が急増していることを指摘し、学校休校により学齢期の子どもたちが受ける影響の大きさやその代償などに言及。学校再開の優先と、安全な学校にするための可能な限りの行動を求めた。

 ユネスコ(国連教育科学文化機関)のデータによると、12月1日現在、学校が休校になっている子どもは世界中の約5人に1人、約3億2,000万人にのぼるという。11月1日の2億3,200万人から約9,000万人増え、10月から急激に増加を続けている。

 休校になると、子どもたちは学習、支援システム、食料、安全を得る機会を失うおそれがあり、もっとも置き去りにされた子どもたち(退学する可能性がもっとも高い子どもたち)が重い代償を払うことになる。全世界で何百万人もの子どもたちが9か月以上も教室を離れたままで、さらに多くの子どもたちが再び休校を経験している事態について、ユニセフは、あまりにも多くの学校が不必要に休校になっていること、またCOVID-19(新型コロナウイルス)から学校の安全を守るために必要な措置をとることに十分な重点が置かれていないことを危惧しているとメッセージを発した。

 ユニセフ本部教育グローバルチーフのロバート・ジェンキンス氏は、「学校がCOVID-19の大流行の主要な原因ではないことを示しているデータがある。しかし、政府が最後の手段ではなく、最初の手段として休校措置をとるという憂慮すべき傾向が再びみられている。休校措置が地域ごとではなく全国的に行われている国もあり、子どもたちは学習、心身の健康と安全に深刻な影響を受け続けている」と声明を発表し、「学校を開校し続けることでもたらされる利益は、その代償をはるかに上回る。全国的な休校は何としても避けるべきです」と強い危機感を示した。

 191か国のデータを用いた最新の世界的な研究では、学校の状況と地域におけるCOVID-19の感染率との間に何の関連性も示されていないという。学校が感染数の増加に寄与しているという証拠はほとんどなく、ユニセフは各国政府に対し、学校の再開を優先させ、安全な学校にするために可能な限りの行動をとることを強く求めている。

 ユニセフは、ユネスコ、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、世界食糧計画(国連WFP)、世界銀行と共同で「学校の安全な再開に向けたガイドライン」を発行しており、学校が再開した際に子どもの安全を守る方法について、国や地方自治体向けに実用的な指針を提供している。ガイドラインは、日本フニセフ協会の特設サイトに掲載。政策改革、資金調達の要件、安全な運営、代替となる学習、福祉と保護、そしてもっとも置き去りにされた子どもたちへの支援などに焦点をあてている。
《畑山望》

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