小中高生の自殺、コロナ禍の2020年は過去最多479人

 2020年(令和2年)に自殺した小中高生が過去最多の479人にのぼることが2021年2月15日、文部科学省が公表した分析結果より明らかになった。夏休み明けの8月は、前年同月の2倍超と突出しており、特に高校生の自殺が多い実態にあった。

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児童生徒の自殺者数の推移
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 2020年(令和2年)に自殺した小中高生が過去最多の479人にのぼることが2021年2月15日、文部科学省が公表した分析結果より明らかになった。夏休み明けの8月は、前年同月の2倍超と突出しており、特に高校生の自殺が多い実態にあった。

 調査結果は、厚生労働省と警察庁によるデータをもとに文部科学省が「コロナ禍における児童生徒の自殺等に関する現状」としてまとめたもの。2月15日開催の2020年度第1回児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議で公表された。

 2020年の児童生徒の自殺者数は過去最多となる479人。近年は2016年289人、2017年315人、2018年333人、2019年339人と、微増傾向が続いていたが、コロナ禍となった2020年は前年比140人増と急増。月別では、8月64人、9月53人、11月48人、6月45人と、新型コロナウイルス感染症による休校や夏休みといった長期休暇明けなどに多い傾向がある。8月、11月、6月は前年同月比2倍を超えている。

 学校種別では、小学生14人(男子4人、女子10人)、中学生136人(男子74人、女子62人)、高校生329人(男子191人、女子138人)。自殺の原因・動機では、「進路に関する悩み」55人、「学業不振」52人、「親子関係の不和」42人の順に多かった。

 文部科学省では、18歳以下の自殺は、長期休業明けの時期に増加する傾向があり、新型コロナウイルス感染症に伴う長期にわたる休校は通常の長期休業とは異なり、児童生徒の心が不安定になることが見込まれることから、自殺予防などの留意事項について学校設置者に通知を発出してきた。

 同会議の審議のまとめ案では、SOSの出し方に関する教育を含む自殺予防教育について、実態把握や実施に向けた環境整備などが示されている。このほか、文部科学省などでは、「24時間子どもSOSダイヤル」などSNSなどを活用した相談事業、「スクリーニング活用ガイド」など児童生徒が抱える悩みや困難の早期発見のためのツール提供、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置などを行っている。
《奥山直美》

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