ヤングケアラー、中学生の17人に1人…低い自覚や認知度

 家族の介護などを日常的に行う「ヤングケアラー」の割合が、中学生の5.7%にのぼることが2021年4月12日、厚生労働省が公表した調査結果より明らかになった。高校では、全日制4.1%、定時制8.5%、通信制11.0%を占め、ヤングケアラーの自覚や認知度は低い実態にあった。

生活・健康 中学生
世話をしている家族の有無(中高生調査)
  • 世話をしている家族の有無(中高生調査)
  • 世話を必要としている家族(中高生調査)
  • 世話をしているために、やりたいけれどできていないことなど(中高生調査)
  • 世話の頻度と費やす時間(中高生調査)
  • 世話について相談した経験の有無(中高生調査)
  • 自分がヤングケアラーにあてはまると思うか(中高生調査)
  • ヤングケアラーの認知度(中高生調査)
  • ヤングケアラーの定義に該当すると思われる子供の有無(学校調査)
 家族の介護などを日常的に行う「ヤングケアラー」の割合が、中学生の約17人に1人にあたる5.7%にのぼることが2021年4月12日、厚生労働省が公表した調査結果より明らかになった。高校では、全日制4.1%、定時制8.5%、通信制11.0%を占め、ヤングケアラーの自覚や認知度は低い実態にあった。

 ヤングケアラーとは、障害・病気などケアを要する親や祖父母、きょうだいの世話、介護、家事などを日常的に行っている18歳未満の子供のこと。表面化しにくく、孤立しやすいヤングケアラーを早期発見・把握し、適切な支援につなげることが課題となっている。

 今回、ヤングケアラーと思われる子供の実態をより正確に把握するため、厚生労働省と文部科学省が学校、要保護児童対策地域協議会、全国の中高生を対象に初の実態調査を実施した。回収数は、中学2年生5,558人、全日制高校2年生7,407人など。4月12日開催の「ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム」の会議で、調査結果が公表された。

 世話をしている家族が「いる」と回答したのは、中学生2年生が5.7%、全日制高校2年生が4.1%、定時制高校2年生相当が8.5%、通信制高校生が11.0%。世話をしている家族は「きょうだい」が最多。きょうだいの状況は「幼い」がもっとも多く、「知的障害」「身体障害」「精神疾患・依存症(疑い含む)」など。

 「世話をしているために、やりたいけれどできていないこと」では、中学生58.0%、高校生52.1%が「特にない」と回答した一方、「自分の時間が取れない」中学生20.1%・高校生16.6%、「宿題をする時間や勉強する時間が取れない」中学生16.0%・高校生13.0%などの訴えも少なくなかった。

 世話の頻度は、「ほぼ毎日」が3~6割程度。平日1日あたり世話に費やす時間は「3時間未満」がもっとも多いが、「7時間以上」も1割程度存在した。世話をしている家族が「いる」と回答した中高生のうち、相談した経験が「ある」は2~3割にとどまり、「ない」が5~6割を占めた。

 ヤングケアラーと自覚している子供は中学2年生1.8%、全日制高校2年生2.3%、定時制高校2年生相当4.6%、通信制高校生7.2%。いずれの学校種でも「わからない」が1~2割あった。ヤングケアラーの認知度は低く、「聞いたことはない」と回答した中高生が全体の8割を超えている。

 一方、学校に対してヤングケアラーの定義に該当すると思われる子供の有無を質問した結果では、いずれの学校種でも「いる」が最多だった。学校種別では、定時制高校70.4%、通信制高校60.0%、全日制高校49.8%、中学校46.6%の順に多かった。

 ヤングケアラーと思われる子供が「いる」と回答した学校に子供の状況を尋ねたところ、「家族の代わりに、幼いきょうだいの世話をしている」がもっとも多く、「障害や病気のある家族に変わり、家事(買い物・料理・洗濯・掃除など)をしている」が続いた。

 ヤングケアラーに該当する子供を学校以外の外部の支援につないだケースについては、全日制高校は「外部の支援にはつないでいない(学校内で対応している)」62.9%、中学校は「要保護児童対策地域協議会に通告するほどではないが、学校以外の外部の支援につないだことがある」43.0%がもっとも多かった。
《奥山直美》

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