長引くコロナ、ひとり親の暮らし深刻…小学生「体重減った」10%超

 長引くコロナ禍でひとり親世帯の暮らしが厳しさを増していることが2021年4月25日、シングルマザー調査プロジェクトチームによる調査結果から明らかになった。食料や学用品等が買えず、小学生の体重が減る等、深刻な実態が浮き彫りとなっている。

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体重が減った小学生の割合(月別推移)
  • 体重が減った小学生の割合(月別推移)
  • コロナ拡大前と比較した就労収入(東京)
  • コロナ拡大前と比較した就労収入(東京以外)
  • 就労収入(東京)
  • 就労収入(東京以外)
  • 預貯金額(東京)
  • 預貯金額(東京以外)
  • 2月中の暮らしを振り返って、経済的な理由で、家族が必要とする食料や衣料などが買えないことがあったか
 長引くコロナ禍でひとり親世帯の暮らしが厳しさを増していることが2021年4月25日、シングルマザー調査プロジェクトチームによる調査結果から明らかになった。食料や学用品等が買えず、小学生の体重が減る等、深刻な実態が浮き彫りとなっている。

 シングルマザー支援に取り組むNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」、立教大学の湯澤直美教授らが組織するシングルマザー調査プロジェクトチームは2020年7月に大規模調査を行い、8月からは毎月パネル調査を実施。今回、コロナ禍におけるひとり親世帯の子供の状況をまとめ、報告書として発表した。

 就労収入がコロナ拡大前(2020年2月以前)より「減少した」というひとり親は、2020年7月から2021年2月まで常に東京が約50%前後、東京以外が約40%前後で推移。就労収入が「12万5,000円未満」と回答したひとり親は、2020年7月から2021年2月まで常に東京で約50%、東京以外で約40~50%あった。

 預貯金10万円未満の世帯は、東京で3割超、東京以外で4割前後。東京以外の地域では、月を追うごとに預貯金0円の世帯が増加傾向にあった。

 2021年2月中の暮らしを振り返って、経済的な理由で家族が必要とする米等の主食が買えないことが「よくあった」「ときどきあった」という回答は、東京30.6%、東京以外41.6%。この他、買えないことが「よくあった」「ときどきあった」という回答は、肉・魚で半数以上、野菜でほぼ半数にのぼった。

 体重が減った東京の小学生は、2020年8月11.2%、9月11.4%と、多い月で10%を超え、その後、いったん減少したが、2021年2月に9.3%と再び増加に転じている。

 また、買えないことが「よくあった」「ときどきあった」という回答は、子供の服や靴で50%前後、玩具・文具・学用品で50%以上にのぼり、食料と比較して割合が高かった。

 2021年2月中に小学生の子供のことで気がかりだったことは、「学校の学習についていけない」が3割超、「学校に行きたがらなくなった、行かなくなった」が2割超、「習い事をさせてあげられない」が約6割。「子供が集中して学習するスペースがない」という回答も半数以上を占めた。

 調査結果を受け、しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石千衣子理事長は「コロナによって、絶対的な貧困が拡大していること、非正規や飲食・サービス業等に多く従事しているシングルマザーに収入の減少が長期にわたっていることにより、子供たちの生活、成長、学びに多大な影響があることがわかった。これは人々の想像を超えている」と述べ、必要な施策として「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金を速やかに支給すること」等をあげている。
《奥山直美》

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