女子スラックス制服採用率、都道府県立高校44.4%

 学校総選挙プロジェクトは2021年9月9日、都道府県立の全日制高校3,205校を対象に初めて実施した「選べる制服」採用率の調査結果を発表した。女子スラックス制服を採用しているのは44.4%。都道府県別では、長野県の87.8%がもっとも高かった。

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「女子スラックス制服」採用率マップ (c) 学校総選挙プロジェクト(Tポイント)
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 学校総選挙プロジェクトは2021年9月9日、都道府県立の全日制高校3,205校を対象に初めて実施した「選べる制服」採用率の調査結果を発表した。制服が指定されている全国の高校のうち、女子スラックス制服を採用しているのは44.4%。都道府県別では、長野県の87.8%がもっとも高かった。

 学校総選挙プロジェクトは、CCCマーケティングとTポイント・ジャパンが取り組んでいる、これからの未来を担う中高生から20代の若者世代と政治・社会をつなぐソーシャルプロジェクト。従来、学校の制服は「男子はズボン、女子はスカート」と規定されていたが、昨今は気候の変化や本人の意向にあわせて着用する制服を選択できる「選べる制服」の認知が高まってきている。学校総選挙プロジェクトでは、多くの生徒が自分らしく快適な学校生活を送れるよう、2021年6月より「“選べる制服” について考えるキャンペーン」を実施している。

 今回、“選べる制服”について考えるキャンペーン第3弾として、47都道府県の教育委員会の協力のもと初めて、「女子スラックス制服採用率」調査を実施した。調査期間は2021年6月21日~9月5日。対象は、各都道府県立の全日制高校3,205校。私服校は集計から除外している。

 調査では、制服が指定されている学校のうち、女子スラックスが制服として用意されている学校の割合を導き出した。トランスジェンダーの生徒が実質的なカミングアウトになることを避けるため、「異装届」や「特別な理由の提出」が必要な学校、「男子生徒の制服を着用する」ことになる学校は「採用なし」として集計している。

 その結果、「女子制服でスラックスを選ぶことができる」という全国の高校は44.4%。都道府県別では、1位「長野県」87.8%、2位「滋賀県」86.4%、3位「神奈川県」84.3%、4位「千葉県」77.3%、5位「大阪府」75.2%となった。女子スラックス制服の採用率は地域差が大きく、「青森県」「愛媛県」「岩手県」の3県は10%を下回った。

 調査結果を受けて、浦和大学社会学部准教授/模擬選挙推進ネットワークの林大介先生は「社会環境が大きく変化している現在において、『女性=スカート』といった押し付けは、教育現場が思考停止に陥っていると言える。制服が持つ意味や役割、これからのあり方について、学校の主人公である高校生自身が、自分事として考え、友達や教職員等と話し合い、よりよい改善につなげていくことは、主体的で対話的な深い学びの実践となり、生きる力を育てることにつながる」とコメント。

 「学校総選挙プロジェクト」プロジェクトリーダー の石井大樹氏は「調査する中で、現時点では女子スラックス制服を採用していないものの、今後採用を決めた学校や、採用を検討している学校が多くあることがわかり、これから採用学校が増えていくものと期待している」と述べている。学校総選挙プロジェクトでは、今回の調査をもとに、全国の女子スラックス制服の採用率を都道府県別に可視化することで、多くの人が「選べる制服」の現状を知り、自分事として考えるきっかけとなってほしいとしている。
《奥山直美》

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