京成高砂駅(東京都葛飾区)と印旛日本医大駅(千葉県印西市)を結ぶ北総鉄道は11月19日、国土交通省に対して運賃値下げ申請を行なったと発表した。実施予定は2022年10月1日。
同鉄道は1972年5月に北総開発鉄道として設立され、1979年3月に1期線(新京成電鉄北初富~小室)が、1984年3月に開業した住宅・都市整備公団(現・千葉ニュータウン鉄道)千葉ニュータウン線(小室~千葉ニュータウン中央)での運行開始を経た1991年3月には2期線(京成高砂~新鎌ヶ谷)が開業したが、建設費の高騰や千葉ニュータウンの開発計画の縮小・遅延などで輸送人員が伸び悩む苦しい経営が続き、2016度年まで100億円台の累積赤字が続いていた。そのため運賃が初乗り3kmまで210円と高額な水準が続き、過去には地域住民から高額運賃に対する訴訟提起や、沿線自治体からの運賃補助を受けていたことがあった。
しかし、1999年度以降は21年連続で黒字決算が続いており、2020年度の決算では累積赤字が前年度の約44億円から約31億円まで減少。会社創立50周年を迎える2022年度中には解消される見込みになったとして、運賃値下げの可能性を示唆していた。
今回の申請によると、値下げ率は平均15.4%で、定期外が11.6%、通勤定期が13.8%、通学定期が64.7%となっており、定期外では中距離帯を重点に最大100円(ICカード利用時は105円)引き下げられ、初乗り普通運賃は20円引き下げた190円となる。
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定期運賃も普通運賃に準じて引き下げられるが、通学用については子育て世代に配慮して大幅に値下げされ、京成高砂~印西牧の原間の場合、1カ月用が1万円引き下げた4990円に、6カ月用が5万4000円引き下げた2万6950円となる。
なお、京成高砂~印旛日本医大間で北総線に乗り入れている京成電鉄(京成)もこの値下げに関連して、「成田空港線」としている京成高砂~成田空港間の運賃改定を申請しており、通学用定期運賃の値下げを全線で実施。普通運賃と通勤用定期運賃では、京成高砂・東松戸・新鎌ヶ谷・千葉ニュータウン中央・印旛日本医大各駅相互発着区間を値下げするとしている。値下げ率は平均1.863%で、定期外0.964%、通勤定期10.144%、通学定期66.852%となる。
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