社長「輩出率」トップは…5回連続の堅実・実利な県

 東京商工リサーチは2021年12月7日、「社長の輩出率、地元率」の調査結果を公表。2021年の都道府県別人口に対する社長「輩出率」は、徳島県が5回連続で首位となった。出身地別の社長数は、東京都が7万1,657人でトップとなった。

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都道府県別「社長輩出率」
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 東京商工リサーチは2021年12月7日、「社長の輩出率、地元率」の調査結果を公表。2021年の都道府県別人口に対する社長「輩出率」は、徳島県が5回連続で首位となった。出身地別の社長数は、東京都が7万1,657人でトップとなった。

 調査は、2010年から集計し今回が9回目。東京商工リサーチの企業データベース約400万社の代表者データ(個人企業を含む)から、公開された出身地を抽出、集計した。なお、同一人物が複数の企業で社長を務めている場合、売上高の大きい企業を優先し、重複企業を集計対象外とした。集計対象外企業は30万4,206社。都道府県別の社長数は人口に左右されるため、出身都道府県別の社長数と人口(総務省「令和2年国勢調査」2020年10月1日現在)を対比し、社長「輩出率」を算出した。

 都道府県別の社長「輩出率」トップは、徳島県が1.35%(前回1.40%)で5回連続トップ。徳島県は堅実・実利を尊ぶ県民性として知られる他、ブロードバンド環境の整備を進め、先端産業・ベンチャー企業集積も目指している。徳島県の人口71万9,559人(2020年10月1日時点基本集計値)は、2015年(平成27年)国勢調査から4.6%減少し、減少率は全国平均(0.7%減)を大きく上回る。産業や観光・文化等の進行を目的とした「関西広域連合」に四国で唯一参加し、関西圏との距離が近い。そのためか、住民の転出数が転入数を上回り、人口減少が社長「輩出率」首位を守る一因にもなっている。

 2位は山形県の1.18%。「辛抱強くて、堅実」な県民性に加え、江戸時代から商工業が活発な土地柄で、絹織物「米沢織」や「山形鋳物」等の伝統工芸品が数多くある。3位は香川県の1.13%、ついで、秋田県1.10%、愛媛県1.02%。いずれも人口減少率が全国平均を上回っている。一方、輩出率が低いのは、47位が埼玉県(0.26%)、ついで、46位千葉県(0.27%)、45位神奈川県(0.33%)と首都圏が続く。上位県とは対照的に、3県とも人口増加率は1%以上で、県外からの人口流入が輩出率を相対的に下げた格好となっている。

 地元出身者が地元企業の社長を務める社長「地元率」は、沖縄県が92.8%(前回92.9%)で唯一9割を超え、9回連続でトップだった。最近は観光関連を中心に、旺盛な開業意欲が地元率を高めたとみられる。2位は愛知県89.5%、3位は広島県87.5%、4位は北海道87.2%と続く。愛知県、広島県は中核都市であると同時に、自動車産業等の基幹産業の取引先や関連企業等の裾野が広く、下請け企業等で先代の跡を継いだ同族社長が多い。

 一方、「地元率」がもっとも低かったのは、奈良県の65.9%。ついで、長崎県67.0%、兵庫県67.9%、佐賀県68.5%と続く。前回最下位の鹿児島県は42位(63.8%→69.3%)に浮上した。全国平均は79.8%で、23道県で平均を上回った。

 また、出身地別の社長数は、東京都が7万1,657人でトップ。2位の北海道4万6,175人、3位の大阪府4万5,076人を大きく引き離す。社長数は、人口が多い大都市圏や地方の中核県が上位を占めている。

 コロナ禍で地方に住みながら東京の企業に勤務する働き方も認知され、本社を地方へ移転する企業も現れている。地方経済の活性化が進めば、地方での新たな事業創出にもつながる。大企業の東京一極集中に風穴を開け、アフターコロナでも地方への分散が定着すると、社長の「輩出率」と「地元率」に変化が起きる可能性も出てくるという。
《田中志実》

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