【大学受験】「勉強しなさいと言わないほうが良い」は本当?高校生の保護者が知りたい塾の本音

 秋風が心地良いこの時期、学校行事の忙しさの後に向き合う「受験勉強」に不安を感じる高校生も多いだろう。大学受験に向けて親子関係をこじらせないように、保護者は何ができるのか。「河合塾マナビス」津田沼校校舎長の重川氏と府中校校舎長の清水氏に聞いた。

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河合塾マナビス 津田沼校校舎長の重川貴志氏と府中校校舎長の清水妃香里氏
  • 河合塾マナビス 津田沼校校舎長の重川貴志氏と府中校校舎長の清水妃香里氏
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  • 河合塾マナビス 津田沼校校舎長の重川貴志氏
  • 河合塾マナビス 府中校校舎長の清水妃香里氏
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  • 河合塾マナビス 府中校校舎長の清水妃香里氏
  • 大学受験は高2の秋から本格化する
  • まずは興味関心から。第1志望を決めるまでのロードマップ

 「家で勉強しないので、つい“勉強しなさい”と言ってしまう」「成績が上がらない」「子供のモチベーションを上げたいが否定的な声掛けをしてしまう」「“頑張って!”と励ますつもりが、プレッシャーを与えているかもしれない」「今の大学入試の制度がよくわからない」等、受験生の保護者がもつ心配事や不安はさまざまだ。

 特にわが子の大学受験を控えた保護者は、夏休み明けから続く秋の行事等で、忙しそうに青春の日々を過ごすわが子に対し、そろそろ大人と同じ扱いをしなければ……とわかっていても子供扱いし、つい口に出した言葉で傷つけることもある。こうした悩みや心配事を抱えた保護者からの相談に日常的に対応し、保護者や受験生の本音をよく知るのが塾の先生だ。大事な進路選択と向き合う時期に、親子関係がこじれないよう保護者はどのようにわが子と接すれば良いのだろうか。河合塾マナビス 津田沼校校舎長の重川貴志氏と府中校校舎長の清水妃香里氏に、豊富な経験からの保護者へのアドバイスを聞いた。

「学習習慣」と「志望校選び」がメインの相談事

--高校1・2年生の保護者からのご相談にはどのようなものが多いのでしょうか。

重川氏:学習の習慣がついていない」「家で勉強をしないが大丈夫か」「勉強はしているがどうも上手くできていない」「入試のシステムがよくわからない」等があります。家で勉強ができる子はそうそういない、とお伝えしています。難関大学に合格した先輩たちも家と塾のオンとオフを上手に使い分けています。要は受験生としてふさわしい勉強時間や内容が確保できれば良いわけです。家ではどうしてもくつろいでしまい、ゲームや漫画などの誘惑もある。その場合は、勉強ができる環境を探すのもひとつの手です。たとえば学校帰りに必ず塾で授業を受ける、自習する環境に身を置く。高校1・2年生のころからそうした学習環境と習慣を作ることは大切です。

 入試のシステムについては、高校1・2年生では親御さんが意識して情報収集をすることが多いのですが、高校3年生になると、高校での説明会や友人からの情報、生徒本人が興味をもって調べはじめるので、親御さんよりも本人が理解している場合も見られますね。

河合塾マナビス 津田沼校校舎長の重川貴志氏

清水氏:高校1年生は「学校の定期テストで点数が上がらない」という相談が多いですね。その場合は、まず定期テストにどれだけコミットすべきかをヒアリングします。学校の成績が必要な学校推薦型入試と、基本的に学校の成績を使わない一般受験のどちらを軸に考えるかで、学習の方針が変わってきます。学校の成績を重視する場合は、学校の授業が復習になるよう先取りで勉強すると成績は伸びやすく、一般受験の場合は大学入試を見据えて学習を進めます。

 高校2年生の夏休み前は「大学入試対策をはじめたいが、何からはじめれば良いか」というお話が多く、秋以降は「模試の成績が心配」というご相談が増えます。そもそも学校の定期テストの準備は短期間の暗記型なので、定期テストと模試を比較すると、長期間の積み重ね型となる模試はなかなか成績が上がりません。一般受験に備えて、現状の学力をしっかりと測り、入試日までに毎日勉強を積み重ねるサイクルへの転換が重要です。

河合塾マナビス 府中校校舎長の清水妃香里氏

--高校3年生の保護者からはどのようなご相談が寄せられますか。

重川氏:高校2年生から高校3年生に進級する春休みの時期には「どのように第1志望を決めたら良いか」「まだ決まってないが大丈夫か」といったご相談が多いですね。そういうご相談は、生徒本人に興味関心などを聞いて、目標が決まらなくても走りながら考えようと話しています。ただ文系か理系か、国公立か私立かなどの大きな方針は受験科目が変わるので、すり合わせが必要です。そのうえで、本人の興味関心や親御さんのご希望を聞きながら、成績も勘案しておよその候補を明示します。高校2年生のうちにオープンキャンパス、文化祭に行って、志望校を決めているのが理想です。今年の夏はオープンキャンパスもかなりありましたが行けなかったお子さんもいると思います。その場合は大学のWebサイトで調べるのも良いでしょう。

清水氏:オープンキャンパスは高校生など外部の人の数も多いので、普段のようすを知りたいなら、構内に入れる大学は普段の日に行くのも良いですよとアドバイスをすることもありますね。

重川氏:併願はどこが良いか」というご相談には、第1志望が決まれば、およそこのあたりが併願校、安全校と候補を伝えます。女子大やひとり暮らしの可否もあるので、地域のモデルケースもお伝えして、それを軸に考えていきます。

 「今の模試の成績で受けられるところはあるか」というご相談に対しては、かなりポジティブに話しています。既卒生と比べると現役生は勉強量がそもそも足りていないため、かなりの伸びしろがあります。偏差値40からでも、この大学に行った先輩がいると紹介する場合もありますね。偏差値が上がるほど選択肢も広がるので、ポジティブな気持ちで高い目標を掲げて頑張りましょうと話しています。

保護者がつい言ってしまいがちな感情的な言葉3選

--保護者が言いがちな「勉強しなさい!」「これで受かるの?」「頑張って!」といった代表的な言葉。やはり言わない方が良いでしょうか。

重川氏:そうですね。我々が実施した保護者アンケートでも、この3つの言葉は、受験生のわが子に言ってしまい、後悔しているといった回答が多くありました。

--それぞれ言わない方が良い理由、こう言い換えると良いといったアドバイスをお願いします。

1.「勉強しなさい!」

重川氏:頭ではわかっていても、部活の疲れや、やろうとしていても何をやれば良いのかわからない場合もあります。そういうお子さんに「勉強しなさい!」と言うのは酷です。だとすれば、なぜ勉強できないのかをまず深堀りする。たとえば、家に帰ると眠くてできない場合は、学校帰りに図書館や塾に寄れそうか等を本人に聞けると良いと思います。「〇〇しなさい」という声がけよりも、日ごろからコミュニケーションを図り、会話ができる関係を築いていけると良いと思います。お互い何も話さないような関係になってしまうと解決が困難になります。

「頭ではわかっていても、部活の疲れや、やろうとしていても何をやれば良いのかわからない場合もあります。そういうお子さんに“勉強しなさい!”と言うのは酷」(重川氏)

清水氏:私たちは第三者視点で、まず生徒のモチベーションを考えて、目標を決め、ひとつでも達成できたときは「すごい!」と褒めて伸ばす指導をしますが、保護者のほうがお子さまとの関係は深く、言葉に熱が入るのは当然だと思います。ぜひ一歩引いてみて、この言葉は自分ならモチベーションが上がらないかもしれない、こういう言い方のほうが頑張れるかも…とワンクッション置いてから声をかけてみると良いのではと思います。

2.「これで受かるの?」

重川氏:心配からつい言ってしまいがちの言葉ですが、実際に受かるかどうかは親御さんも生徒もわかりません。また頑張っていて伸びないのか成績が伸びているが目標に至っていないのか等、状況はさまざまです。親御さんからお子さまへは「学校の先生や塾に相談してみたら?」といった声掛けが望ましいですね。

清水氏:保護者の方は、勉強面はプロにまかせて生活面のサポートをしていただきたいです。たとえば、お子さまが夜型ならば「朝の方が勉強やりやすいなら起こすよ」と声掛けをする。一方私たちは模試の結果があまり芳しくない時には、必ず成長したところを一緒に確認します。偏差値や点数が伸びなくても、勉強していれば必ずどこかに伸びている部分がある。たとえば、前回はこの文法で間違えたが今回はできるようになったと褒める。どうやってできたのかを生徒が自分自身で引き出せるように話しをすると、自信をもって勉強に向かいます。

3.「頑張って!」

清水氏:受験だからと特別扱いをするのではなく、日常の生活を大切にしてほしいです。特別扱いすると本人も何か特別に頑張らなきゃいけないと考える場合もあります。学校でも塾でも家でも緊張感があると休む場がなくなります。たとえば、学校や塾で勉強して帰ってきたところに「頑張って!」と言えば、やはり家でも頑張らなきゃ……となるので、外でオンなら家はオフ、リラックスできるように声がけすると良いでしょう。

「外でオンなら家はオフ、リラックスできるように声掛けを」(清水氏)

重川氏:「頑張って!」よりは「頑張ってるね」の方が良いですね。ご家庭では叱咤激励よりも「承認」した方がモチベーションにつながります。保護者会でも伝えていますが、大人は立派な受験生像が理想として見える。それに対して目の前のお子さんはまだ立派な受験生に見えずギャップが大きい。しかし、1か月前と比べると、どのお子さんも必ず成長しています。そこに気付いて認めれば、生徒自身も頑張った結果の成功体験を積める。「ほらここ変わったよね」と親御さんの目線で伝えれば、生徒自身も気付きを得て、やる気や自信につながります。

後悔しない大学受験のために…保護者が留意すべき3つの情報整理のポイント

--高校生になると、学校や塾が提供する大学受験に関する情報がどんどん増えていきますが、保護者はどのようにデータを整理していくと良いのでしょうか。ポイントを教えてください。

重川氏:大切なポイントは3つあります。

 まずはご家庭の「方針決め」です。たとえば、国公立か私立か、国公立は“できれば”なのか“絶対に”なのか。第1志望がダメだった時に浪人もありか。国公立なら地方でも良いのか。ひとり暮らしはありか。大学受験のゴールに対する価値観はご家庭それぞれで、それが整理できれば目標やスケジュールも決まっていきます。

 次に「成績データの把握」です。学校の成績によっては学校推薦型選抜が厳しくなりますので、分析は難しくとも把握は必要です。河合塾マナビスでは模試の成績も分析し、ご相談をいただければ必要な情報をご提供しています。

 また志望校の情報で大事なのは、まず大枠の「入試の仕組みを知る」こと。たとえば、共通テスト利用の入試方式がある、英検などの外部資格試験を使える入試がある等、大学によってさまざまです。生徒が親御さんに相談したときに、さりげなく親御さんが志望校の情報を調べておいてくれると感動するようです。

清水氏:入試改革が進んでいるため受験科目は一緒に調べた方が良いですね。昨年は受験できた科目が、今年は変わっている場合もあります。その発見が遅れると、受験できない科目を一生懸命に勉強することになります。志望校が決まれば一緒に募集要項を見て、受験科目をダブルチェック、そして入試直前期には出願書類も絶対にダブルチェック。これは保護者会で必ずお話をしています。

支えながら引き出す。河合塾マナビスのサポート

-- 貴塾では具体的にどのようなサポートをしていますか。

重川氏:まず生徒と保護者からしっかりとお話を伺い、さまざまなゴールに向けて一緒に目標を決めていきます。逆算して、いつまでにどんな勉強をするのかを私どもとスケジュールを組み、スモールステップの目標も設定します。ご家庭のサポートで必要な情報も提供しつつ、生徒が頑張るのに必要な声掛けや面談などで最終的に走りきれるようサポートします。

清水氏:生徒との面談で常に気をつけるのは「引き出す」ことです。塾で働く人間は問題の正解がわかるからこそ、こうしたほうが良いと言いがちですが、そこをグッとこらえて生徒自身が考えることを優先します。大学受験は自分でどこが課題で、どう解決すれば良いかを考える力が必要です。そのサポートをするのが「河合塾マナビス」の指導です。

河合塾マナビス重川氏と清水氏に聞いた
学年別・秋から冬にかけてのアドバイス「高2の秋から受験生」



高校1年生


 高校1年生は高校生活に慣れてきたころだと思いますので、ぜひご家庭でどういう進路を歩みたいかを話し合う時間をもてると良いですね。オープンキャンパスは国公立で早いところだと夏前からはじまります。冬の間にどこに行くかを話すのも良いでしょう。

どんな大学を受けるか、そもそも大学とはどんな感じなのかという興味関心を広げるよう「この大学は良いらしいよ」「学園祭があるらしいよ」といった働きかけをしてほしいです。学校では夏休み明けから勉強が少し難しくなる場合があります。夏休み前までは順調だと思っていたわが子が、あれ?となるのがこの時期。学校の成績や部活なども含めてようすを注意深く見てください。

高校2年生


 高校2年生はいよいよ受験を意識して動きはじめる時期で、本人には焦りも出ますし、自分で考える力もついてきます。保護者の方は温かく見守り、不安なことはひとりで抱えずに何かあれば我々のような塾に一度相談いただければと思います。

高校2年生はいよいよ受験を意識して動きはじめる時期

 2学期から受験を意識した勉強をはじめる層が増えていきます。学校の勉強から受験勉強に比重が変わり、受験に向けて少しずつ勉強時間を増やしていく時期です。夏休みが明けたら周りの友達が塾に通いはじめたり、学校の空気が変わり、そろそろ自分も……となる場合もあります。一方で受験準備をしないまま過ごして3年生になる場合もあります。まだ大学受験に意識が向かないお子さんの親御さんは、それとなく今後の進路について考えられるよう働きかけてみると良いでしょう。

第1志望校決定までのロードマップ。高校1年生の秋から冬の間に志望校の方向性を決め、高校2年生の夏には志望校・学部を絞り込み、オープンキャンパスで最終確認する

高校3年生


 高校3年生はいよいよ直前期。保護者の皆さまには出願書類のダブルチェックをお願いします。ここを間違えると、生徒本人が一生懸命勉強しても、行きたい大学の受験が叶わずすべて台なしになります。遠方の受験を考えている方は、今のうちから早めにホテルをおさえてください。

 夏休み明けから秋は不安定になる時期ですが、文化祭や体育祭と行事も多く、久々に学校に行き楽しくなる一方、学校推薦型選抜の指定校の内定も決まるころです。これまで一般受験に向けて頑張ろうと言っていた友達が指定校推薦で受かる場合もあります。たとえば自分より模試の成績が悪かった友達が、自分の第1志望よりも上位の大学に指定校推薦で合格するようなことが学内で起こると気持ちが不安定になります。さらに10月には最後の記述模試もあり、その成績でいよいよ現実的な受験スケジュールを決めていきます。秋口は非常にストレスがかかるので、ご家庭ではより一層のメンタルケアやサポートが必要です。できるだけ好きなもの、温かくてホッとする食べ物をそれとなく献立に入れて、心身面のサポートに取り組みたいですね。

 これまで親からたくさん支えてもらったのに、自分自身にふがいなさを感じる生徒も出てきます。そうなると親御さんの声掛けも大事ですが、第三者が声を掛ける方が、本音がポロッと出ることも。毎日お子さんを見ている親御さんにしか見えない部分もありますが、「ちょっと誰かに相談してごらん」と後押ししたり、塾での面談を勧めたりも良いでしょう。


--ありがとうございました。

 2020年の河合塾生アンケートによると、受験を意識した勉強をはじめたのは高校2年生の10月が多数を占め、受験勉強に臨む時期は年々早まっている。日本全国約330校舎展開している河合塾マナビスは、生徒ひとりひとりに個別最適化した学習カリキュラムをつくり、現役合格に向けて受験のプロが伴走。河合塾の現役講師が出演する映像授業と教材は、河合塾がグループをあげて制作し、受験に必要なコンテンツは、高校の入門の手前から東大受験者向けのものまで全教科揃っている。

 わが子の大学受験に漠然とした不安を感じている保護者や、進路を考え始めた高校生は、お近くの「河合塾マナビス」へ無料講習・見学に訪れてみてはいかがだろうか。

自ら学ぶ力で、大学現役合格を。「河合塾マナビス」
《佐久間武》

佐久間武

早稲田大学教育学部卒。金融・公共マーケティングやEdTech、電子書籍のプロデュースなどを経て、2016年より「ReseMom」で教育ライターとして取材、執筆。中学から大学までの学習相談をはじめ社会人向け教育研修等の教育関連企画のコンサルやコーディネーターとしても活動中。

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