和書電子化促進「早慶コンソーシアム」大学図書館向けコンテンツ拡充へ

 早稲田大学と慶應義塾大学は「早慶和書電子化推進コンソーシアム」において、2022年10月から期間限定で、約1,200点のコンテンツ提供を開始する。出版社との対話を通じて、電子書籍(和書)の課題を図書館と出版社の双方にとってプラスとなる形で解消することを目指す。

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早慶和書電子化推進コンソーシアム
  • 早慶和書電子化推進コンソーシアム
  • 早慶コンソーシアムの取り組みの特徴
  • 早稲田大学図書館館長・ローリーゲイ(法学学術院教授)氏
  • 慶應義塾大学メディアセンター所長・須田伸一(経済学部教授)氏
  • 紀伊國屋書店代表取締役会長兼社長・高井昌史氏

 早稲田大学と慶應義塾大学は「早慶和書電子化推進コンソーシアム」において、2022年10月から期間限定で、約1,200点のコンテンツ提供を開始する。出版社との対話を通じて、電子書籍(和書)の課題を図書館と出版社の双方にとってプラスとなる形で解消することを目指す。

 早稲田大学図書館と慶應義塾大学メディアセンター(図書館)は2019年9月より、日本初の試みとなる図書館システム共同運用を行っている。2021年5月、図書館システムにとどまらない早慶両大学のさらなる協働推進の一環として、和書の電子化促進を目指した「早慶和書電子化推進コンソーシアム(早慶コンソーシアム)」を立ち上げた。

 近年の新型コロナウイルス感染症の流行は、従来の図書館の来館サービスや蔵書への物理的なアクセスを提供できない状況を引き起こし、大学図書館が電子書籍の導入に積極的に取り組むきっかけとなった背景がある。

 2022年4月からは学術和書電子図書館サービスKinoDen (Kinokuniya Digital Library)を提供する紀伊國屋書店をパートナーとし、複数出版社と電子書籍における課題や要望を共有しながら度重なる対話、調整を進めてきた。そして、2022年10月から早慶コンソーシアムに対し5社(岩波書店、講談社、光文社、裳華房、日本評論社)の出版社がそれぞれ要望に応じたサービスを提供することになった。

 取組みの特徴として、国内の大学図書館の中でも有数の蔵書数と利用者数を誇る早慶両大学図書館の利用傾向とその分析に基づいた和書の電子化を促進することが可能となる。電子化希望タイトルを伝えるだけではなく、各出版社に直接、現場の生の利用状況や要望を伝え、その提供のあり方を含めて検討してもらうための一助となることを目指す。さらに、実験的なプロジェクトとして、その結果や利用者からの意見、フィードバックを各出版社と共有しながら、継続可能な購読モデルの構築につなげていく。また、早慶で同じ図書館システムを利用していることを生かし、メタデータや契約情報の共有、システム間のデータ連携、利用環境の整備を進める。

 早慶コンソーシアムの当面の目標は、大学図書館での電子書籍(和書)における課題や要望、当プロジェクトの主旨についてより多くの出版社から理解を得て、コンテンツを拡充すること。この活動開始を契機として、日本国内における大学図書館に向けた電子書籍(和書)の新たな購読モデルの構築にまつわる議論が活性化することを期待。その結果、早慶コンソーシアムのみならず、多くの出版社が書籍の電子化への関心を高め、将来的な日本全体の和書の電子化推進に繋がることを望んでいるという。

 「早慶和書電子化推進コンソーシアム」は、2022年10月より2024年3月までの1年半の期間限定で、約1,200点のコンテンツ提供を開始する。今回のプロジェクトで提供される約1,200点のうち、半数が「個人向けのみの提供で、図書館向けには提供されていなかったタイトル」となっている。

◆早慶図書館の特徴
・早稲田大学図書館
住所:東京都新宿区西早稲田1-6-1
設立年:1882(明治15)年
蔵書数:約605万冊
・慶應義塾大学メディアセンター
住所:東京都港区三田2-15-45
設立年:1858(安政4)年
蔵書数:約505万冊


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