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「子供の英語力を伸ばすためにできる事、やってはいけない事」加藤紀子氏×佐藤久美子氏

 「国際教育フェスタ~幼稚園・保育園・小学校」で開催された、玉川大学大学院名誉教授の佐藤久美子氏と『子育てベスト100』の著書である加藤紀子氏によるスペシャル対談の模様をレポートする。

教育・受験 未就学児
玉川大学大学院名誉教授の佐藤久美子氏と教育ライター/ジャーナリストの加藤紀子氏
  • 玉川大学大学院名誉教授の佐藤久美子氏と教育ライター/ジャーナリストの加藤紀子氏

 「国際教育フェスタ~幼稚園・保育園・小学校」が2023年2月18日にiTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズで開催された。本イベントはインターナショナルスクールやプリスクール、アフタースクール、国際教育に積極的に取り組んでいる小学校、英語教育・サービス等を提供する11の学校と企業が参加。子供の学び体験や情報、先生と保護者の対話の機会が提供された。

 最新の国際教育情報に触れられる本イベントのひとつの目玉として、教育スペシャリストたちの特別対談を開催。「子供の英語力を伸ばすためにできる事、やってはいけない事」と題し、『子育てベスト100』の著書であり、自身もアメリカでの子育てを経験している教育ライター/ジャーナリストの加藤紀子氏と、NHKラジオ「基礎英語」で講師を務め、NHK Eテレ「えいごであそぼ」の総合指導をするなど、英語教育の第一人者として活躍する玉川大学大学院名誉教授の佐藤久美子氏による特別対談が実施された。

小さいころからやらないと手遅れになる?

 市場や文化のグローバル化、小学校での英語必修化により、英語教育や国際教育への関心は急速に高まっている。そのような中で、我が子の英語学習をいつから始めるか、どのように進めれば良いのかと頭を抱える保護者は多い。 一般的に「英語は幼少期から始めたほうが良い」と言われている。「小さいころからやらないと手遅れになるのではないか」という保護者の不安の声に対し、佐藤氏は「そんなことはありません」と断言する。実際、佐藤氏自身も小学校5年生から英語を始めたという。そのうえで「ただし、英語学習を幼少期から始めるメリットは少なくありません」と語る。

 そのメリットは大きく3つあるとし、1つ目に「聞き取る力」をあげる。佐藤氏は「子供は5、6歳までは、聞いたとおりに英語を発音できる」と語る。

 さらに2つ目として幼児期は「真似が上手」な点も英語学習を始めるのに役立つという。「母語の発話の獲得の際にも効果を発揮するのが“真似をする力”。子供たちは親や周りの大人のいうことの真似、つまり反復をして語彙力を伸ばしていくことは、英語も同じです。真似する時期、つまり反復力が高い未就学児の時期に英語学習をスタートさせるメリットはここにあるのです」と語る。

 そして3つ目として「意味がわからなくても楽しめる」という点をあげた。「特に3、4歳以降に英語を始めた子供は、5、6歳になると英語の絵本や動画を見せると“日本語にして”と言う子供たちも増えてきます。しかし、それ以前の年齢であれば、意味がわからなくても楽しむことができるのです」と佐藤氏は説明した。

我が子の英語、どうやって伸ばす?

 普段多くの保護者から悩みを聞く立場にある加藤氏は「未就学児の子供の英語力はどのように伸ばせば良いのか」という保護者からのよくある質問を紹介。この問いに対しては「まずは盛大に褒めてほしい」と佐藤氏は語る。

 「間違っていても問題ない。間違いを正すと子供はしょげてしまうから、間違っていても、英語で話そうとしていることに対し、おおいに褒めてほしいと思います」と佐藤氏。さらに、「単語1つとっても、それを使ったさまざまな会話を繰り広げることで、子供に真似させ、対話する楽しさを知ってほしいですね」と加藤氏は話す。

 たとえば、“What color do you like?”と聞いたときに子供が“Pink!”と答えたら、大人は“Pink!Great!”と反復し、褒めて、さらに“Do you want a pink dress?” といった具合に “pink” を “pink dress” と広げるというようなやりとりを繰り返していくと、子供に英語の語彙がインプットされやすいという研究報告もあるという。

 「子供は母語を獲得する過程で、親との対話を通じて多くの表現を身に付けていく。英語も同じ。『えいごであそぼ』のような子供向けの教材を参考にしながら、子供と一緒に英語で簡単な会話が楽しめると良いですね」と加藤氏は言う。

英語が苦手な両親の子は、英語ができない?

 それでは、保護者が英語を不得意としていた場合どうすれば良いのだろうか。佐藤氏は「以前に実施した調査では、保護者の英語スキルと子供の英語力の伸びに相関関係はないという結果がでました」と言う。「小学校の先生からも『私の発音はとても悪いのに、英語を指導して大丈夫か』という不安の声を聞くことがありますが、安心してくださいと伝えています。子供は教材の正しい英語と、そうでない英語をきちんと聞き分けています。正しい発音や文法で話す教材のほうを真似するので、問題ありません。英語が苦手な場合は、子供と一緒に遊びながら、楽しみながら学ぶと良いですね。英語力よりも子供と遊ぶ力が大切。英語を一緒に学びながら遊ぶと、子供の英語力は大きく伸びるのです」と佐藤氏は説明する。

 これに対し、加藤氏も「一緒に英語の歌で盛り上がる、好きな国の話をするなど、親が楽しんでいる、好きでいるということが原体験となるのではなでしょうか」と続ける。「親子の好みは意外と似ているものです。親の影響はたいへん大きいので、一緒に英語で楽しむ経験をすることで、英語が好きになるのです」と佐藤氏は語った。

子供の英語学習を阻害する親のNG行動とは?

 次に加藤氏が「子供の英語学習を真剣に考える保護者が陥りがちな注意点」について佐藤氏に問うと「一緒に楽しむことと、あれもこれも取り組もうとしないこと」という答えがあった。つまり、家事をやっている最中に、子供に「これをやっておきなさい」といった方法はお勧めしない。特にこれは英語学習を始めたときに当てはまるという。

 加藤氏も「最初が肝心ですね。子供が英語好きになるまでは、一緒に楽しんであげると良いですね。教材も、欲張らず、子供が気に入ったものを繰り返して使うのが良いのではないでしょうか」と付け加えた。

英検やTOEICなど資格試験との付き合い方

 昨今は英検やTOEICの受験年齢が下がっている。子供の周りで受検者の話を聞くと「我が子にも」と考えがちだが、英語技能を計る資格試験との向き合い方はどのようにすれば良いのだろうか。

 これに対し、佐藤氏は「子供の性格によります。目標を決め、それに向かって頑張るタイプであれば、資格試験がちょうど良い目標になる可能性もあります。一方で、英語の歌やダンス、会話が好きだという子供には、無理強いしないほうが良いですね」と言う。「成長過程で、必然的に小学校や中学校で英検やGTECを受ける時期は来ます。子供の主体性を大切にしてほしいですね」と佐藤氏は強調した。

 最後に加藤氏から「幼少期から子供の英語力を伸ばすうえで、家庭でもできるサポート」について問われると、佐藤氏は「日常で使うことと、継続することがキーポイントです」とまとめた。「寝る前の10分だけでも良いのです。絵本の読み聞かせをし、そのあとに英語で会話する、日本語を混ぜてもかまわないので、楽しむことが重要です」と語る。そのほか、両親が好きな英語の歌を一緒に踊りながら歌うなども有効だという。いずれにしても「一緒に楽しむ」ということを念頭に置くことで、「子供自身が主体的に英語に取り組む姿勢を育むことができ、それこそがもっとも大切」だと締めくくった。

 英語学習の第一人者として、子供の言語獲得・発達における科学的知見に基づく英語教育のメソッドを考案している佐藤氏からの、明日から実践できそうなアドバイスに、保護者の顔は明るくなっていった。我が子に最適な学びを望む保護者は、時に難しく考えがちだが「まずは子供と一緒に楽しむ」。楽しみながら子供自身が主体性を育んでいくことが、英語学習においても何よりも大切だと加藤氏は教えてくれた。

加藤紀子氏
教育ライター/ジャーナリスト
東京大学経済学部卒業。中学受験、子どものメンタル、英語教育等、教育分野を中心に「プレジデントFamily」「ReseMom」「NewsPicks」などさまざまなメディアで旺盛な取材、執筆を続けている。初の自著『子育てベスト100』(ダイヤモンド社)はAmazon総合1位、17万部のベストセラーに。近著は『ちょっと気になる子育ての困りごと解決ブック!』(大和書房)。

佐藤久美子氏
玉川大学大学院 名誉教授
津田塾大学、同大学院文学研究科博士課程修了。ロンドン大学大学院留学。子供の言語獲得、発達研究に従事し、その科学的知見に基づく英語教育を推進。全国の小学校、教育委員会で研修講師や講演を務める。2016年まで8年間NHKラジオ「基礎英語」の講師。2012年よりNHK Eテレ「えいごであそぼ」「えいごであそぼ with Orton」の総合指導などで活躍し、現在に至る。
《田中真穂》

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